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カミングアウトは突然に

僕は、これまで自分が元男たったという事を自分から話したことはない。最初から言おうと思えば言えたのだろうけど、その勇気がでなかった。



一回チュチュ先輩にバレたこともあるのだけど、あの時はチュチュ先輩の秘密の方で頭がいっぱいになってしまい、僕はまた機会を失っていて、その内このまま言わなければいいんじゃないかと楽観していた。

しかし、光がこのことを知り、僕は言わなければならない状況に置かれてしまった。もう逃げる事なんてできないのだ。

あぁ、そういえばタクトさんも同じようなことになるんだろうか?いや、あの人はもう何人かの人に知られている。それでも環境は変わっていない。


………しかしそれは長年の付き合いがあったからだ。

一年どころか半年も一緒に過ごした期間がない僕にとって、それでも暖かかったフォルテちゃんや儚、ココに拒絶されることを、何度も何度も想像してしまい、涙が出てきてしまった。乗り越えなくてはならないという事でも、乗り越える直前が一番怖いというのは、本当に理解していたはずなのに、なんでこんなにも心が折れそうになってしまうのだろう。



すっかり朝を迎え、僕は皆と朝食を食べた。

仲居さんが食事の片づけをして出て行った後、誰も部屋の近くにいないことを確認してから、フォルテちゃん、儚、ココの前に座り、暴露した。

暴露する前は、三人は何でいきなりそんな顔をするの?という感じだが、気にしてはいられなかった。



「僕は、ここに来る少し前まで、男だったんだ…………。怖くて………言えなくて……」

僕は泣き出してしまった。もう、これで終わってしまうかもしれない彼女達との仲を思ったのと、これから拒絶されるかもしれないという恐怖からだ。



最初は鳩が豆鉄砲を喰らったような顔をしていたけれど、三人は僕が思っていなかったような行動を取っていた。

初めは儚だった。

『魅恩、私は、魅恩の事が大好きだから、お姉ちゃんみたいに思ってた………。』

「だ、だけ………れん………うぅ……」

『お姉ちゃんっていう甘えたい思いと、魅恩にもっと好きになってもらいたい……って恋愛感情もあった。何でかなぁって事が納得できた。』

「みお……ん……だい………す……き。」

そう言って儚は僕に抱きついてきた。


「そうだよ……私も魅恩ちゃんの事好きだもん!!なんで男の子の魅恩で出会っていなかったんだろうって思うよ!!結婚………できるから!!」

「フォーと同じだよ、私も………。あんな助けられ方して惚れるなってことがおかしいでしょ!!私は同姓でも結婚したいって思ってるの………ミオ。」


その言葉から僕は彼女たちから拒絶されなかったことの嬉しさから、抱きついてきた儚を抱きしめながらわんわん泣いた。光は、「やれやれと労いたいですが心お嬢様は渡したくありませんというか私の嫁だぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!」と叫んでいた。…………せめて空気読んでください。



そして、女になった時の事を説明してから落ち着いた後に、

「そういえば魅恩ちゃんって男の時はどんな感じだったの?」

「とりあえずここに写真のデータがありますが…………。」

あ、そういえば今の自分の姿に慣れてしまっていて昔の顔ってこんなんだったっけ?状態になっている。

『この人、本当に男の時の魅恩なの?あんまり男に見えないんだけど……』

「うん、それは自覚してる。男らしくないしそもそも姉様から逃げるために色々としてたから男を磨くこととかできてないから。」

自立できるように色々と必死だったんだよ………。小学校時代、たまに出てくる姉様の毒という名のシュークリームを食べるのには相当の覚悟がいりました。あの中には惚れ薬やら睡眠薬やらが入っていたのだから。

「大概の睡眠薬や媚び薬なんかの効果は受け付けないのになんでアルコールはダメなんだろう………?」

「アルコールは慣れてないからじゃないのかな?」

ちなみに、アルコールを飲むと僕はどうやら女の子にセクハラしまくって、男+姉様はぶっ飛ばすらしい。

「アルコールで寝落ちするまでに二時間は掛かりますよ。」

本当に自分からはお酒飲まないようにしなきゃ………と、そう思った。



「そういえば魅恩ちゃんって小学校私の従姉のタクトちゃんと同じだっよ~。」

その言葉に、今度は別の不安を感じた。

「タクトちゃんは何かに抱きついてないと寝れない子でぬいぐるみがたくさんあったなぁ~。なんでそうなったのかは分からないんだけど………」

そう呑気に話しているフォルテちゃんの横で光はまたぶつぶつ呟いていた。

「私は心お嬢様の寝顔のプリントされた枕で寝るか心お嬢様の半径50メートル以内にいないと不安で寝られません。」

『さも当然のように寝顔の写真って言ってるけど………』

儚が少し引きながら光に問いかけた。

「もちろん小学校時代のから持たせてもらっておりますよ!!まぁ、小学一年生から三年生まではセキュリュティがキツかったですね………。小四でやっとマスターでき、中学からは同室なのでもはや敵無しですよ!!あ、裏取引はしていませんよ?まぁ、心お嬢様のお兄様が面白がってセキュリュティを強化したのと心お嬢様のお母様のお守り用に渡したぐらいですかね………?」

「お母さん私の寝顔をお守りにしてたんだ………」

「ちなみにこのカメラは相棒ですね。このスナイパーライフルと同じくらい!!」

『そういえば光は睡眠時間足りてるの?』

そう儚が聞くと光ははっと笑った。

「そんなもの、10分もあれば足りますよ!元々鍛えられてましたからね!!」


とりあえず一番気になるのが目にクマが無いという事ぐらいだよ………。

「まぁ、心お嬢様の近くにいれば基本的に脳が眠っていても体だけで動けますから脳には影響ありませんがね。」

……化け物か、光は。


光「さてさて、私の心お嬢様の照れ顔コレクションの中でも可愛さベストテンに入るのを写真に抑えたところで、次回は別の人の話ですね。」

心「え~っと、光のコレクションについては後で聞くとして、次回は熱海の方の話らしいです。」

儚『次回、嫁と姑。』

魅「なんだろう、シリアスっぽいタイトルなのに全然それっぽくならない予感がするよ………?」



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