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4.恋と愛
恋とは、特定の異性に強く惹かれること。
愛とは、異性を愛しいと思う心。
今は多分、前者なのかもしれない。
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ノルンは、毎日謁見に来るヴィクターに、どこか惹かれていたのかもしれない。
彼が来るのを待ち遠しくなり、次の日が来るのが少し楽しみで。
彼と視線が合うと、心拍数が上がったりする。
ノルンとしては、この気持ちが初めてだった。
彼が話す一つ一つが、平凡でも新鮮に感じたりする。
感じた事のない気持ちが自分を満たすたびに、彼が恋しくなる。
一緒にいたい。
もっと、傍にいたい。
ノルンはそんな気持ちを抱えながら、今日もまた彼に会えると、目を覚ます。
「姫様。朝食をお持ちしました。失礼しますね」
グレイテルの声が扉の向こうからした。
そうだ、グレイテルに打ち明けてみよう。
ノルンはそう思った。
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