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第九話   人間国国立学園対抗戦と暗躍者

いよいよ本格的に学園生活が始まる。


ゴウキは期待に胸を躍らせながら学園に向かっていた。

その途中、

「ゴウキ!おはよう!」遠くのほうからリズが走ってくる。

「おはようリズ。昨日はよく眠れたか?」

「いや、あんまり」

(誰のせいよ全く・・・)とリズはゴウキを少しにらむ。

「え、俺何かしました?」戸惑った様子でゴウキが返す。

「何でもないわよ。さ、行きましょ」

「お、おう」

二人は一緒に学園に向かった。


今日は魔法理論の授業がある。だからゴウキは少し気持ちが高ぶっていた。


しかし、ゴウキの期待とは裏腹に、授業の内容はゴウキがすでに習得しているものばかり。

なのでゴウキは、この時間で新しい無属性魔法を作ることにした。


無属性魔法とは、基本属性である、火・氷・風・地・光・闇のいずれにも該当しない魔法のことで、

ゴウキが常時発動している幻惑魔法もその一種だ。また、無属性魔法に適性は必要なく自身に合った魔法を覚えられるのでコモン階級やアッパー階級の人は積極的に無属性魔法の習得に勤しむのだ。だが、ゴウキは少し違う。時間をかけることで自分が想像している通りの魔法が生み出せる。現時点でゴウキが使える無属性魔法は、

①幻惑魔法 《イリュージョン》

②不可視   《インビジブル》

③飛行魔法   《フライ》

④反状態異常 《アンチ・イレギュラー》

の4つだ。


そして今開発しようとしているのは、瞬間移動テレポートだ。

授業終了の鐘がなるころには、ゴウキはテレポートのイメージを完成させ、あとはイメージと体が

フィットするのを待つだけ。この定着には1週間から1か月かかる。


今日最後の授業は剣術実技だ。授業は第三体育館で行われる。

入試では体術と剣術は分かれていたが、学園入学後はどちらも学ぶことになる。

授業内容は2人1組になって打ち合いをするというもの。ただ、剣術入試で合格した人同士で組まなければならない。


ゴウキはペアを誰にしようか考えている時にリズに話しかけられた。

「ゴウキ―、組まない?」

「リズ、剣術受験だったのか?」

「うん!ゴウキも剣術じゃないの?」

「おう、俺は双剣使いだから。ペアを組んでくれるならありがたいよ」

こんな会話を聞いていた男子・女子双方から羨ましそうな視線が向けられる。


授業では全員木刀の使用が義務付けられている。

「それでは、始め!」監督教員が合図を送る。

「ゴウキ、いくよ!」

1時間ほどの打ち合いを終えて鐘が鳴った。

「はあ、疲れた。ゴウキ!次も一緒にやってくれない?」

「いいよ。今日はお疲れ様」

こうしてゴウキは学園の2日目を終えた。



学園生活が始まって一週間。今日は5月に行われる人間国国立学園対抗戦、

通称七神戦しちしんせんの出場選手決定のため、学園内模擬戦が行われる。


予選は、クラス・ファーストを除いた124人の戦い。

最初は4つのグループに分かれて5人になるまで戦ういわばデスマッチ。

その後、勝ち上がった20人が再びデスマッチをして、最後まで残った9人が本選に出場できる

というシステムだ。


七神戦は各学園から15人ずつ代表を出して競う大会。

なので教員は、本選で戦う40人の魔法適正や威力・剣技をしっかりと見極める。

さらに、この大会での順位は、学園のランクに直結する。

そのため、教員たちは必至で人員探しを行うのだ。


予選が終わり、普通クラスから9人が上がってきた。

本選に勝ち負けは関係ないが、勝つほどに自分をアピールすることができるので生徒も必死である。

クラス・ファースト31人と予選通過者9人、合わせて40人が戦う方法は、一対一である。

対戦相手はくじ引きで決め、成績がいいほど選抜される可能性は上がる。


くじ引きの結果、ゴウキは3回勝つと決勝まで行けるシードブロックに入り、しかも3回戦までファーストの生徒とは当たらない。

(これは、少し目立っちゃうんじゃないか?)とゴウキは少し不安に思っていた。

ゴウキはエリートとしての活動もあるため、なるべく顔を晒したくないと思っている。

それゆえ、七神戦への出場もあまり乗り気ではなかった。


一方、リズは2回戦でエリスと当たる悪運。


「どうしよう。エリスさんと当たっちゃうよ~」とリズはゴウキに泣きつく。

「仕方ないだろ?運が悪かったと思って受け入れなよ。それに、彼女ならリズの本機をぶつけても大丈夫なんだしさ。自分がいまどれくらいやれるのかを知るためにも彼女との戦いはいい機会だと思うよ?」とゴウキは冷静に返答する。

「そうかな。・・・わかった。頑張って一矢報いるよ!」と、リズは元気そうに去っていった。


(あの少年と当たるのは決勝か。絶対に正体を暴いてやる)とエリスは強く意気込んでいる。



「どうだ?本選に出場したか」

「ああ、うまく手加減できたよ」

「それで、本選でやることはわかっているな?」

「任せろ。これを使って選手全員を混乱状態にすればいいんだよな?」黒いフードをかぶった男は懐から小さな鐘を取り出した。

「そうだ。その“ダンシング・ベル”を使って殺し合いを引き起こせ」茶色のフードをかぶった男が答える。

「了解だ」

「頼むぞ」


いよいよ本選が行われる時間、ゴウキはリズと一緒に試合会場である第2競技場に向かっている。

「緊張するな―。ゴウキは平気なの?」

「ああ、戦闘は慣れてるからね」

「ちぇ、ゴウキはいつもそうやってクールに返してくるよね。動揺するところを見れたのはラッキーだったのかな」


こうして二人は試合の準備に取り掛かった。裏で暗躍している組織があることに気付かずに。

次回は波乱の本選です!

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