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敵情視察

ブレイについて調べると「百錬の勇者ブレイ」という名前で闘技場で闘っていることがわかる。闘技場で行われるショーはモンスターと人の戦いや、人対人の模擬戦闘だ。


「ブレイが今どんなことやっているのか気になるなぁ」

と僕がいうとアンは

「じゃぁ、見に行く?ブレイはともかく、闘技場のあたりは色々催し物もやっているよ?」


僕たちはデートのついでにブレイの試合を見に行くことにした。勇者と聖女の召喚の仕事をサボってこんなことやっていていいのか?という不安はバッチリあとで的中するわけだが……。


闘技場前の広場に行くと屋台がたくさん出ている。

「昼ごはんはここで食べればいいか?」

珍しい外国の料理の屋台もでているみたいだな。アンに問いかける。

「そうだね。美味しそうなものがいっぱいだ。じゃ、クソ野郎も出る試合見に行こうか」


闘技場のチケットを買う指定席だ。

ちょっと奮発して一等席だ。間近で見れるし、迫力満点。


ショーのプログラムは


・前座:お笑いの席「爆笑勇者」

・サーカス「空を飛ぶもの達」

・人対人模擬戦「百錬の勇者ブレイvs新人王ダグナス」

・勝者vsモンスター「どんなモンスターかはお楽しみ」

・締めの音楽と踊り「歌劇団笛吹く小人」


という感じらしい。

アンも僕もブレイの活躍を見るのは若干複雑なものがあり、なんとなく居心地が悪い。でも逃げているわけにもいかない。すると隣に一人の女性がやってきた。


「隣失礼しますね?」

どこかで聞いた声。

「はい、どうぞ」


なんか見たことがある顔のような?ん?コイツは。

思い出せないなぁ。昔の仕事仲間?随分化粧して着飾っているけど?

まぁ、いっか。


大して面白くもない芸人のコントを見た後。サーカスに見とれる僕ら二人。

「すごいねー空飛んでいるよ本当に!」

「空中遊泳魔法の初歩かな?手軽に使えて魔力は大していらない呪文だし。それと軽業を組み合わせているのだろうね」と冷静に分析する僕。

するとアンは

「もう、人が感激しているんだから?そういう解説はいらない!」

と怒ってしまった。

「い、いや。すごくないって言っているわけじゃなくて。結構器用なことやるんだな?って思っただけ」

ふくれるアン。

「ごめんね。僕気が利かなくて」と素直に謝る。

するとアンは

「いいよ、そういうところと何にでも一生懸命に打ち込むところはセットだってわかっているもん」

と許してくれた。本当に僕なんかでいいんだろうか?と時々不安になる。

ともあれその後は素直にサーカスの技に感嘆しているとアンの機嫌も直ってきた。


「次の催し物はお待ちかね百錬の勇者ブレイと挑戦者新人王ダグナスの一戦になります」

湧き上がる歓声。入場するブレイとダグナス。

あ、あれは確かに村の幼馴染のブレイだ。物々しい武装をしてショーのため化粧をしているがそれでも僕は彼が旧友だとはっきり今はわかる。


すると隣のお姉さんが立ち上がり

「素敵ー!ブレイさん。今日も完勝しちゃって!!」と叫ぶ

どっかで聞いた声なんだよなぁ。これ。


負けじとアンも立ち上がり叫ぶ

「クソ野郎!負けやがれ!おら!こんないい女振ってんじゃねーぞ!!」

とぶちかます。アンちゃん……。ちょっと怖い。


やがて試合が始まる。試合はブレイの完勝といってもいい内容。応援にも熱がはいる。隣のお姉さんは

「最高!!強いー。しびれちゃう!私と付き合って!!」

とか叫んでいる。


そしてアンは

「おら、新人王!情けないと思わないのか?クソ野郎をぶちのめせ!そこだ!ブレイなんてぶちのめせ!クソ野郎は負けろ!頑張れ新人!」

とか言いたい放題言っている。


僕を挟んで正反対の応援がされているわけで、非常に居心地が悪い。

試合が終わった後流れる微妙な空気。


隣の女の人が

「あの?アンチブレイなの?正直気分悪いんだけど。ブレイさんのことをクソ野郎とかっ」と僕に話しかけてきた。ピンチ!


「い、いえ。彼女が失礼いたしました」

と謝る僕。


とその時だ。気づいてしまったんだなぁ。隣の女の人の正体に!

そして向こうも気づいたらしく微妙な間を置いて。


「あの賢者さん!召喚の作業やってます?やってないですよね?前金渡しましたよね?ここで楽しくデートですか?あれだけの大金受け取って納期は過ぎてますよね?

しかもアンチブレイですか?そんなことで許されると思っているんですか?」

と畳み掛けられた。


「魔女サラディーナ様。失礼いたしました。これには深ーいわけがありまして」

冷や汗が流れまくる。

「あとでご説明いたしますが、断じてこれはサボっているわけではございません!仕事の一環です。本当ですって」


「ほぉお、明日たっぷり聞かせてもらいましょうか?」

怖いよぉ。客と鉢合わせか!とほほ。


その後のショーは針のむしろで頭に何も入らなかった。

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