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レム  作者: Onisoh
蓮人編
6/25

束の間の日常

 「はぁ、厄日だなぁ今日は、、、」


 御影に遅刻を指摘され、慌てて用意したものの、家を出たのはその十分後。当然間に合うはずもなく、校門で待ち構えていた古風な体育教師の説教は、その後数時間に渡り続いた。


 「おはよ、蓮人。」


 「ん。どうした渚。」


 朝から疲労困憊で伏せっていた僕は、後ろからの声に耳を傾けた。声をかけてきたのはクラスメイトの堀 渚。苗字一字で、名前も一字。合計二字の珍しい名前だ。クラスメイトであると同時に幼馴染で、女子に対してはたいてい人見知りする僕の、貴重な女友達だ。


 「どうしたじゃないでしょ、もう。新学期早々遅刻してさぁ。」

 

 「あー、、、説教ならよしてくれよ。もう一週間分食らった気分だ。」


 「もー。それは蓮人が遅刻するからでしょ?」


 「はいはい。」


 返事をするため後ろを向いていた僕だったが、話題がめんどくさくなりそうだと考え、頭をかきながらまた机に伏せた。あ、そうそう。ここで彼女の説明をしておこう。


立ち位置的には、そうだな。クラスに一人はいただろう、こういう奴。


 「ところでさぁ。蓮人。」


 「ん?何?」


 「なんか、三年の女子と一緒に家から出てきたらしいけど、何してんの?」


「っ!?」


そう。情報屋。


「いや、相手の同意があればいいんだろうけどさ、流石にまずいんじゃない?会って一日でってのは。」


そして勘違いしやすいという、情報屋にあるまじき性質を併せ持つ、、、なんでこんな奴が友人なんだろうか、、、



 「バッ馬鹿!どこまで知ってる!?」


 「ふっふーん。私の耳は千里先のアリの足音でさえも拾えるんだよ?」


 「あのさぁ、渚。千里って何メートルだ?」


 「???」


 「意味わかってなかったのかよ!?」 


 こいつと話しているといつもの倍疲れる。御影のことも耳に入っているようだし、ここは早めに話題を切り替えるか。


 「なぁ渚。先日不祥事が発覚した岡田先生だけど、、、」


 「結局学校やめたんだって?知ってるよそれくらい。」


 ぐ、くっそう、、、。


 「それに話題を変えようとしてるのバレバレだよ?蓮人。」


 「は?」


 「蓮人は焦ると難しい言葉づかいをしだす、、、知ってた?」


 「いや、特に意識はしてなかったけど、、、」


 「さっきもさぁ、フショージとかハッカクとかさぁ、半分も理解できなかったよ。」


 「全部中学生レベルの単語だけど!?」


 半分も理解できなかった話題を先取りしてたのか、、、すごいなこいつ。


 「さ、覚悟するんだな蓮人。本当のことを白状してもらおうか。」


 「本当のことっていってもな。絶対信じないし、半分も聞かずに噂広めるだろお前。岡田先生の二の舞はごめんだぜ?」


 「なぁんてね。嘘だよ蓮人。」


 こちらの言葉を聞いた後、冷や汗を浮かべつつ正反対のことを言い出す渚。やはりそうか。岡田先生の誤報も、、、


 「ん?自分に都合悪いこと言われたから今回は諦めるってか?分かりやすいなアンタ。」


 「ま、蓮人はお得意さんだからねぇ。最後まで信じて見守っておくよ。」


 「勘違いされてる気がするが、まぁ追及はしないどくよ。変に噂広められるよりはずっとマシだ。」


 「ただ、蓮人。」


 「何だ?」


 先ほどのおちゃらけた様子とは一転、少し心配そうな顔でこちらを見る渚に、思わず振り向いてしまう。


 「流石にまずいラインは知ってるよね?まずいからね?本当にまずいからね?」


 「何を想像してんだよ!」

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