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異能力で単純な戦争をしましょう  作者: シマアザラシ
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魔女の夜

◇◇◇


 同時刻――。


 赤色の空は不気味な輝きを放っている。それが時間経過で夜に近づくことにより、赤黒くなっていく……。


 それはまるで世界の終末を思わせる景色だ。


 そんな中、女子高生、黒江香奈枝くろえ かなえは誰もいない大型駅ビルを上機嫌で散策していた。


「あっ、わああ、このアクセ可愛い! 『現実』に戻ったら買っちゃおうかなぁー。お金はいっぱいあるし、でもなぁー……」


 香奈枝は160センチ程の細身な体形で、都内の公立高校のブレザータイプの制服に身を包んでいる。


 整った顔立ちで可愛らしい普通の女子高生だ。優しそうな雰囲気があり、さらには腰は細いのに胸部だけが大きく盛り上がっており、男受けしそうな外見をしている。


 そんな女子高生がアクセサリーを手に取って、はしゃいでいる姿は微笑ましいが……。


 しかし、今は殺人ゲームの真っ最中だ……それを考えると香奈枝が普通にウインドウショッピングをしているのは異常ともとれる。


「ふふっ、今度は新作の服を見に行こうな? あーあ、こんな時にかっこいい彼氏がいてくれたらもっと楽しくなるのにぃ……はぁ、【魔女】に彼氏なんてできるわけないか……」


 香奈枝にとってゲームの中も日常だ。現実も非現実も同じだ。


 それが【15回ゲームをクリア】し、同じリピーターから【戦火の魔女】と恐れられている黒江香奈枝の在り方だった。


「さて、最初は誰を倒そうかなぁー。今回のゲームはなんか嫌な予感がするんだよねぇ……『獣』がいるから? ……それとも。もしかして、他にも『Sレア』な能力がいるのかもね。うぅ、それは楽しみだなぁ」


 香奈枝は先ほどアクセサリーを見ていた同じ声色でそう呟く。それはどこまでも純粋で、透き通った感情だった。


   ◇◇◇


 三咲との取引を終えた修二は住処にしていたホテルを離れ、今は証券会社の自社ビルを住処を映し、警備室で非常食として備えつかられていた缶詰を腹に詰め込んでいた。


 心が読める三咲相手に意味はないかもしれないが、場所を知られた以上は移動は必須、住処の場所が他者に知れ渡ればそれだけで致命傷になりかねないと考えたからだ。


 移動の際に情報収集もしていたため、かなり時間を消費してしまった。


「……それにしても、この空間はどうなってるんだろうな……」


 現在の時刻は23時。


 ゲームが始まったのが15時なので8時間ほどが経過していた。


 空は赤さを保持したまま太陽だけ沈んでいる……。そのせいで赤黒くなっているので、昼間よりも不気味な雰囲気をかもし出している。


 このことから時間の概念はあるようだ。


「……どういう理屈かは謎だけど、現状はある程度わかった」


 修二はこの数時間を情報収集に徹した。


 それで得たのは……電機はどこから供給されているのかはわからないが、生きている。だが、無線機やスマホなどで、現実の相手に連絡を取ることは一切できない。唯一つながると思わる『シシミー』にも悩んだ末、電話をかけてみたが……つながらなかった。


 そして、ゲームの舞台となっている新宿の外だが……単純に『行けなかった』。見えない壁に遮られているのだ……その見えない壁の向こうも赤い空で無人の光景が広がってはいるが……行けない。


 能力でなら見えない壁を破壊できるかもしれないが……攻撃手段を持たない修二の能力では試すこともできないのが現状だ。


 何もわからない……ただ、その事実だけがわかった。


「さて……そろそろ、動くか……」


 修二は現状を大まかに理解した。後は参加者としての本分を全うするだけである。能力者同士の殺し合いを??。


 最初の火と、中年男性の戦闘以降、修二が捉えきれない小規模な肉弾戦程度はわからないが……少なくともビルが倒壊するような大規模な戦闘は行われていない。それを理解した上で修二が動く。


「くくくっ、どうせやるな生き残るだけなんてケチなこと言わねぇ、めいいっぱい楽しんでやる。俺はこの世界では主人公だからな」


 修二は最初のターゲットを決めていた。


 それは唯一現在の『居場所』を特定している人物あり、恐らくこのゲームで難敵になりうる可能性がある。


「『火の能力者』。まずはお前を倒す」


 修二の不敵な笑いを含んだ声は空気に溶けて行った。

次は水曜日の0時更新です!

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