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レム  作者: Onisoh
蓮人編
4/25

夜が明けて

一昨日から投稿していたはずが何故か投稿されてませんでした、、、

取り敢えず三話同時に上げときます

チュンチュン。


 「んあ?朝……」


 瞼を越えて朝日が、耳には鳥のさえずりが入ってくる。なんだろう、とても長い夢を見ていたような……

 それが思い出せず、意識が徐々に覚醒していくのを待つ。

 

 「あ?あーーーーーっ!!」

 

 唐突に頭に流れ込む、大量の映像の波。大部分は思い出したくないものだったりするけれど。


 「夢、、、?にしては大分リアルだったし……。でも、」


 夢だったのではないのなら


 「何で……腕があるんだ?」


 昨夜謎の怪物に吹っ飛ばされた左腕は、しっかりと僕の左肩についていた。


 「あぁくっそ、何なんだあれは。」


 左腕の動作を確認しても、一切問題はない。狐につままれたような気分になって、また目を閉じる。

 丁度その時だった。玄関のドアから、やかましいノックが聞こえたのは。

 

 「っっ!」


 こういうとき、無意識に警戒態勢を取ってしまうのが、僕の悲しい習性だ。……あぁ、ほら、父親の仕事の関係で。

 だが、次に聞こえた声で、その警戒はすぐに緩むことになる。ゼロではないのだけれど。


 「蓮人さーん。あーさでーすよー。」


 「はぁ!?御影!?」


 乱暴に開けたドアの向こうにいたのは、昨夜斬られて倒れたハズの女だった。となると、昨日のは夢じゃない……?


 「あ、おはようございます……ってあれ!?」

 

 向こうも向こうで驚くことがあったらしく、こちらの左腕を強引に掴む。


 「蓮人さん!」

 

 「何すか」


 「何で腕があるんですか!?」


 「いや、アンタも背中切られてたじゃない。」


当然と言えば当然の僕の反論。出来ることなら、このまま昨夜の件は夢だったということにしたいんだけれど。


 「あー、それについてはきっちり治療いたしましたんで。」


大胆に肩口をはだけさせ、彼女は言う。


ーー思った以上に、大きな傷だった。思わぬタイミングで自己嫌悪に陥っている目の前で、


何せ保護者にに心配されるのでーーーー。そう続けた御影の眼は、何故かとても悲しそうに見えた。


 「いやぁしかし、縫うの大変でしたよ、背中は。」


 「縫ったのかよ!」


 とても僕よりひとつだけ上の女子とは思えない。


 「あー、話がそれましたねぇ。もう一度聞きますよ。」


 「僕にもわからねえって。」


 僕より知ってるやつが分からないことを知っているはずがない。大体、あの世界に関してだって、まだ納得のいかないままだし。


 「イモリ……なんですかねぇ。」


 御影が独り言のように呟いた。


 「ん?イモリって何だ?」


 「ほら、あの両生類の」


 「いや、それは知ってるんだけどさ。」

 

 イモリ……そういえば、昨夜もそんなことを呟いたような……。


 「そう、それですよ。あそこの世界だと……まぁ、普通に意識下なんですが。全てのものは『知覚』されることによって存在できるんですよ。」


 私が昨日出した武器だったり、蓮人さんの刀だったりとか。あるいは私たちの存在そのものだったりとか。御影はそう続けた。


 「で、僕の存在とイモリが、どう繋がるんだ?」


 「人が『知覚』できるものは、大抵何かに例えられなければならないんですよ。いかに美しいといえども、


比べるものがなければ、無に等しいですし、いかに強大な存在であろうと、戦う相手がいなければ認識されない


でしょう?」


だって、夢の中ですから。


 「はぁ……」


分かったような、わからないような。取り敢えず僕は、情けない相槌を打つことしかできなかった。


 「必然的に比べる対象に近づいていくので、あそこで『人のままでいられる』ことはあまりないですね。」


 「へぇ。僕の場合、その対象がイモリだったと?」


あの奇形の妖刀。色合いからすれば、まさにアカハラーー即ちイモリそのまんまだろう。それにーーこの腕。同じような形のトカゲなんかを思い浮かべれば、この再生能力にも頷ける。


ん?トカゲとイモリは別種か。まぁ、どうでもいいや。


 「蓮人さんの能力はそのままイモリですかぁ。ま、分かりやすいことこの上ないですが。」



 「何で?」


 「は?」


 「いや、僕の場合、ってか誰だってそうだろうけど、イモリを愛するなんてキモい奴じゃないし、見たことすらないんだぜ?何で他にもある中からイモリ?」


ついでに御影のも気になるところだ。


 そんな裏で御影は、いやぁ……。と、頭を掻きながら笑いながら言いにくそうに言った。


 「おそらくなんですが……名字……?」


 「……ッ」


井守蓮人ーーイモリレントーーイモリ……


何て安直な……ッ!?

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