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異常の二人の愛の告白 中編

僕には、幼なじみとなる希留葉と出会う前は、今の家とは別の家に住んでいた。

何で引っ越したかというと、父がちょうど本社に戻るタイミングになったかららしい。

引っ越す前は四人家族だったのだけど、引っ越す直前に三人家族になってしまった。理由は、僕と歳の少し離れた姉が死んだからだ。



僕の姉は僕より10も上だ。両親が学生出来婚だったらしく、色々あってその後子供があまりできず、僕が産まれたのがそれくらいだかららしい。姉の名前は月音つくねだった。



僕は、顔も心も綺麗な姉が好きだった。

今も姉が生きていたらシスコンとも思われるほどにだ。

しかし、そんな姉の最後はあっけない事故によって終わりを告げた。酔っぱらいが運転するトラックに跳ねられ、顔がグジャグジャになるぐらいの事故だった。本当の顔も分からないらいに。

それは、僕が4歳の頃だった。


なんで身元が分かったかというと、姉が持っていた生徒手帳だった。しかし、僕と両親は認められなかった。姉が死んだなんて思いたくなかった。ただ、呆然としていたときに、僕は気付いた。

姉の手首に、僕がプレゼントした手作りのブレスレットがしてあったのだ。世界に一つしかないデザインのブレスレット作りという幼稚園のイベントで作り、姉にプレゼントしたそれは綺麗に残っていた。姉はとても喜んでそれをしていたというのを、葬式の時に姉の友人から聞いていた。


それに気付いた僕の心の中はパンクしていた。あのブレスレットが、姉本人だと僕の頭に決定づけた。

僕は、姉のグジャグジャの顔を見ても、姉のことを嫌いになれるわけが無かった。

姉がどんな姿になっても僕は姉のことを嫌いにはなれないのだった。

しかも、僕の感覚は歪んでしまったのか、ただ綺麗な顔というのを受け入れられなくなった。姉はかなり美人だが、顔が崩れて死んでしまった。僕は段々と歪み、自分を正当化するためにか、人として崩れた顔しか愛せなくなってしまっていた。


多分僕は醜くも美しい物しか愛せなくなってしまっていたのだろう。それは、もう戻せない。



それから時が経ち、希留葉と出会ってから、姉のことが心の片隅に残りながらも楽しく暮らしていた。


しかし、中学時代にサッカーでそこそこ強かったから、女子達が告白してくることもなぜかあったけど、すべて断った。

綺麗なだけの子は、僕は受け入れられなかった。だから、断り続けた。



中学二年の頃、僕は希留葉に「お前はゲテモノ好きだな。」と言われたが気にならない。

気が付けば僕はゾンビや口割け女やらにハマっていき、そんな女の子を褒めてもなぜか逆ギレされるとかがあって、今の城九乃坂で、なぜかクラスの委員長をやることになっていた。



そして、三人の転校生がやってきた。

僕はそのときはその三人を誰にも興味が沸かなかった。まぁ、仲良くはできるだろうと思い話しかけた。委員長でもあったし。


それから、数日後、僕は部活の前に教室に忘れ物し、放課後教室に戻った。その時に、真名部さんが机につっぷして寝ていた。

その時間は部活に入っていなければもう帰っている時間だったので起こそうとしたら、真名部さんの前髪で隠れていた顔が見えた。元々見る気は無かったので、これは偶然だったと思う。



その顔は、女として、醜くも、それ以上に美しく輝いていた。その時に、自分の中の何かが変わる感じがした。

顔だけじゃなく、彼女の事が気になっていたのかもしれない。そう思えるほどだった。しかも、その寝顔は、とても可愛く感じた。少し頬をつついてみても起きる気配がなかった。

部活に遅れると部長から小言を言われるので、それを回避するためにその場を去ったのだった。



ただ、真名部さんのことは他の人には秘密にしておこうと思った。多分、よっぽどの事が無いとバレないと思ったから。


そして、さらに数日後、風邪をひいて休んでしまった。休んだのは一日だけだったけれど、その一日の間に、

その事に気付いたのは、彼女から感じる居心地の悪そうな雰囲気だった。

何があったのかを問いつめたときに、逆ギレされてしまい、教室から逃げてしまった。



その時に、僕はまた自分の好きになった人が居なくなってしまうのでは?という焦燥感に駆られた。その事で、少し体が震えた。



全力で走って屋上にたどり着いた。少し僕の息は切れかけている。

その時に、また暴言を吐かれてしまった。

それでも、僕は彼女にいなくならないで欲しかった。

たとえ僕一人のワガママだとしてもだ。僕はそれでも、この思いは伝えるべきと考えた。

どれだけ嫌われても、どれだけ苦しめられても、この気持ちだけは伝えなければ……と。



そして、僕の一世一代の告白は、僕の想像していた物よりもシンプルな物だった。


「真名部 仁さん…………貴女のことが好きです。つきあってください。」


僕は、それでも全力で思いを伝えた。

一目惚れから始まった恋だとしても、この恋は幸せな物にしたいと、そう思った。








告白が終わった後は始まりであるというのを知っているからこそ、告白のシーンはより大きい意味を持つのだ。


次回 異常の二人の愛の告白 後編

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