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〜序章〜
―悲しみなんて無ければ良いのに・・・―
涙を流しながら少女は何度もそう呟いた。
誰も傷つけたくなかった。もちろん失いたくもなかった。
だけど私は失った。
この気持ちは届かずに、もしかしたら彼を傷つけてしまったかもしれない。
―さようなら・・・―
その声さえもう届かない。
結局、少女は気付かなかった。
一番傷ついたのは自分自身であるということを。
そのままひたすらに、ただ、ただ涙を流し続けた。
―誰も好きにならなければ誰も傷つかずに済むのかもしれない―
それが少女の辿り着いた結論だった。
泣きはらして真っ赤になった目で、雨上がりの青空を見上げた。
希望という光は・・・永遠に見えない気がした。