暗闇の先で
ーーーん、ーーとさッーーさんっ!
誰かが、呼んでいる。聞き覚えのある、安心する声だ。あぁでも、もうどうでも良いやーーーー。
意識が、ゆっくりと薄れていく。
そんな時。
「蓮人さん!」
声が、はっきり聞こえた。
あぁぁいや!何してんだ僕は!起きろ!起きろ、、、!
「うぁぁ!」
「痛ッ!?」
飛び起きた僕の頭は、僕の体を揺さぶっていた御影のデコにクリーンヒット。痛みに呻いている。え?僕?・・・昔から石頭石頭言われてるような男でね。
「よぉ、蓮人。気分はどうだ?」
取り敢えず御影を起こそうと立ち上がった僕に、遥か上から馴れ馴れしい声がかけられる。
ーーー馴れ馴れしいっていうか、半分僕自身だもんなぁ、この餓鬼。
「さいっっっあくの気分だよ。なぁ、朱肚。」
声の主は、自ら倒したと思われる魄に腰かけている、見掛け5,6歳の、妖刀。
「そーかいそーかい。なら俺のしたことは大層なお節介だったとーーー」
いじけた様に足をぶらつかせる朱肚に、僕は顔を向ける。
「朱肚。」
「あぁ?」
年不相応なんてことも言ってたりしたけど、やっぱこいつの大半は子供だ。半分とは言え感情を共有できているのだから分かる。
「そんな拗ねんなって。なぁ、朱肚。」
だからこそ、伝えなきゃいけないと思う。
「・・・何だよ。」
こいつは、この小さな体でずっと背負ってきたんだ。
「ごめん。・・・そして、ありがとう。」
「・・・。」
許してくれたのかな。彼はぷいっと向こうを見ると、そのまま霧散していった。ーー霧状になった彼は、そのまま僕の影の中へ、吸い込まれていく。
「あ、あの~?一応オレらにも説明してくんないか?」
視界に入ったのは、頭を抱えたまま呻く御影と、そと隣に立ったまま困ったように笑う先輩。
あ、忘れてた。