高校生活
「本日の授業はここまで」
先生のその言葉を聞きノートと教科書を閉じる。
カバンにそれらをしまっていると後ろからいつもの奴が声を掛けてくる。
「おいアル昼飯どうする」
昨日一緒にゲームをしていた相棒、リュウだ。
「今日は買ってある」
「じゃあもうここで食うか」
リュウはコンビニ袋を机の上に乗せ広げ始める。
「そういや昨日あの後PickBoyの配信みたけどさぁ。あいつやっぱ滅茶苦茶上手いな全部弾当てるし、操作も気持ち悪いくらい綺麗だし」
「操作もやばいけどやっぱ弾の当て方が異次元だよね。相手どんなに動いててもしっかり当ててるし」
「海外のプロってもはや人間じゃないよな」
「鈴木君と藤井君ちょっと話いい?」]
控えめな声で声を掛けられる。クラスの女子の…確か[小早川 遥]さんだ
突然の接点のない女子から声掛けに違和感を覚えてリュウとアイコンタクトする。
「リュウ何かやったのか」
「(首をかしげなら)いや分からんベルは心当たりないのか」
「(首を横に振りながら)全くないやっぱお前だろ」
「いやマジで違う絶対アルがなんかやったろ」
「いつもやらかしてるのお前だろ」
長年培われてきた友情によりアイコンタクトでの責任転嫁もお手の物だった。
俺たちの会話を小早川さんが遮り聞いてくる。
「今の会話いつものゲームの話だよね?」
いつものゲームとはArea to glory(通称ATG)、昨日リュウもリュウとやっていたゲームだ。
小早川さんもこのゲームをやっていて私も会話に混ざりたいみたいな感じ…だったらいいのだが
彼女の冷たい雰囲気と鋭い真剣な目、そして一切笑っていない表情を見て思う。
これは……理不尽だが学生の本文は勉強だから遊びの事について話してんじゃねぇみたいな事か?
リュウの方を向くと目が合う。彼とは高校からの親友だがゲームを通して培った友情は大きく、考えや行動は手に取るようにわかる。だからこそすぐに動かなければならない。
「「多分こいつのせいです」」
ほぼ同時にお互いに指をさし責任を押し付ける。二人の考えは同じ[どうやって面倒を回避するか]だ。先に言った方が有利になるのは明白。しかし流石の相棒、同タイミングで責任を押し付けてきた。
「な…なんのこと…?」
小早川さんの方を向くとはてなマークでも出そうな表情をしている。
どうやら怒られる路線ではなく、ゲームの事に聞きたい路線だったらしい。
「ごめんなさい。勘違いだったみたい」
「でも意外だな小早川がゲームの事聞いてくるだなんて」
小早川さんはどっちかと言うと茶道とか華道とか大人しそうな事をしていそうな雰囲気でゲームの事について聞いてくるのはイメージになかった。
「私は初心者なんだけど友達がeスポーツ?だかの部活作りたいって話で部活が出来る5人まであと2人なんだけど入ってもらえないかな」
「チーム…ねぇ」
そうリュウはつぶやく。
恐らくここでもリュウとの考えは同じだろう。
「ちょっと考えさせてほしい」
そう答えを保留にしてこの会話は終わった。