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本当の名前

桧視点

二人きりになってからしばらくして、竜氷に話しかけた。

「………竜氷は良かったのか?俺と同室で?」

すると竜氷は少しだけ頬を赤らめた。

「………うん。竜火があの人と一緒の部屋に行ってたし………。…………私も桧と同室になれて良かったし。」

「まぁ、多々良の倒れた原因の一部になっていたしな。」

あんだけ荷物持ってたら倒れるのも無理はない。


しかし気まずいな…………。

元々二人部屋でカップル部屋があればいいと言っていたら多々良の親父さんがカップル部屋を三つとっていたのだ。カップル部屋は一つで良かったんだよ………飯島とその彼女にあれば。


「…………。」


竜氷は何か言いたそうにしているが、沈黙が続く。

「なんだ?竜氷?」

「ご、ごめんなさい。私、人の後にしか話せない性格で……………。」

「……俺も基本的にそうだから気にするな。」

「そう……。それと………さっきはありがとう………。おんぶしてくれて。」

「俺がお前を手助けしてやりたかっただけなんだ。気にするな。」

「………でも、嫌じゃなかった?私なんかと一緒の部屋で………。それに、さっきのおんぶの件で迷惑かけてたのに。」

竜氷は俯いてしまった。

「別に平気だが?俺は迷惑とか思ってない

すると、竜氷はこちらに寄ってきた。



「私は昔から竜火がいないと引っ込み思案で暗い子だって分かってるの。誰かの後にしか言葉が口から出てこないし…………。…………そんな私でも、あなたは私を嫌と思わないの?迷惑だって突き放さないの?」


なんで竜氷がこんなにおどおどしているのか、その理由が少し分かった気がする。

竜氷は不安だったんだ。双子の片割れがいないときの自分が、受け入れられないんじゃないかって。


「言ったじゃないか、俺は迷惑と思わないって。」

「…………むぅ………。なんだか自分が不安がっていたことがバカみたい………。」

そう言う竜氷が可愛かったので、俺は彼女の頭を撫でた。

「…………。」



また何か言いたそうだったので、呼びかけてみる

「どうした?」

「ねぇ、桧…………。私、姉の竜火にも言ってないことがあるの。」

「…………どんな秘密なんだ?」




竜氷は俺にすり寄ってきた。そして、俺の背中に回り、背中から抱きついてきた。



そして、小さな………かすかに聞こえるような声で、竜氷は言った。

「私の………。本当の名前のこと…………。」

そして、

「どういうことだ?」

俺の質問から、竜氷は話し始めた。



竜氷視点

私と竜火は普通のサラリーマンの父と、華道の先生をしている母から産まれた。

産まれた時の両親の顔はまるで天使を見たのかのような顔だったと叔母さんは言っていた。

私はそれで、普通に喜ばれてたと思っていた。


でも、お母さんは、私が小学四年生の時に、私と二人きりの時にこう言った。

「私は、あなたが産まれてくれて、本当に嬉しかった。二人が無事に産まれてきて、二人が死産にならなくてすんだ。あなたのもう一人のお姉ちゃんの生まれ変わりかもしれないつて思ったから………。」と。お母さんは、涙をぬぐいながらそう言ったのだ。


つまり、私達は二人が産まれた分の喜びではなく、三人分の産まれた喜びを二人だけの私達に向けられたのかと思った。それはとても嬉しかった。

理由はどうであれ、私達を思ってくれているのを。



「それでね………、竜氷、あなたには、本当の名前があるの。だけど、それは竜火やお父さん、お友達には内緒ね?これは、お母さんと、竜氷と、竜氷が大好きになった人だけの秘密。」

そう言われた、私の本当の名前………。




「私の本当の名前はね………竜氷たつひなの。妄一人のお姉ちゃんにつけられるはずだった名前は、氷龍ひたつだったらしいから………。」


竜のように気高く、氷のように冷静にという願いが込められていたらしい。



そして、私は桧を強く抱きしめた。

「……………。」

やっぱり自分が先に声を出すということができない。

「なんだ?竜氷りゅひ?少し照れるんだが。」

「…………私の本当の名前教えたのに………二人きりじゃないときは仕方ないけど………二人きりのときは竜氷たつひって呼んでよぉぉぉ………。」

すると、桧は少しだけ顔を赤らめながら言った。

「…………竜氷たつひ………。」

私の顔も少しだけ赤らんでいく。

「…………私の本当の名前を教えたから………責任、とってよね。桧。んむ。」

私は横から桧の唇を奪った。………口づけという奴。(

「…………なんでいきなり………。」

「私、いたずらっ子で通ってるから、こんなスキンシップは桧にしかやらないけど、桧にはこんないたずらを唐突に仕掛けてくから。」

そう言って私は桧に抱きついた。



桧視点

……………責任の意味を考えてから急に頭の中がオーバーヒートしていた。

そんな中でキスされたので、その責任の意味が自分の考えていた事と同じだと分かったのだから。



…………。

「これからよろしく、竜氷たつひ。」

そう言って俺は竜氷を自分の胸の方へ移動させてから抱きしめるのだった。

「うん、よろしく………。」

そして竜氷たつひは俺の頬に竜氷がすり寄ってきた。



こんないたずらならむしろ大歓迎だと思ったのだった。











希「ネタバレ防止的な感じで俺達がやることになりましたってことか………。」

目「ちゃんとカンペに書いてあるとおりに呼んでくださいよ………。」

希「次回、真実の名前。」




ア「そういえば私の名前は姓、ミドル、名前てきな順番ですね。ホワイトの方が名字です。」


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