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第13話 ジャクソンの最後!?

 私達が話を終えると、ようやく私達の居場所を探し当てたジャクソンが店に入って来た。どうやら剣士としては優秀で、私達が発する音を頼りに、この喫茶店へたどり着く事ができたらしい。しかし、事件はその時に発生したのだ。


「ふう、ようやく辿り着いた。お前ら、わしを置いて喫茶店でイチャラブしているとは……。『なっ、ダークエルフの半裸!? ぐっは!』」


 ジャクソンは、アレクサの下着姿を見て鼻血を流す。興奮して仰向けに倒れ、床に頭を打ち付ける。ダメージ自体は少ないが、鼻血の出血量が多過ぎてヤバい。私が彼に駆け寄って介抱しようとすると、お兄ちゃんが先に彼の元に辿り着いていた。


「ふっ、ジャクソンか。マリアーンの剣の師匠に最適だと思い、今まで生かしておいたが、優秀な剣技を有するリリアンが仲間になった以上、コイツは必要ないな。『60歳で童貞など存在する価値もない。死ね』」


 お兄ちゃんはそう言って、仰向けに倒れいるジャクソンの胸に真剣を突き立てた。今までの戦闘では見た事もないほどの血が吹き飛び、周囲を血の海にしていた。ジャクソンは激しく痙攣し、次第に動かなくなっていった。


「ちょっと、お兄ちゃん、何やっているのよ!?」


「なに、マリアーン、ちょっとした悪戯だよ。おそらくお前が持っていたこの剣は、聖なる剣で、善なる者にはダメージを与えないという素晴らしい物なのだ。だが、邪悪な者には致命的なダメージを与えるという特殊な物でもあるのさ」


「ええええええ、思いっ切りダメージを与えているじゃない。ジャクソンはもう虫の息なんだけど……。これ、マジでヤバイよ! 早く適切な処置をしないと助からないレベルだよ!」


 私はジャクソンを助けようと奮起するが、怪我の出血が多過ぎてどうすればいいのかさえも分からない。生臭い血の匂いを嗅ぎ始めて、自分自身の気分さえも悪くなっていた。それでも、なんとか彼の一命を取り留めようと奮起していた。


「ちっ、ただのクズの鉄剣だったか……。試し切りにもならなかったな。このままでは、幼いマリアーンの心に、俺がジャクソンを殺したというイメージができてしまう。なんとか、俺が勇者である事をアピールしなければ……」


 お兄ちゃんはそう呟いた後、私の方を見てこう語り始めた。リリアンとアレクサが私の代わりに応急処置をし始めたので、私はお兄ちゃんの言葉を聞くが、どうしても信じられないような内容だった。


「マリアーン、お前には速過ぎて見えなかったかもしれないが、俺とジャクソンは壮絶な死闘の末に、ようやく彼を元の剣士へと戻す事ができたのだ。俺はその意思を継ぎ、次の剣王になったのだ。これは、剣王となった俺の最初の仕事だったのだ。悲しい結末だったが、焦る必要も、彼を助ける必要もない」


「えっ、どういう事?」


 お兄ちゃんは、ジャクソンとお兄ちゃんとの間に起こった一瞬の出来事について話し始めた。お兄ちゃんが言うには、壮絶な戦いだったらしく、レベルの低い私では理解できないと言う。刹那に起こった死闘を、私にも理解できるレベルで説明してくれた。


 ーーーーーーーー


 まず、ジャクソンが喫茶店に入って来た時点で、彼はもう普通の精神状態ではなく、敵に操られている危険な状態だった。アレクサとリリアンを見て、こう呟いていたと言う。


「グッへへへへへ、美女が2人もいるぜ。『なっ、なんと、ダークエルフの奴は半裸だぜ! 』儂がタップリと可愛がってあげないとな……。そこのチビっ子のガキも儂の食料にして、じっくりと体から骨の髄までしゃぶってやるわ。男はいらんな、死んでな!」


「くっ、ジャクソン、剣王という身でありながら、モンスターに操られて闇落ちするとは……。俺が、威厳ある元のお前に戻してやる。この真剣で勝負してやる!」


「グッへへへへへ、最強に近い剣士の体を奪ったのだ。貴様ごとき若造剣士に負ける儂ではないわ。せいぜい頑張って、儂の剣技を少しでも長く堪能してくれよ!」


 ジャクソンは闇落ちして、それはもうキモい姿に成り果てていたという。目は赤く光り、飢えたケダモノのようだった。それが最強の剣を手に持ち、恐るべき剣技を繰り出して来たという。


 キンキンキンキンキンキン×10。


 激しい剣撃がお兄ちゃんを襲ったが、彼も最強に等しい実力を持っていた。力が拮抗している者同士の対決は、超接戦にもなる場合もあるが、一瞬で勝負が決する場合もあるという。今回は、そのケースだった。


「『ぐっは!』」


「ジャクソン、俺の勝ちだ!」


 激しい剣撃を打ち合うが、わずかにお兄ちゃんの剣技がジャクソンを上回ったという。そして、ジャクソンは血に塗れ、地面に仰向けに倒れ込んだ。そこには、かつての彼を取り戻した剣王の姿だった。


「なんと……、儂は……、モンスターに操られて……、いたのか?」


「ああ、そうだ。とはいえ神速の剣技で『60』回も攻撃して、『最』後にようやく致命傷の一撃を喰らわせる事が『で』きたレベルだ。『どう』やら、剣の『帝』王という称号は伊達では『な』いようだ。


『ど』うも俺もギリギリだったらしい。実際に『存在する』剣士の中で、お前は最強の俺に匹敵する『価値』を持っていた。それだけに惜しい。今の一撃は、確実にお前の命を『も』奪ってしまうだろう。治療が追いつくレベルでは『ない』。数分後には、出血多量で確実に死ぬ。数分間の残された命だが、何か言い残すことはないか?」


「そうだな、強いて言えば、儂を倒した最強の剣士に、神速の剣技でトドメを刺して欲しい。儂も長年多くのモンスターや剣士の命を奪って来た。そして、ようやく剣王という称号を得たのだ。その称号を、誰か知らぬ剣士に奪わせたくはない。


 儂を倒したお前が、儂の跡を継いで剣王を名乗るが良い。儂の胸を狙ってトドメを刺せ。背中の傷は剣士の恥だが、真正面からの最強の剣士の攻撃は、儂の栄光となる。さあ、儂にトドメを刺し、剣王の人生に幕を降ろさせてくれ……」


「分かった、ジャクソン。お前は、俺が出会った剣士の中で最高の人物だった。安らかに眠るが良い。俺の最高の剣技で『死ね』ば、お前も本望だろう。では、さらばだ!」


 そして、ジャクソンはお兄ちゃんの顔を見て笑い、彼のトドメの一撃を受けて絶命したという。これが、わずか数秒の間に、神速の剣技同士によって発生した出来事だという。神速の剣技とは、剣の道を極めた数人だけに発現する能力で、1秒間の間に数10回も攻撃する事が出来る能力だという。


 お兄ちゃんとジャクソンは、常人の神速のレベルではない。1秒間が1分にも2分にも匹敵するレベルらしいのだ。その為、私には会話の一部分でさえ、聞き取るのが困難だったという。


「ふふ、だが、マリアーン、喜ぶが良い。お前も不完全ながらも神速の会話を聞き取っていたらしい。いずれは、お前にも神速の剣技が身に付く事だろう。同等のレベルを持つリリアンから手取り足取り教えてもらうが良い」


 私がジャクソンの顔を見ると、安らかな顔で動かなくなっていた。呼び掛けただけで起きそうなほど普段と変わらないが、もう会話を交わす事も、優しい眼差しを向けられる事もできない。それが人が死ぬ事だというのをまざまざと思い知らされる。


「ジャクソン、本当に死んじゃったんだ……。もう、私に剣技を教えてくれる事も、優しく抱きしめてくれる事もできないんだ……」


「まだ、諦めるのは早いわ」


 私が悲しみを噛みしめていると、リリアンが私の肩を叩いた。そして、死んでいるはずのジャクソンを抱き起こし、彼の頭を支えるように膝枕させる。膝やスカートが彼の血で染まり、彼女の服を汚していたが、気にするそぶりも見せない。


「『ゾンビの秘薬』には、人間をゴーレム化させる他に、重症の人間を助ける事ができる。もちろん、失敗したら廃人も同然だけどね。妾の薬学知識を持ってすれば、彼を死の淵から蘇らせる事ができる」


 リリアンは、オッパイの谷間に手を突っ込み、そこから薬を出してジャクソンに飲ませる。そして、口移しで水を飲ませて、彼の体に薬の成分が行き渡るようにさせていた。飲めと命令すれば、水を飲み始める。


 オッパイの谷間という場所に危険な薬物を入れても大丈夫なのか不安だが、その一連の行為によってジャクソンが目を覚ました。だが、生物としての感じではなく、ゾンビのように命令に従うように動くだけだった。


「ジャクソンが目を覚ましたわ……。ちょっと変な感じだけど、出血も止まっているし、しばらくは大丈夫でしょう。薬がなくなるまでは、この状態のまま命令を聞くだけの操り人形になるわ。その間に、傷口を塞いで栄養を取らせれば、下の人間状態に戻るというわけよ。


 今回使ったのは、精神破壊型の秘薬だけど、出血を止めたり、体の期間を強制的に動かす事が可能になるの。危険な方法だけど、分量を調節して、応急処置を済ませれば、生きた人間を復活させる事も可能よ」


「ああ、オッパイの谷間から出た薬を飲ませれば、9割以上の仮病を治す事はできるだろう。おまけに、美女の膝枕と口移し、男なら死者さえ復活してもおかしくない」


 お兄ちゃんは、ジャクソンが起き上がって動き始めたのを見てそう言った。しかし、元々の彼の性欲などは失われているようであり、ゴーレムのようにずっと立ったまま動かない状態になった。命令を与えられなければ、動く気配さえもない。


「これから、どうするの?」


 私は、リリアンにそう尋ねるが、彼女もわずかに薬を飲んだ事で気分が悪くなっていた。口移しで薬を飲まさなければ、命令に従うようにならない為、彼女は危険を承知でその行為をしたが、その行為が裏目に出ていたようだ。


「くう、わずかとはいえ飲んでしまったようね。精神はなんとか保っているけど、油断していると意識が朦朧もうろうとしてきている。少し休ませて……」


「ほう、どうやら少しは命令に従い易い体になったようだな。ならば、裸で俺の体を洗ってもらおうか? オッパイや手を使い、入念に俺の体を愛撫するが良い。普段は強気なリリアンが、俺に奉仕するなど滅多にないからな……」


「この卑怯者が……。ダメ、体が勝手に動いてしまう……」


 リリアンが自分の意思とは関係なく命令に従う体になっていた。お兄ちゃんは、邪悪な笑みで彼女を見つめていた。そして、邪魔が入らないようにアレクサやジャクソンに命令を出していた。


「アレクサは、俺の為に愛のこもった料理を作ってくれ。勇者たる者、健康管理は特に重要だ。君しか、俺の栄養をしっかりと補ってくれる者がいないのだ。リリアンは気分が悪いと言うので、彼女に付き合ってやるが、俺の心は君だけの物だよ」


「まあ、勇者様、なんてお優しいお方。分かりました。腕によりをかけて、美味しい料理を準備いたします!」


 ダークエルフのアレクサは、お兄ちゃんの言葉に惑わされて、彼の為に愛のこもった手料理を作らされている。彼女の弱った心を巧みに利用して、お兄ちゃんの手足として働かせていた。


「さて、今日のメインディッシュのお前を食べるとしようか?」


「くっ、妾がこんな辱めを受けるなんて……。絶対に許せないわ!」


「口は動くようだが、体は俺の言う通りに動くようだな。まずは、俺の体を念入りに洗ってもらおうか? いずれは、お前の夫となる者を洗うのだ。優しく丁寧に洗うのだぞ、あははははは……」


 リリアンは下着姿になり浴室へ行って、お兄ちゃんの体をスポンジで洗う。命令には従うが、忠実に従うというわけではないようだ。彼女の理性が薬と反発し合い、ある程度の行為までは従うが、彼女が絶対に嫌だと思った事はできないようになっている。


挿絵(By みてみん)


「ふん、どうやら本人がしたくないと思った事はできないようだな。面白い効果だが、お前にとっては残念だな。もしも、お前が細部にまで渡って命令を聞くようなら、今日は俺とお前の2人きりで寝ようかと思っていたのに……」


「誰が、あんたなんかと一緒に寝るか。妾は、マリアーンちゃんと添い寝するのだ。汚い男などと一緒のベッドで眠れるわけがなかろう。この変態野郎が……」


「ふん、口が悪いようだな。まだまだ俺の調教が必要らしい。分かっているとは思うが、お前が少しでも俺と寝たいと思えば、お前は拒絶する事はできないのだぞ。その自慢のオッパイを揉んで、その事を体で理解させてやる」


「ああ、やめて、この卑怯者が……。妾の行動が上手くいかないのを良いことに、オッパイを攻撃して来るなんて……。ああ……、絶対に……、あなたの言う事なんて……、聞くものか……」


 リリアンは、お兄ちゃんにオッパイを攻撃されて体をくねらせるが、なんとか命令に抵抗する事ができていた。身体中に汗をかき、なんとか体中の薬を排出しようと奮起していた。


 1時間ほどお兄ちゃんと入浴していたが、最後は薬の束縛から逃れたようだった。私は、お兄ちゃんの命令に従う僕と化したジャクソンによって、手足を拘束され、邪魔ができないようにされていた。最初に命令した者の言うことに従うようだ。


「このお、薬の効果さえなくなれば、あんたの命令なんて聞かないのに……」


 リリアンは薬の効果が薄まり、決死の思いでお兄ちゃんを攻撃する。しかし、わずかばかりの攻撃では、お兄ちゃんにダメージを与える事はできない。拳を止められ、逆にキスされてしまった。不意を突かれた為か、彼女も反撃する事ができない。


「妾が……、こんな男に唇を……、奪われるなんて……、許せない……」


 彼女は怒りと屈辱で身を震わせていた。目に涙を浮かべ、お兄ちゃんを睨みつける。

 今にも噛み殺して来そうな気丈な彼女になっていた。しかし、全ての攻撃は止められ、お兄ちゃんに手も足も出ない。


「ふん、強情な女だな。良いだろう、今日はここまでにしてやろう。勇者である俺が魔王を倒せば、王女のお前は俺に従わざるを得ない。その綺麗な体も、その強情な心も、俺の物であると言う事を忘れるな」


「くっそ、勇者だからと言って、何もかもお前の思い通りになると思うなよ。いずれは、妾がお前を家来にしてやるわ」


 野良猫のように暴れるリリアンだったが、お兄ちゃんには敵わないようだ。今夜は、お兄ちゃんが彼女を従わせられなかったと言う事で、私を解放して男女別々に寝る事になった。ジャクソンの応急処置をして、無人の都市『エルフィン』に泊まる。


 無人の為、一番高い宿で、ベッドが2つある2人部屋と、ベッドが3つある3人部屋に泊まる事にした。さすがに、高級の宿だけはあり、互いにある程度離れて眠れるだけのスペースが確保されていた。


 人がいない静かな夜に、鳥の鳴き声だけが聞こえていた。私の両隣に眠るリリアンとアレクサも、お兄ちゃんと戯れるのが疲れたのか、すぐに眠りに着く。お兄ちゃんは変になってしまった。もう、私の知っているお兄ちゃんではない。


「私が、この剣で真実を見極めてやる!」


 私は、真剣を手に持ち、警戒しながら眠る。誰が味方なのか分からない状況である以上、油断する事はできない。隣にいるアレクサはもちろん、リリアンもジャクソンも危険な存在だと感じていた。


 中でも危険なのはお兄ちゃんだ。腕力自体は私の方が上だが、運動能力は桁外れて強い。自分が有利な状況を利用して、相手を従わせようとするのだ。リリアンやアレクサは従わせていないが、ジャクソンはもはや彼の武器に成り下がっていた。

リリアンが夜中に潤んだ目で見つめて来た。

どうしますか?


⓵今日は大変な1日でしたねと言って、受け入れる。

⓶私のベッドに触れれば、即座に切る! と言って威嚇する。

⓷寝たふりをして、彼女のオッパイを触る。


私は⓶を選ぼうと思ったが、彼女のオッパイを見て考えが変わった。

⓷を選択して、彼女のオッパイを触る。最初はビックリしていたが、次第に彼女も興奮して来ていた。


「ああん、妾がここまで手玉に取られるなんて、やはり2人は兄妹きょうだいなのね。好き、好き、好き、マリアーンちゃん。お兄ちゃんも素敵なテクニックを持っているけど、あなたはそれ以上かも♡」


彼女がそう言うのを聞いたので、私は彼女を触る手が止まってしまった。

確かに、素晴らしい弾力とボリューム感で楽しんでいた事は認めるが、お兄ちゃんと一緒にされるとは思ってもみなかった。しかも、私の方がテクニシャンだと言うのだ。私は怖くなり、彼女をベッドから蹴り出して眠る事にした。


「ああん、蹴り出して拒絶する姿も素敵♡

もっともっと虐めて欲しいわ、マリアーンちゃん」


どうやらリリアンが好きになる程、私はドS心があるらしい。

今日もゆっくりとは休めない日々が続いていた。

やはり、冒険の旅は様々な危険を秘めているのだ。

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