猫かぶりの猫姫
「えー、鈴もパーティに来れないの~?」
「小さい頃に仕事柄何回も行ってるからな………。正直あそこにでる料理よりも魅恩の作ったのが旨い。」
「でも、今日はあそこのじゃないよ?鋼谷のはボクは行くのもいやだから断ってるよ。」
「はぁ………私はあんな豪華な料理じゃなくて素朴な家庭料理を食べていたいんだよ。両極端な食事だったしな。」
涼さんは、ここに来るまでの食事は、普段はカロリーメイトみたいな奴の不味くて栄養価の高いやつ、そしてたまにとんでもなく豪勢なのだけど、普通の食事でないようなところでの食事ばかりだったらしく、豪華なパーティなどで出てくる料理は嫌いらしい。
「まぁ、魅恩達が結婚するときは、多分普通に食べられるぞ?私はあのパーティ会場………それも無駄にでかい所は嫌なんだ。団らんもない、くだらない話ばかりの中の食事なんてな。」
そして、ため息をついて、
「魅恩が行くにしろ行かないにしろ私は奏の監視をしないといけないからな。だから魅恩はどちらでもいいぞ。」
「………それじゃあ、今日は行かせて貰います………。あ、明日休みなので僕の家にもよりたいですね………。何ヶ月か帰ってないので………。」
「分かったよ。じゃあ、他に行きたい人~。」
手を挙げたのはフォルテちゃんと儚の二人だった。
「じゃあ、今日の6時に港に来ておいて。ボクは父さんに頼んで車を用意しておいてもらうよ。歩きで行くのは辛いからね。」
そして、準備に一段落ついたところで、気になったことを聞いてみる。
「チュチュ先輩に聞いて、蝶歩さんと涼さん、儚以外の人の家の事情は分かったんですけど…………。」
「私の家はやくざに近いですね……。そこまでガラは悪くないですけど、地回りとかはやっている…………。武家みたいなものですね。一応剣道四段、弓道五段です。柔道と空手は段試験受けてないですから分からないんですけど………。それに、私は未熟者ですからね………。魅恩さんの花忍流などは使えませんね。オリジナルの拳法も持っていませんし。」
『私の、家、普通。ただ、両親、帰るの遅い。確か、二人とも、看護師だったと思う。』
まぁ、夜勤なんかよくあるしね…………。
『男性の看護師は珍しいと思うけど、看護師同士で結婚は珍しいと思う。』
それよりも双子の兄妹で結婚する方がよほど珍しいと思うけどね…………。
この体になる原因の一部である両親を思い出すとため息が出た。
「私は家出同然で家を出た。だからあまり聞かないでくれ。言うことになると一番最初にすることはあのワガママお嬢様をブン殴りに行くことになるだろうからな。実際、ケイドロの時に一回殴った。」
そう言ってピシャリと涼さんは部屋に戻っていった。
あんな涼さんの顔を見るのは初めてだった。
そして、しばらくたって………。
「ここが、今日のパーティの会場だよ。いや~、ここに来るのも久しぶりなんだぁ………私の会社はよく財閥の人のスポーツウェアを特注で作ったりしてるからね。それで接点があるんだぁ。私もたまに試合するしね。」
あの超人のような身体能力に勝てる人なんているんだろうか………。
ちなみに、僕らの今の服装は制服だ。正直ドレスとか着るのはまだ抵抗があるのて助かったと感じる。
「今日は確か天布財閥のお嬢様の誕生日パーティだったかな………。結構派手にやるらしいよ。」
「それにしても大きいお屋敷だよね~~。」
フォルテちゃんがそう言った。
『うん。まるで、どこかのお城みたい。』
「そこまでかな~?まぁボクの家は普通だからね。確か………マンションの最上階だったかなぁ?」
神々さん………それ、多分普通じゃない。
「私の家は普通の一軒家だよ~。」
『私も。二階建ての一軒家。父と母が結婚式の費用をこっちに使ったんだって。』
「なんで!!」
『すぐ消える物よりも長く残るものを。ただし患者は両方見捨てるな。これ、母の格言。父はやりたがってたけど。』
「厳格そうなお母さんだね………。」
『そうでもない。お菓子はよく食べるし、使い捨ての物も結構買う。ただ大きなお金の時は急にケチになる。』
そんな話をしながら前に進む。
パーティ会場は予想以上に広かった。
「こっちこっち。ここで待ってようか。」
神々さんが席を取ってくれていた。席と言うには違うかもしれないけど。テーブルかな?言うとしたら。
「えー、今宵は私の娘の誕生日を祝うためにこの会場にお越しいただき、感謝します。さて、皆様、お手持ちのコップをこちらにお向けてください。それでは、娘に登場して貰いましょう。さ、こちらに来なさい。」
そうして出てきたのは、黒いドレスを纏い、頭に黒猫のぬいぐるみをかぶり、手には白い猫のぬいぐるみを持つ少女………髪は藍色………とゆーか………。
雰囲気以外は、クラスメイトに似ている。そう………。前の席の………。
「「ココ?!!!!!!」」
僕とフォルテちゃんが同時に叫んでいた。
そう、あそこにいるのは、多分、ココ本人だった。
蝶「続き物の次回予告は難しいですね………。」
涼「そういう時は別のことをして次回タイトルにしようと思う。とりあえず今回のテーマは10年後の自分。で、スタート。ちなみにやるのは三人だ。」
直「わ、私は………か、海覇と結婚して………。それで、子供ができていることだな………。」
涼「実現しそうな夢ですね。学園長。じゃ、次奏」
奏「私は勿論魅恩とラブラブせいか………。」ドカッ!!
涼「はぁ………叶わないような事は言うな。次、魅恩のクラス担任の佐原先生。」
佐「フフフ………十年後、きっとアラフォーで独身なんですよ……そもそも十年後の話にすら出してもらえそうに無いですよ………。」
蝶「確か最初に出たときからもう何話も出てないですよね……。」
涼「まぁいいか………。次回、お嬢様は事情あり。」
「お嬢様は結構いるんだがな………。」
雀「十年後………か…………。」
(日本式の墓。紅家之墓と書かれている)
戸「なんか一瞬墓のイメージが見えたっすよ!!」
雀(私の命は後2年くらいだからな…。)