花火な命
ちょっとシリアスっぽい話です。
まぁシリアス書くの苦手なので中途半端なシリアスですが。
「え、え~っと、根拠はなんなんですか?僕が元男だなんて………。」
無駄な抵抗だと思いつつ僕ははぐらかした。
すると、チュチュ先輩は語り始めた。
「まず、君は元男だという仕草をあまりしていない、完璧だったら、そこでボロがでた訳じゃあないから安心して。」
演技ってわけじゃないけど安心する。他の人にもばれてないだろう。
「私には、2つ下の妹………つまり、君と同い年の妹が君と同じ中学出身なんだ。なぜ妹が都市島に来なかったかはね、ある男の子に恋をしたかららしい。小学六年生のころに、助けてもらったからと。そして、その子の名前が、染宮魅恩。そして、その子は料理研究部で君と話していたらしい。そして、その子がいなくなったのが1月。君が編入テストを受けたのも一月。こんな偶然はあるのかな?」
言葉がでない。
「そして、どの高校にも男の所に君の名前はない。病院にも刑務所にも、君の名前は無かったと言っている。男の所にはね………。」
チュチュ先輩は、僕に近付いてくる。
「でも、同じ名前の君が二月に都市島に来た。まぁ、気づいたのは3月の終わり頃、妹から電話で、好きな人の名前を言った後だけど。」
あぁ、この人は何もかもお見通しなのかと思うと、力が抜けた。反論ができない。
だから、このことを素直に認めた。
「僕は……ほんの三ヶ月前まで男でした。」
「というより、僕が一人称を僕にしていたから怪しいと思ったのかと思ったんですけど……。」
「神々で慣れていたから不思議に思うことが無かった。」
「でも、これを言って何がしたかったんですか?チュチュ先輩。」
チュチュ先輩は、深いため息をついてから、ゆっくりと言った。
「君の秘密を誰にも言わないことを約束する代わりに、君も私がこれから言う私の秘密を誰にも言わないということをしてもらいかった。それだけ。」
チュチュ先輩の秘密は何なのだろうか………?
僕は、どんな秘密がチュチュ先輩の口からでても動じないように心構えた。
チュチュ先輩の口がゆっくりと開いた。
「私は………20歳になったら、そのまま亡くなるの。」
それは、淡々と言っているのにも関わらず、暗く、冷たく、儚く、もう諦めたような顔で、チュチュ先輩は、言ったのだ。
叫ぶのに、時間が少しかかった。
それほど僕は動揺していたのだろう。
「どうして……なんですか………?」
ようやく言葉に出せた僕の言葉はとても弱々しかった。
「どうしてかを言う前に問題をだすよ。完成と同時に消滅するものな~んだ?」
意味のなさそうななぞなぞをチュチュ先輩は出してきた。
しかし、あまり思いつかない。そもそもこれはなぞなぞみたいな語呂合わせでもない。
「すいません…………。分からないです。」
「少し難しいかな?正解は色々あると思うけど、私が答えにしていたのは…花火。最初にひゅるるるるる~と、あがって、最後にぱーんとはじけて消える。それが、私の一生。死ぬときが一番輝くような………そんな人生なんだ。」
それから、チュチュ先輩はその人生について語り始めた。
冷たく、暗く、光が無く、絶望を感じる目で。
「まず、人間は成長していってから段々と衰えて死んでいく。まぁ、老衰だね。でも私には、その衰えていく過程がない。20歳になったときに成長しきって死んでしまう。」
衰えの期間が約60年となっているな………?
「まぁ、もともと私の体は2歳までしか生きられなかったはずの体だから、寿命が10倍になっただけでもありがたいんだ。」
ふと疑問が頭の中に浮かぶ。
「また、手術して、延命できないんですか?」
すると、チュチュ先輩は諦めたように肩をすくめた。
「この病気は本当に完全に完治してしまっている。病気でない物を手術することはできない。例え誰であってもこの人生は変わらない。それに、もう死ぬ覚悟はできているけどね……。できない覚悟もあるんだよ。親友の蝶歩を置いていくのが………。」
これまで強気になっていたチュチュ先輩は突然泣き出した。
「分かっているのに……ちゃんと言わなきゃって思っているのに………。蝶歩の泣く顔を見たくないって思うとね、何も言えなくなる。残される方は辛いって分かっているのに………。」
この人は、どれだけ耐えたのだろうか?
僕には到底分からないような、深い悲しみだった。
「このことは、他言無用でお願いするよ。他にみおちゃんが男の子だったて知ってるのはかなちゃんとみおちんのいとこだけ………なんだねぇ。」
そういって別れるチュチュ先輩を見送って、僕は逆方向に走る。
とりあえずチュチュ先輩とは秘密を共有する仲になってしまった。
「あれだけ正直で、純粋なら、鈍感なのも仕方ないか………。花火も苦労したんだろうなぁ………。」
どこからか聞こえたその声は、他の人を心配する思いがあると思いながら、僕はまっすぐ走っていった。
雀子視点
「やっぱり私は死ぬ覚悟もできてないのかもね……。みおちゃんには言えたけど、それはお互いの利害が一致したから。だけど、損得なしで打ち明けることができない私は……………ただの臆病者なのかな?だって、親友の蝶歩にもこのことを話せないんだから。」
それはそれとして、できれば花火が恋を叶えることを見届けたかったんだけどね………。
仕方ない。
私は、ケイに見つからないように走るのだった。
「ぜぇ、ぜぇ………。あの女………体力無限なのか……。」
「部長のペース速すぎるからですよ。」
「さのさの~。あそこにドロがいたよ~。」
「いや、部長から目を離すとそのうち死にそうなので、離れない方がいいので見なかったことにしておこう。」
「な……んの………こと……ですか……?」
「…………つーかシャトルラン20の人が無理しないほうが良いですよ。もうちょっと肺活量を上げましょう。」
「肺活量よりスピードを……。」
とりあえず彼女らの目線から外れるように私は逃げ出した。
海「さ~て、次回は別の人視点になるからな~。」
伊「ケイドロ編ではキャラの過去や日常を掘り下げてますからね………。」
海「まぁ、暗い過去が無いやつもいるけど。」
伊「全員分思いつかなかったわけですか………。」
海「そうだな、準主役。」
伊「いつの間にか昇進してた!!」
海「まぁ、次回のタイトルやるぞ。次回、夕焼け子やけ。」
伊「そーいえば、今回のメインの人の妹さんは後々登場させるらしいですね………。」(私の出番減りそう私の出番減りそう。)
海「あ、後いつになるか分からんが魅恩が男のままだった時の話もアナザーストーリーとして書くらしい。」
伊「こーゆーのifと言うのでしょうか……。」
海「じゃ、告知も終わりだな~。」
龍「今回も次回予告だけで終わらなかった。」
伊「龍水いつのまに私の膝の上に座ったの?」
龍「ふに………。次回もおたのしみ………すぅ、すぅ……。」
海「次回予告中に寝るな。」