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夕焼け子やけ

涼視点

「…………。」

目の前にいる二人のケイを見て、私は彼女らを睨んだ。

「あの染宮奏の右腕の腰巾着ですか………。」

「腰巾着じゃない。偶然だ。」

副会長になったのは本当に偶然だったのだ。

別に好きで奏と同じ生徒会に入ってるわけではない。

私が口答えたのは鋼谷銀姫という、以前私がSPとして仕えていた……小学六年までだが、元主といったところだ。

「夕暮……………あなたは鋼谷家に戻らないのですね………ならば、問答無用で排除します。お嬢様の命令に従いますので。」

鋼谷銀姫のメイドが言う。

「そうですわ!!このケイドロという庶民の遊びにて、私達ケイが勝てば染宮奏の弁当を作っているやつをこの私がかっさっらってあげましょう!!」

はぁ…………このお嬢様とやらは全くもって意識を変えないとはな…………。自分の欲しい物は全て他人の力を使い手に入れようとし、使い捨てる物はなんの躊躇いもなく捨てる………。だから、私はコイツを主と認めないことにし、あの家から飛び出したのだ。

「この、お嬢様の専属メイドである夜神やがみ 和香わか、全身全霊、滅私奉公の意にて、あなた様を捕まえます。」

と、夜神が構える。

いつも戦うのはこいつだ。アイツはいつも見ているだけ。しかも、訓練しようともしない。

「残念です。朝焼の次にあなたまでいなくなって…………でも、今は敵。なら、排除するまでです。」

そう言って、夜神はつっこんできた。










さて、とりあえず、なんでこうなってるのかの昔話をしよう。

ほんの5年前まで、私は鋼谷家専属のSPとして育った。

鋼谷家は、専属メイドと専属のSP、そして専属の執事を仕えさせるというシステムがあった。そして、その中で主に割り当てられるのは私の実家のSPの夕暮家、メイドの夜神家、執事の朝焼家だ。

そもそも鋼谷家はなんとか日本財閥五本の指に入っているレベルであるが、その五本の指であることで威張るような真似が多い家だ。

だが、私も家のしきたりだからと、専属のSPとしてアイツの前を歩いていた。その時は原因がアイツであっても責任をとるのは私なのだったのだけど、昔はそれも仕方ないと思っていた。

あの時から私とメイドの仲は良いものではなかったが、当時の執事だった朝焼あさやけ れんとは仲がよかった。それも、親友と言えるほどに。あぁ、朝焼は執事なのだが、女だ。


だが、その朝焼はもうこの世にはいない。

私の力不足のせいで、アイツは死んだ。

産まれて、赤子の癇癪以外で私が初めて泣いたのもその時だと思う。


小学六年の2月、私は誰かに突き飛ばされ走ってくるトラックから鋼谷を助けようとして、鋼谷の腕を、歩道側へひいた。

鋼谷はその後夜神に支えられ、無傷だったのだが、私はそのままトラックの方に倒れかけたのだ。

その時、朝焼が私を庇った。そして、そのままトラックにぶつかった。トラックは急ブレーキをかけて止まろうとしたのだが、無駄だったのだ。


朝焼はなぜ私を守ったのかが分からなかった。

ただ、職務を無視してしばらく朝焼を思い泣いていた。

自分があそこで倒れることがなければ朝焼が私を庇って死ぬことはなかったはずなんだ。




当然なのかは分からないが、朝焼の葬儀が行われることはなく、新しい執事はすぐに決まった。その切り替えの早さ、なにも落ち込んでいない………。誰も朝焼の死を悲しまず、まるで古い部品を新しい物に替えただけのように、淡々と元に戻っていく………。

本当に、誰も悲しまない。

そんな世界から私は逃げたかった。

そんなときに私は都市島学園のパンフレットを見つけた。

そして、家出同然でそのまま家をでた。

どうせ誰も何も思わないんだろう?と思いつつ、私は独りになったのだった。

それから鋼谷も来るとは思わなかったけど。

だから私は鋼谷を護るのをやめた。



昔話はここまでだ。

「さて、私は素直に捕まる気はない。抵抗でいいだろう?」

「その無駄口………鈍りましたね!!夕暮!!」

夜神が突っ込んでくるのを私は回し斜め蹴りで対応する。

私の戦闘スタイルは基本守りと迎え撃つ為のもの。

SP時代、主君を危険にさらさず、相手を迎え撃つというのが夕暮家直々に伝わる戦法だ。

家を出てから戦闘スタイルの幅は増やせたものの、これが癖となってしまっていている。

対して夜神家は飛道具を駆使し、相手を殺すこともいとわないスタイルだ。

私の蹴りを夜神が半歩下がってかわし、回し蹴りを放ってくる。私は頭を低くしながらかわす。

しかし、頭は極力下げない。頭に手を置かれた時点で負けになる。

これが、何分も繰り返される。

夜神は昔、フェイントに少々弱かったが、今ではかなり克服している。




「おーっほっほっほ!!やはり染宮奏の奴隷には何もできないようですわね!!」

あぁ、やはり夜神と闘っている最中でも鋼谷はいらつく言葉を放ってくる。私は奏に仕えているわけでも使役されてるわけでもない。

「言っておくけど、私が仕えているのは奏じゃない。まぁ、仕えるべき相手はもう見つかっているんだけど。」

「ようやく鋼谷家に戻る気ができましたか!!夕暮!!」

夜神が大きく蹴りをはなつ。

私はそれを避け、鋼谷の方に向けて、拳を突き出した。

鋼谷はそれに反応できず、そのまま半歩下がる。

「く、苦しい………ですわ………。」

私はその言葉だけで許されると思っている鋼谷の顎に向かって足を蹴り上げた。

そして、その顎を持ち上げた足の先を夜神に向かって放る。

「お、お嬢様!!」

夜神は鋼谷を受け止めた。

「言っておくけど、私が仕えようとしているのは………いや、主にしたいのは、染宮奏じゃない。」

そう、初めてあったとき、守らなきゃと思ったのだ。

「私が主にしたいのは………。」





「染宮魅恩ただ一人だ。」


そして、私はその場から逃げた。

夜神は鋼谷の看護をしている。

メイドの精神は基本的に主君の世話だ。

だから、そこから離れないのだろう。









しばらく走り、ふと、思ったことを口に出す。

「どうせなら私も、魅恩に甘えたいがな。」

私は強がっているだけで、色々と苦手な物があるのだ。

「まぁ、百合ではないが、魅恩のことは、今は私が守らないとな。」


海「ケイドロ編は個人エピソード終わったら一気に終わるんだろうなー。」 

伊「いきなり何を言ってるんですか……。」

海「とりあえず本編でかいていない三人の見た目に付いてな。まぁ、簡潔だが。」

伊「えーと、お嬢様は金髪(かなり濃く、黄土色にも見える)のツインドリル。メイドは黒のおさげ、執事はオールバックでした。」

海「めんどいのでメイド>お嬢様>奏な。胸の大きさ。メイドがCで二人は一ミリだけお嬢様が大きい。」

伊「まぁ次回予告はちゃんとやりますよ。」

海「次回、ツバァイ・ドラゴン。」

伊「ケイドロのはずなのになんかタイトルがゴツいですね………。」







伊「作者に絵心が無いというか全く人物画が書けないので、このキャラってこんなイメージだなー、ってイラストをできればもらいたいです。」

海「本当に作者が書くとイメージ絶対に崩れるほどの絵の下手さなので、送ってもらえるとありがたい……。」

伊「どうせ来ないでしょうけど募集はしているということで認識してもらえるといいです。」

海「なんか段々とこのスペースの使い道がな………。」


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