通学電車での15分
パンを食べ終わると、電車がやって来た。
この街がそこまで都会じゃ無い事を踏まえても、驚く程人が居なかった。
「…どうします?」
正直に言うと、僕はまだ乗らなくてもいいと思っている。
ホームの時計を見ると、ようやく7時を回ったとこだ。
学校には電車で15分程、8時前までに到着すればいいのでもう2、3本電車を見送っても充分間に合う。
しかし穂香は。
「いえ、この電車に乗りましょう」
と答えた。
「いいけど何で?」
「な・ん・で・も・です、さあ行きましょう」
僕の質問にそう答え、制服の袖をグイッと引く。
「ああ、引っ張らないでよ〜…」
穂香に引かれるまま、僕は電車に乗り込んだ。
車内に入ると、サラリーマンのおじさんが数人居るだけで、ガランとしていた。
そのガランとした席の真ん中に僕等は座った。
「…」
「…」
お互いの肩が触れ合っていて、かなり緊張する。
「えと…」
あまりにも長い沈黙に耐えられず、隣に座る穂香に声を掛けると。
「くー…」
と、可愛い寝息を立てて寝ていた。
朝早かったし、寝てしまうのもムリ無い。
穂香は稔に寄りかかり、穂香の頭が稔の肩に触れる。
「…っ〜!……」
自分の心臓がドキドキ鳴るのが分かる。
あまりにも鳴り過ぎて、隣に居る穂香にもバレてしまうのでは無いかと思う程だ。
実のとこ、稔もかなり眠たかった。
何時もより結構早く起こされたからな…
けど、まぁ…こうしているのは、悪い気はしない。
15分後。
学校の最寄り駅に着いた。
「穂香さん、穂香さん起きて下さい着きましたよ」
「…ふぇ…」
可愛らしい声を上げて、穂香は目覚めた。
目を擦り、辺りを見回す。
「あっ…」
どうやら自分が、稔の肩を借りて眠っていた事に気が付いた様だ。
「す、すみません!稔さん…」
ペコペコと頭を下げる穂香。
「良いって良いって、いちいち謝らなくてもさ…ああっ!早く!電車が閉まっちゃう!」
「あ、はい!」
稔は穂香の手首を掴んで電車を出た。




