朝起きてからが温泉旅行です
「んむ~、まだ寝ていたい~。」
「この夢心地を奪うとはお兄ちゃんは鬼でありますか!!」
「ん…………じゃあ、私だけついてく………龍水はいい子だから、もうおにぃの腕に捕まってる………。」
正直すこし痛い…………。
「今日から温泉旅行だから…………。早くいこ?」
私はネオンとツァルトの布団をひっぺはがした。
正直こーゆう感じの荒っぽい起こし方はしたくないのだけど、仕方ない。
二人は渋々着替え始めたのだった。
そして、数十分後、出発…………正直、こーゆー時は男の方が身支度が楽なんだなぁ…………としみじみ思った。ちなみに、荷物の関係上、とららんの抱き枕は持っていけなかった。かわりに龍水がだっこされながら寝てくれるらしいので、それに甘えることにする。
「おにぃ………おんぶ~。」
「私は右腕にすり寄らせて貰うね!!ツァルトは龍水の温もりがある左腕ね!!」
「しまったのです!!お兄ちゃんの温もりの中に龍水に奪われた優越感があるのですか!!まぁ、それでも捕まらせて貰いますが。」
集合場所に来ると、仁と目黒、希留葉と好葉ちゃんらしき子と蒼空ちゃんらしき子が駅で待っていた。
「はじめまして、樫羽 蒼空です!!」
元気な子だなぁ~と思った。実際に服装は半袖半ズボンだし。
「(良かったぁ~。三人とも私のお兄ちゃんなんて目もくれてないやぁ~。うん、大丈夫!!この子たちは親友!!)初めまして、柏木 好葉です。いつも兄貴がお世話になってます。」
なんとな~く間の間に好葉ちゃんか考えていることが分かってしまう。
私達が来てちょっとしてからアーシュと
「あ~、眠い…………さすがに初めての旅行はわくわくしますね………。」
アーシュ曰く、これまで大学関連から離れたことが無かったという。温泉に入ることすら初めてだとか。
「タクト~。ふにゃあ………。」
「か、夏音………い、いきなり抱きつかないで………。」
夏音は低血圧で、私が女だった頃もよくこうなった。けど決まってこうだった気もする。
私と夏音のやりとりを見ていた仁がそわそわしながら目黒に問いかけた。
「な、なぁ星也、私も………あんな風に甘えた方がいいのか?」
「?仁は仁らしくしていればいいですよ?人のを見て変える必要はありませんから。」
「………………そーゆーこと言うなよ………照れるから………………。」
「あ~、その惚気部屋の中ではやめてくれよ。」
「希留葉は部屋の押入の中か、外のベランダらしきところで寝て貰いますから。もう決定事項ですよ。」
「兄貴、どんまい。ま、風邪引かないように気をつけなよ~。」
「希留葉さん、寒くなったらいっそロビーの方に行ったら良いと思います。」
「…………この旅行にヤッチャンいりゃあなぁ…………。もう一部屋借りていたのにな…………。」
二人とも、フォローになってなかったよ。希留葉すごい落ち込んでるよ。
「あ、新幹線で行くんですけど、座席表渡しときますね。一応貸し切りに近い車両ですね………余ってるところは荷物を置いて置いてください。」
座席はくじで決めたらしい。
目黒と仁、蒼空ちゃんとネオン、好葉ちゃんと希留葉、龍水とアーシュ、私と夏音、ツァルトと荷物の順番だった。
「このくじ引きは不公平なのですよ………帰りはお兄ちゃんの隣を所望するのですよ。」
「じゃあ、そういうことで………じゃあ希留葉と入れ替えますか?小学生で荷物番は少しきついかもしれないので………。」
「まぁ好葉にとってもいいだろうよ。旅行でわざわざ嫌いな兄の顔見ながらの旅路なんぞつまらんだろーしな。」
「そ、そんなことない!!むしろ兄貴には私を楽に寝させるための手伝いをして貰わないと困るんだから!!(家ではしてもらえないし学校違って今回の部屋も違うからチャンスは今だけなんだからぁ!!それをなくさせられてたまるか!!)。」
「じゃあ二人で荷物番すればいいかもしれませんね。」
「はぁ!?なんでだよ!!つーかなんで俺がやること決定してんだよ!!」
「まぁいいんじゃないか、柏木。荷物番が増えるだけだろ?」
「わーったよ。はぁ………。」
希留葉と好葉ちゃんの席に荷物を一部移動させた方が楽なので、それを実行した。
「ふぁ~あ、疲れた~。」
女だった頃はまりしなかったような大きな欠伸をした。
「タクト、そこまで疲れるようなこと、してたっけ?」
夏音が心配そうに私の顔をのぞき込んでいた。
「いやぁ、あの荷物運びの他に駅に行くまで三人を引っ張ってたし………。それで疲れてて………。」
男になってから少しだが体力は上がったのだけど、それでも三人を引きずらないよに移動するのは苦労する。
「じゃあ、私が起こしてあげるから、少し寝ていてもいいよ?ちょっと待ってね………よいしょっと………。」
「か、夏音?なにやってるの?」
「タクトは………抱きついてないと…寝れないでしょ?宿では龍水ちゃんが抱き枕になるって言うから私は今やってもらわないと………むぎゅ~。」
夏音が私の膝の上に座った。
「ほら、タクトもハグして?ぐっすり寝ててね?」
そう言われて、私は夏音のよく使っているシャンプーの香りを感じながら、ぐっすりと眠りについた。
電車内の景色を見るのは、帰りだけでもいいだろう。
そう思った私は深い眠りについていた。
希「はぁ…………なんでこいつは嫌ってるようなやつの膝の上で幸せそうに寝るんだろうな………。」
好「すぅ…………すぅ………おにいちゃん………。」
目「相変わらず和みますね………。」
仁「…………私も………して欲しいんだけどなぁ………星也………。」
蒼「うぅ…………目黒さん!!帰りは私と希留葉さんを同じ席にしてください!!」
ネ「膝枕……あ、お兄ちゃんにしてもらってない!!というか私が一番上だからってやってくれること少ない!!………家に帰ったらねだってみよう!!」
夏「次回………もう一つの熱海旅行組。」
「タクト………ほっぺふにふに………。」
ア「…………なんだか一人だけこの膝枕な空気に入れてない気がします………。」