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やけに城内が騒がしかった。
自室に戻ったヴィクターがしばらくして感じたのは、それだった。
「おい! ヴィクター!」
自室の扉を叩く、団員の一人の声が聞こえた。
ノルンと会えなかった、という事と、デニスに咎められた事に少し落ち込みながらも、扉の向こう側に応答する。
「どうした?」
「団員全員に召集がかかってる。今すぐ来てくれ!」
「……わかった。すぐに行く」
全員に召集がかかっている、ということはただ事ではない、ということで。
――何が起きているんだ?
理由がわからないまま、支度をして部屋を出る。
そういえば、自分が団長なのに、何故そんな大事な連絡がなかったのか、という疑問は、部屋を出た後の違和感で感じた。
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