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翌日。
デニスは、世話係のグレイテルと共に、ノルンに昨夜の事を聞いた。
両親は魔女・リューミエルに殺されてしまった事。
そして、自分は人に愛されては死んでしまうという呪いをかけられ、自分を奪いに来ると言っていた事。
ノルンは泣いてはいなかったが、二人に頼んだ。
「誰にも、言わないで。……お願い」
二人はノルンの頼みを引き受けた。
成人もしていない、十歳の少女にかけられた呪いを解く術はなく。
ノルンにしてあげられる事は、彼女の願いをただ受け入れる事だけ。
デニスはノルンに仕える騎士として、彼女の傍にいて、グレイテルは専属の世話係として、彼女の傍にいた。
泣く事はなかった。
しかし、少しずつ、ノルンは心を閉ざしていく。
やがて、城の中の人間たちから、外の人間の人たちも、虚ろで陰った瞳のノルンを〝黄昏姫〟と呼ぶようになった。
――私は、いつか呪いで死ぬんだ。
それがいつなのか、定かではない。
けれど、その運命を抱えて生きなければいけない。
密かに胸に閉じ込めながら、毎日を過ごしていた。
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