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初めて着るドレスは………

「とりあえず引率がいなくなるとまた面倒事になりそうだから千秋と一緒にいてやってくれよ、魅恩。俺はコイツらを生コンに入れて海に沈めてくるから。」

「いや、警察でしょ………。」

冗談だろうととりあえず否定するも、

「あ、違った違った。山小屋に捨てに行くんだった。ま、警察にはちゃんとコイツらの貯金全て払うから、後は自力で生きてもらおうかと。金も何もないからこのデブはなにもできないし。」

「……つーか一応聞くけどそいつ死んでないよね?」

「糞野郎はこーゆーのの生命力は強いからな。テキトーに生き地獄を味わせておくから心配するな。」

そう言って兄様は僕に千秋ちゃんを預けてきた。




しばらくして、ココは泣きやんでから、僕と千秋ちゃんの服を見た。

千秋ちゃんはケーキのクリームや、イチゴジャムなどでぐちゃぐちゃで、僕の制服はエビチリのソースでしかも髪までドロドロになっていた。


「こ、こちらの方と、あちらの方に変わりの服をたのみます。」

ココが申し訳無さそうにそういうと、僕と兄様と一緒にいた千秋ちゃんがメイドさんに連れて行かれた。


「お二方は一回お風呂に入ってください。その間に服の用意をさせていただきますので……。」

メイドさんに着ていた制服を脱いで渡して、千秋ちゃんとお風呂に入ることになった。


「広っ!!」

金ピカとか無いけれど、銭湯の2倍ほどの広さだった。

「そうですか?私の家もこのぐらいですけど………。」

「千秋ちゃん、金銭感覚とか麻痺してない?」

「え?これって普通じゃなかったんですね……。そういえば、先生と話してましたけど、どのようなお知り合いなのでしょう?」

「兄様とはいとこなんだ。父さん……のお兄さんの息子なんだ。」


そんな話をしている間にとりあえず顔や髪についたエビチリは洗い流す。この時に洗面器の中にエビなどを入れる。詰まると大変そうだったからだ。



「お待ちくださいお嬢様!!まだお客の人が……。」

「千秋もいるみたいだし、大丈夫でしょ!!」

「で、ですからぁ………。」

「最近あのはお風呂に一人で入ることしか無かったからいいじゃん!!それに、背中の流し合いっことかしたいのよ!!」

「し、しかし………。」

「それに、クラスメイトと一緒にお風呂に入りたいの!!憧れなの!!」

「入っても良いですが、迷惑をかけないこと。分かりましたね?」

「はい、分かりました。入りまーす。」



藍色の短い髪で、身長は千秋ちゃんと同じくらいの女の子が入ってきた。


「私、天布あまの 操義みさぎといいます!!お姉さまがいつもお世話になってます!!え~っと………………染宮魅恩さんですよね?」

「まぁ、クラスメイトだけど………。」

「あの技凄かったです!!魔蘭斬ですよね?あの男からお姉さまを救っていただいて………本当に………本当に………。」


「泣かないで、操義ちゃん。」

そんな感じで三人でお風呂に入ってると………。


「やっぱり、胸は中学になったら大きくなるんでしょうか………?」

「私達はまだ小学六年生だから、大丈夫かな?」

そういいながら僕の胸を見る二人。

「二人とも、まだ第二次成長があるから、大丈夫だと思うよ?」

「でも、いきなりボインボインにはなれないですよね………。」

なんか二人が落ち込んでいった。

「だ、大丈夫、僕も中一の時に大きくなったから!」

「せめて男に間違われる絶壁にはなりたくないです。」


風呂から上がると、千秋ちゃんは着ていたドレスの色違いに着替えていた。

しかし僕は………。


「ウェンディングドレスって何でですか………?」

「あなたに似合いそうなドレスを即興で作らせてますのでしばしお待ちを………。」

「え?制服を洗って乾かせばいいんじゃあ……。」

「いえ、あのエビチリのソースはかなり落ちにくいので、こちらで処理しています。その関係で、お帰りの際になったときになんとかなっているかということなので、寝間着でパーティに戻られると、あなたも恥ずかしいでしょうからというためと、心様に言われておりますので。」


数分後、黒いカラスのようなドレスを着せて貰う。

「オーダーメイドで、これぐらいがいいかと、ということで………。あぁ、心様のご学友の方に請求することはいたしません。」


「そういえば、魅恩様、心様は学園では生き生きとしていますか?」

この質問には、すぐに答えられた。

「はい、とても生き生きとしていますね。」

「そうですね。やはり、猫のように自由奔放な心様に、世間から見たお嬢様という檻はあまりに苦痛でしょう。………もし、あなた様が男でしたら、ぜひ、連れて出て行って貰いたいですね。」

この人は、本心からなのか、それとも、僕が最近まで男だったことを知っているのか、そんな言葉を笑顔で言ったのだ。



「それにしても、あの技の流派は何なのでしょうか………?」

「私も知らないんだよね………なんだろう?私色々やってるけどあれをやれるとは思えないなぁ………。」


そんな二人の呟きは僕には聞こえなかった。


この流派の話は、また、別の機会に話すことにしよう。


涼「人の過去話は、笑い話でもあり、悲しい悲劇でもある。」

夜「私も、そんな過去はありますけどね、夕暮。」

涼「はぁ……まぁ、鋼谷家は滑稽な出世話だからな。」

夜「次回、悲しい過去は最大の呪いなり。」

涼「私は、あの過去をふりほどこうと思わない。」

夜「………私は………。もう、過去に囚らわれたくはないんです………。」

涼「この話は、また、別の話だ。」





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