好きなんです
結局、景荷の言われるがままになってしまったなぁ…
放課後、僕は半ば仕方なく、穂香に謝ることにした。
確かに、この間なんだか怒っていたし、その事で僕ももやもやしていて、彼女と話したいと思ってたから、話すきっかけが出来ていいとは思うけど…
(ホント…一体僕何しちゃたんだろう?…)
夕焼けが、校舎を赤く染める。
校門前で暫く待つと、制服姿の穂香が出てくるのが見た。
僕が見つめていると、気づいたようで「あっ」とした表情をした。
「立花さん…」
彼女の元へ駆け寄り、言葉を交わす。
「…稔さん」
「……」
何だか気まずげなフインキになり、どう切り出せばいいか迷う。
「ああ…その…ゴメン!」
考えに考えた結果、出た言葉がこれだ。
苦し紛れに、思いっきり頭を下げた。
「ああ、うう…」
焦り、困った様子の穂香。
戸惑い、おろおろしてしまっている。
「ああ、あの…ど、どうしたんですか?稔さん…」
「え?あいやその…」
返ってきた返事が意外だったので、驚いた。
てっきり、『ホントですよ!もう!』とか、『い、いえこちらこそ…』って感じで返ってくるかと思ったけど…
「あの、怒ってないの?」
「え??怒るって?」
「いやこの間の…その…デートの時の…」
「!」
思い出したのか、穂香は顔を真っ赤にしてプルプルと震えた。
(また怒らせちゃった?…)
と、内心思い平手打ちを喰らう覚悟をしていると。
「す…すみませんーーー!」
うわぁーんと、顔を赤くした穂香が謝り、泣いた。
「え!?いや…」
今後は僕が戸惑う番だった。
「あ、あの立花さん!」
「ほ、穂香と読んでくださいぃーー」
泣きじゃくりながら言う穂香。
「あ…穂香さん?」
「…はい…?」
ぐずんっと、目頭を押さえながら穂香が言う。
「その…ゴメン…」
とりあえず、もう一度謝り、続ける。
「…あの時…デートの…時さ…その…何で…怒らしちゃったのか…分かんなくてさ…それで…」
また気に触れるような事がないか心配で、言葉が途切れ途切れになってしまった。
すると穂香は頭の上に「?」が浮かんだような表情をした。
「…何で平手打ちされたか-」
言い終えない内に、
「ご、ゴメンなさい!」
急に思い出したようで、俺よりも深く頭を下げた。
「その…あの時は本当にすみませんでした…」
また泣き出そうな顔で言った。
そしてそのまま続けて言う。
「あの時は…決して怒った訳でも、稔さんのことが嫌いになった訳でも…」
赤くなった顔のまま穂香が言う。
「じゃあ…何で?…」
僕は疑問をぶつける。
「…稔さん、私に『好きじゃないんでしょ?』と、おっしゃいましたよね?」
穂香が目を伏せて、そう言った。
「う、うん」
急に口調が変わり、少し呆気取られた。
「それに…ちょっと…かっと、なってしまったのでしょうか…」後ろを向き、そう言う。
「え…」
「稔さん」
振り向き、穂香は…
「すっ…好きなんです、私は…稔さんのことが…」
ニッコリと笑みを浮かべ、穂香は言った。




