リア充爆発しろという人でもモテる人はいる。
ヤッチャン視点
さて、ここはサッカー部の部室の中、柏木と旅行の土産を交換しているときの事だ。
「さて、柏木よぉ、お前は合宿前に随分楽しんだんだなぁ、旅行を。」
「……いや、妹とその友人とかと一緒なだけだぞ?」
「…………少なくともお前は俺と一緒にリア充爆発しろという仲間ではないと俺の本能が言っている。仲良く女子と同じ部屋でイチャコラしたんだろう?あぁん?」
俺なんか、俺なんか家族旅行では奴隷扱いなんだぞ……。両親のツーショットのカメラマンとなり兄二人のパシリになったり………。正直旅行を楽しめたとは嘘でも言えん程だぞ!!
「言っておくが………目黒が彼女とイチャコラするために俺は窓の向こうで寒さに耐えながら寝袋で寝てたんだぞ?」
成る程………………それで部の合宿の時にあんなに普通のベッドで寝れると喜んでいたのか………。
「にしても、このサッカー部の中で俺達は卒業まで彼女できなさそうだよなぁ…………。」
その言葉に俺は完全に苛立ったのだ。コイツの鈍感さに。
「まぁ確かにサッカー部はモテる。俺達二人はそんな理由でサッカー部になったんだよな?しかし、現実は甘くないのか俺達だけ苦いのか………俺達二人以外には彼女が部活に入ってから一ヶ月ほどででき、先輩たちも彼氏彼女がいるわけだ。」
「おいちょっと待てなんで彼氏彼女って言ってんだ?彼女の表現だけで良いじゃないか、普通なら。」
柏木が不思議そうに聞いてくる。まぁ、コイツは城九乃坂のサッカー部の常識をあまり知らないんだろうしな………俺は兄貴がここの卒業生だから情報があるだけであって、詳しくは無いが。
「うっせーな!!トムランとかのゴールキーパーの方々はみんな同姓の恋人いるんだよ!!決めゼリフが『どれだけでも撃ってこい。全て止めてやるよ。俺のピーでな。』とか『やらないか?』のゴールキーパー陣だぞ!!彼氏彼女っつても問題はねぇ!!」
実質それでも恋人がいるという時点で大きなアドバンテージだと俺は思う。
「まぁ、本人の前ではあまり恋人の話とかはするなよ。口封じという理由でヤられるからな。」
「お、おう……………。」
ちなみに兄貴はその現場を見たらしく、しばらく男性恐怖症になってしまっていて家の中では百合ゲーばっかりやって母がこっそり男の娘ゲー入れてどうにかなったのだけど、俺はなぜ母がそれをもっていたのかが非常に悩む点になった。
「まぁ話題を戻すとお前はフラグがビンビン立っている事に気付いていないのだと俺は思うわけだ。なんか練習中に視線を感じることとかお前には無いのか?」
「?無いが…………敵のスパイでもいるのか?偵察部隊とか?」
「……………正直俺がこうして倉庫で話そうとしたのもその影響なんだがな…………。ここからなら盗撮とか可能ですとか言われてもな……まぁやらないと俺死ぬからな………。」
「何の話だよ?」
「それは言えない。言った時点で俺はお前の目の前で徐々に潰れる肉団子になるだろう。」
~回想~
「………よっしゃ!!行くぜ目黒!!」
「希留葉、パスありがとうございます。って、もうプレスですか?希留葉、戻しますよ!!」
「おっしゃ!!インターセプト成功~。」
と、こんな風に練習中の風景の中に、「チッ」と女性の舌打ち声が聞こえたのだ。
そして、その練習終了後、俺は帰宅路にある電柱の一つに縛られていた。
「さて………どうしましょうか、いつもいつもシャッターチャンスに横入りしてくるやつをどう処分しようかと………」
どうやら毎回コイツの盗撮相手の柏木を俺が毎回邪魔しているらしい。
「……………いや、ちょっと待て!!すっげー言いがかりじゃね?」
「だって毎回希留葉先輩をマークしていたりワンツーの距離にいたりして………ストーキングの邪魔です。」
「お巡りさーん!!ここにストーカーが!!俺のじゃないけどストーカーが!!」
俺はとりあえず死にたくない思いで全力で叫んでいた。だって首筋にクナイ当てられてるんだぞ!!しかも柏木のせいで!!
結局お巡りさんは来ず、命惜しさに俺は彼女のストーキングを手伝うハメになったのだった。
~回想終了~
「まずお前のタイプってなんだ?」
俺はコイツに好意を持っているのを三人ほど知っているし、正直ダダ漏れだと思うのだが………。
「まぁ、巨乳であって……………。」
それならば発展途上という噂の一人と実質巨乳のストーカーがすでに当てはまるじゃないか………?
「俺と同い年か年上だな。それ以外のは全部わがままな妹に見えて恋愛対象として見れねーし。」
…………こいつが鈍感な理由が良く分かった。柏木は年下にモテてしかも年下からの好意には鈍すぎるのだ。正直に言うと柏木は無自覚ハーレム、天然ジゴロ(両方年下限定)なのだろう。正直に言ってその環境俺に渡せ!!と叫びたい。
こんな事を話していると部長のゆっさんが入ってきた。
「柏木………年上は、怖いぞ、止めといた方がいい。というか恋人同士の関係になると色々大変だぞ?」
しかし、ゆっさんに俺と柏木は、ゆっさんの薬指についている結婚指輪を見て叫んだ。
「「既婚者が言う言葉じゃねぇだろ!!」」
ゆっさんは今年のエイプリルフールで誕生日でもある日に結婚式を挙げた。お相手はゆっさんの幼なじみで一つ年上の人だ。
「いやいやいや、いくらなんでも18歳最初の朝にいきなり拉致られて両方の両親了解済みで挙式挙げられたら怖いわ!!プロポーズは前日にされてたけど!!アイツは美人だけど!!優しくて料理も旨くて俺に一途なんだけど挙式挙げたときは恐怖だったぞ!!アイツの親戚は大企業のお偉いさんばっかで迫力すげぇんだよ!!」
「まぁ、俺にはそーゆー挙式無縁だと思いますけどね。」
「あぁ、どこの夢物語ですか?」
「現実だ!!というか目黒!!メモするな!!」
こんな風に部室の中が騒がしくなっていた。あぁ、俺以外は全員平和だ。俺はそっと柏木から離れ、彼女の盗撮をできるように移動した。
もし、シャッターチャンスを邪魔したら、俺は間違いなく………死ぬので。
雪「さて…………そろそろスポーツ祭だ。正直チームとして真名部は欲しい人材だったのだがな………」
希「いやいや………アイツは女ですから。」
目「僕の彼女ですからね。顔に傷はつけられません!!」
雪「………次回、再会の笛はトキメキと共に。」
希「誰のだろうな………?」
目「少なくとも希留葉では無さそうですよ?」