多重人格
とてもとても間を開けてしまいました!
物心がついてから、気づけば周りからチヤホヤされてた。
別に自惚れとかそんなんじゃなくて、冷静に考えた結果だけれど、生まれ持った才能とか、魅力とか、そんなものに近いんだろうか。
ひとつだけ言えることは、オレが年子の弟よりも愛情をうけていたということだ。弟もそれに気づいてーーーー彼なりに振り向いてもらおうと何度も努力していたのを記憶している。けれど、その努力もむなしく、冷たく返され、絶望に染まった表情を、オレは何度も見てきた。
直談判の数は100を超えただろうか。けれど、オレに対する視線が変わったことはない。どれだけ声を荒らげようと、弟を落とし兄を持ち上げる親の態度が変わることは無かった。
弟も、よくひねくれずに育ったものだと思う。自分なんて一切気にもかけてもらえないのに...それでも兄を、オレを慕って、ついてきてくれた。――――――あの異常事態でさえ、オレを信じ、ついてきてくれた。
まぁ、結果としてオレは判断を間違えるのだけれど。
誰も得をしない、可哀想な多重人格者を生んでしまうことになるのだからね。