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日本死ね

作者: さきら天悟
掲載日:2016/03/09

『保育園落ちた。日本死ね』

これを見て、熟年政治家の坂部はニヤリとした。

利用できる、と思った。


このブログは日本のあり方に一石を投じ、

テレビで盛んに取り上げられた。

与党は徐々にではあるが、予算を増やし、

待機児童を減らしているが十分ではなかった。

野党はこれを政権攻撃の手段に使い、

相変わらず代替案もないのに批判を繰り返した。


「でも、間違えだよな。

日本死ね、は」

坂部は呟いた。


「東京死ね、か、神奈川死ね、だろう」

この問題は都市部の問題で、人口が減少している地方には関係なかった。


「これで俺の時代だな」

彼は与党の政治家だった。

実力派と評されていた。


「総理大臣なんて、つまらん」

彼は、現在の総理を引きずり落とし、取って代わろう、

など小さいことは考えていなかった。


「上手くいけば、少子化問題や地方活性化になる。

この問題の元凶は東京だ」


彼は選挙区が割り振られた日本地図を見つめる。

首都圏多くの議員が割り振られていた。


「だから、東京に一極集中し、人が集まってしまう」


彼は密かに仲間を集め始めた。





20年が経った。

東京都は消滅した。

戦争があったのではない。

首都が遷ったのだ。

大阪?

いや、そうではない。

奈良だった。

そこは坂部の地元だった。

奈良なんて、何もないのに?

だからいいのだ。

大阪なんかに首都を移したら、土地や建設費が高くてしょうがない。

政府は、何もない奈良に価値を創造することにした。

政府が行った首都遷都計画は巧みだった。

県内に候補地を3箇所選び競わせ、奈良県に対し、土地の無償提供を求めたのだった。

奈良県は首都になるメリットを考え、膨大な県債を発行し、土地を政府に提供した。

政府は土地の一部を売却し、議事堂など施設の建設費にあてた。

首都になる土地であるため、高額で売れ、建設費の40%をまかなうことができたのだった。

ちょうどその頃、リニア新幹線も奈良に開通した。

東京に本社があった企業は奈良を中心に、滋賀、岐阜、三重に一部移ったが、

日本の経済の中心は東京のままだった。

しかし、東京の人口は激減した。

と言っても、日本最大の都市で800万人を超えていた。

こうして東京の一極集中は解消され、日本経済は上向きを見せたのだった。



50年後、後世の歴史家は驚愕した。

一つのブログが東京都を消滅させたのだと。

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― 新着の感想 ―
[一言] あのブログ最高にいけてるよね。 名文だわ。
2016/03/11 06:09 退会済み
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