染宮海覇の仕事場
「あぁ、もうそろそろこいつらも卒業するのか………小学生は長いようで意外と早いな………。」
「そうですね……。でも、まだまだこれから何ですよね……あの子達は。」
「夢とかを探す冒険が終わり職がある俺にとってはあいつらがまともに生きていけるだろうなーと思いたいよ。遊び放題遊んでたな。」
実際、俺は小学生ぐらいならまだ勉強させなくても良いだろうと思ったが、道を踏み外されると色々と後味が悪くなるからなぁ……。
「とりあえず回想マシーンでも作ってみるか………。結構良い思い出が映し出される奴。設計図できてるし。」
「染宮先生は算数の教師ですよね?」
「まぁ、本業は少女漫画家になりたいのが俺だ。」
すると、同僚で今は2年生を担当している社会科の教師である、照西 菊乃が突っ込みを入れてくる。
「まぁ、こーゆーのは趣味だしな。小学生に魚の本当の美味しさが分かる薬とか作ってるしな。」
「確かに昔から魚嫌いな子が魚を取り合うようになったのって、染宮先生の薬だったんですか?あれノーベル賞取れちゃうんじゃあ……。」
「いや、結構コストがかかるから賞は取れないな。とれるとしたら中学~高校時代の時のがいいかもな。犠牲者は多いが。」
「なにがあったんですか?」
「まぁ、ここで話すとやばいからどっか別のところで話す。」
とりあえず今日、居酒屋に行くことになった。教育者が行って良いとは思われにくいだろうが、明日は休日だ。それに、ここを選んだのはだいたいの話がホラ話になるからだ。
雰囲気の合うつまみだけ頼む。イカ天とか枝豆とか。もうそろそろ卒業式だ。酒は飲まないことにするのだが、お冷だけというのも寂しいからだ。まぁ、照西も俺も酒に弱いしな……。それに車で来てるからどっちにしろ飲めないのだが。
「俺は科学部に入ってたんだよ、中学と高校で。設備がとんでもない規模でな、当然大量に試作品ができたんだよ。実用性の低いのとかな。」
「普通科学部って、爆発する謎の液体実験とかが定番のような………?」
「爆破か……先輩方がやってて巻き込まれそうになったのはいい思い出だな………。」
俺はそう言って枝豆を一口食べる。
「良い思い出なんですか……?それ…。私は科学部の一般的な事知りませんし………。」
「まぁ、先輩方はアフロ頭で卒業する人が多かったな………。」
一番すごいアフロは全長一メートルだったかな………。
「ちなみに、中学での被害者は計27人、高校では思春期真っ只中立ったからか36人と多めだったな。大学では他にも色々やってる人もいたから正確な人数は分からん。まぁ、あるプロジェクトに参加しててそれであまりできなかったし。」
「あ、あの~。そのプロジェクトってなんだったんですか?すごく気になるんですけど………。」
「それはまたの機会に話すことにする。」
そして、俺は動画が見れるタブレットを出した。
「被害者は俺がやらせた的なのじゃなく、勝手に飲んだってのがほとんどだ。俺自身が手を出したのは魅恩ぐらいだな。」
「魅恩って、よく言ってますよね………確かいとこの人ですよね?何やったんですか?」
「性転換。」
「ブフッ!!」
当然のことながら照西が吹き出した。
「まぁ、それは置いといて………。この動画見ろ。世界で約2000万人がお気に入り登録した面白ムービーだ。」
「あ、私も見たことがあります。」
それは、怒ると禿頭から毛が一本だけひょろっと生えるやつや、両手を上げながら叫ぶと手が10メートル伸びるやつとかの動画だ。
「こいつらがその被害者だな。」
確かナ○パ薬とル○ィ薬だったかな………。
管理を適当にしてたらあいつ等が勝手に飲んだんだよな……。俺の責任ではない。
「この動画にそんな裏事情が………。」
照西は少し暗い顔になった。
気がつけばつまみが無くなりかけていた。
「すいませーん。ミミガー、一つー。」
「あいよー。ミミガー一丁!!」
こりこりなるミミガーを食べながら話は進んでいった。
「とゆうかいとこの人って苦労してるんじゃあないですか?薬でいきなり女にされて。」
「……まぁ、反省している。」
「そうですよね………。」
「もともとその薬は特殊な血液型を変化させてまぁ、AB型に治すって作用も追加しようと思ってたんだよ。まぁ、あの時にやろうと思ったら魅恩がアレルギーになる海老の粉末が必要でな………。」
「そうなんですか……いとこの子のために……。」
「まぁ、女体化にもできる奴ができたしせっかくだから試そうとして使った。ブラコンでの近親相姦を無くしたのだから後悔はしていない。」
「………せっかくだからって使うような物じゃないと思います……。」
「あ、ちなみにさっき言ってた薬今持ってるよ。照西は普通のA型だから使えないぞ。普通の人に使うとほとんどコーヒーと同じように眠りにくくなるだけなんだよ。」
「なんで持ってきてるんですか………。」
「いや、改良がかなり進んだから自慢用に。」
「自慢用って言葉は置いておいてどんな風に改良できたんですか?」
「これまでは最後に入れた調味料によってその人の元の素材を使って変化させられるんだ。それに、特殊な血液型を普通の血液型に変化させて、普通に輸血なんかを受けられるようになるんだ。どうだ?万能だろ?」
薬についての話が終わり、卒業式に関しての話をした後帰ることし、店を出た。
そんなときだ。
事故があったのだろう、魅恩と同じぐらいの年の血まみれの少女が救急隊員に向かって叫んでいた。どうやら、事故した車の飛んできた破片で肩と手首を切ってしまい、出血がすごいらしい。
「私血が特殊で!!だから輸血したら亡くなるんです!!だから、血を止めて!!」
「デタラメ言うな!!何型だい君は?」
「………仮の呼び方がC型です………。」
「君の命がかかっているんだ。ふざけてないで………。」
あぁ、偶然という言葉は存在するのか………。
「すいませーん、この子の言ってること事実なんですよ……。俺のいとこに同じやついますし………。ちょっと連れて行きますね………。」
「えっ、ちょっ、あのっ!!」
魅恩の時にこんな感じだったら救急隊員を殴っているだろうが、今回はそんな訳にはいかないので、少女の血を拭いてから、車に乗せた。
「時飴飲ましとくか………。」
高校時代に奇跡的に5個できた傑作の薬をコイツに飲ませた。
「それ何なんですか?」
「時飴って名付けた薬でな、飲ませれば出血とか病気とかの時間を一定時間止められるやつだ。」
「ノーベル賞貰いに行かなくて良いんだろうかこの人……。」
そして、俺の仮住まいの一軒家に帰った。
照西には明日からしばらく休むかもしれないというのを伝えて貰うのと、色々と事情があるため、帰ってもらった。
「普通の家庭とは思えない設備ですね………。」
「輸血パックも何個かあるしな。一時期医者目指してたときあったからその名残だ。それよりお前、命が助かるなら何でもやれるか?」
少女は意志を露わにして頷いた。
俺は、彼女にあの薬をさした。
彼女の体が光り、姿が変わっていった。
海「えー、次回は本編に戻る前にもう一話番外編だ。」
?「あ、そうなんですかぁ……。」
海「次回は本編の補足編だな………。多分?の出番は無い。」
?「あれだけ引っ張って出番なし?次回何やるんですか!!」
海「……次回、都市島プロジェクト。」
?「出番よこせー!!」
海「お前の出番はもうちょい後な。」