心ここにあらず
心視点
『それよりもココ、なんで隠してたの?』
「だ、だって、知られたら友人と思われなくなると思って………。」
都市島の方で猫をかぶっているわけじゃあない。だから失望はされていないかも知れないけど、多分本気で怒っているなぁ、儚は。
アホ毛が半分の所で折れ曲がっている。直角にだ。こーゆーのになっているときは激怒していると言っていいだろう。無表情で静かにこちらを見ている。
『友人と思われなくなるって、こんなことで?親がやっていることで虐められていた私はこんな事で友達をやめようとは思わない。』
「そ~だよ~。ココちゃん!お金持ちだったのは驚いたけど~。」
『でも、言っていなかったことにはイライラする。』
「本当は打ち明けたかったんだけどね………。」
アイツの婚約者にされたのも中一の時だったから、言うに言えない。政略?結婚なんてね………。しかもアイツはあんなだし。
「ごめん………。ミオにも謝らなきゃ………。」
ミオの事が一瞬私が憧れていた王子様に見えた。
まぁ、あのエビチリが無かったら私も抱きついていただろうけど………。
ミオちゃんは「ココが汚れるのは嫌だったから」と、私を守ったらしい。まぁ、他にもアイツの父親にエビチリ投げつけられたとかもあるだろうけど。
「それにしても、ミオは遅いね………。」
「お風呂入ってるんだろうけど………そ~だよね~。」
『魅恩は長風呂だったから、長く感じるんじゃないの?』
そうかもしれない。
時間を見てみると……………。
「そろそろ操義がお風呂に入る時間じゃないか………。操義って他の人とお風呂に入りたがるからなぁ………。」
『操義って?』
「私の4歳下の妹。他に妹は三人、姉が四人、兄が二人いる。妹の内二人は双子で今中二。」
「いいなぁ。私、いとこが四人姉妹で、私一人っ子だから羨ましいなぁお兄さんやお姉さんいないから………。」
『私も。それにしても、結構いるんだね。』
「そうだね………。」
中一からの親友の二人にこれまで話さなかった事を後悔していたけど今はそんなのを気にしなくなっていた。けれど…………。
「なんでミオとフォーと儚はここにこれたの?」
「神々さんに着いてきたんだ。」
『魅恩、そのドレス、すごく似合ってる。』
「すごーい。魅恩ちゃん!!」
「ふ、フォルテちゃん、いきなり抱きつかないで………。それと儚、似合ってるって言ってくれてありがとう。」
「ん、んぅ~。」
ミオは儚の頭を撫でていた。
………なんだろう?
なぜか儚がすごくうらやましく感じる…………。
フォーの方もだけど………。
あんなに素直に抱きつけるなんてね…………。
「その呼んだって言う神々さんってアディプマックスの?」
「うん。同じ寮でね……。」
「そういえば招待状贈ってたなぁ………。たくさん呼んでいるから全員の把握してなかったんだよなぁ………。」
『それにしても、ココまだ嘘ついてたよね?学校では明日が誕生日だって言ってた。』
「そ、それは悪かったよ…………。」
だってアイツを見せたくなかったもん………。あんなのか婚約者だったなんて見せたくなかったし、アイツは絶対に傷つけるもん………。今回はミオがいて、助けがあったけど、もし無かったら………。
『まぁ、改めて言うけど………ココ、誕生日おめでとう。』
「おめでと~。ココちゃん!!」
「おめでとう。ココ。」
三人に、本当のお祝いをしてもらえるのは本当に嬉しい。
四人で話していると、誰かが話しかけてきた。
「あ、ちょっとすみませんが…………心さんとお話をさせてもらえないでしょうか?」
「………なんでしょうか?」
知らない男だ。
「私は、古物商の社長をしております………ぜひ、結婚を前提にお付き合いを………。」
「お断りします。私は、結婚するのならば、自分が幸せになれる人としたいので………。」
「………っち、あの婚約者がいなくなれば俺がこの美人やりまくれ………ぐぼはっ!!」
初老の男がその場で倒れた。
多分光が高速のBB弾で撃ったのだろう。
まぁ、私も40後半の人と任意で結婚はしたくないから、怒らないけど。
「………この人どうするの?ココちゃん?」
「………とりあえずつまみ出してもらおうかな………。」
するとミオちゃんが近くにいた千秋ちゃんから何かをもらっていた。
それをその男にかざすと………。
「…………え~っと、この人は歌川 清春。古物商の大手、葛歌苑のオーナー。で、49歳で、奥さんはいるにはいるけど、不倫結構してる。薩納屋苑を勝手にライバル視してるけど、正直相手になってない。このパーティーはテキトーに呼んでるところもあるからこんなのもよく来るんだろうなぁ…………。ってか奥さんいるのに結婚前提でお付き合いって………金目当てなのバレバレだなぁ。あ、コイツの不倫に関しては報告しとく?」
なんでかミオは手慣れた様子でそれを使っていた。
しばらく、私の元婚約者のアイツがいなくなったからと求婚してくる奴らが多かった。全部断ったけど。
この話の数時間前………。
?「あぁ、そこでぼんやりとしてる設楽 太一、コイツのメイドに無理矢理された幼なじみの花咲 恵を助けに行きたくはないか?」
太「行きたいですけど………。くそっ!!もうアイツの毒牙に………。もう一年もアイツのそばにアイツは……。」
?「まだ大丈夫だ。セクハラは受けているが、襲われてはいない。アイツは初めては自分が成人してからという信念だからな。」
太「………そうか。なら俺は恵を助けに……まぁ、たとえアイツに初めてを奪われていたとしても俺は抱けますけど。」
?「そうか、連れて行ってやろう。先輩に頼まれたんだ。」
太「え?」
?「場所は天布家パーティ会場、でな、その時にメイドは一人きりでオドオドしてるはずだ。そこで連れ出せ。いいな。」
太「は、はい………。」
?「次回、メイド強奪と謎の少女。」
太「って、助けた後はどうするんですか!」
?「走ってから終電で帰れ。」