16.読者への挑戦
米国のルーニー・ラブズ社が考案した『汝は人狼なりや?』というカードゲームは、やがて、インターネット上で『人狼ゲーム』に発展して、多くのユーザーたちから愛好されています。この小説で用いた『吸血鬼の村』というゲームは、この人狼ゲームのバリエーションの一つです。
人狼ゲームには大きく分けて二つの型があります。一つは、人狼が襲えるのが同じ部屋に宿泊した人々に限定されるもの。そして、もう一つが、この『吸血鬼の村』のように、人狼は全員の中から誰でも好きな人物を襲うことができるものです。
本来、『吸血鬼の村』に登場する特殊能力者は、天文家、探偵、片想い、使徒の他に、猟師、医者、恋人、妖狐などもありますが、ここでは四つの特殊能力者だけが登場する初期シナリオでゲームは進行されています。
本編では、プレーヤー飯村和弥の目を通して、真相に達するためのあらゆる手がかりが、読者のみなさんに提供されております。一見矛盾を引き起こしているかのような真相ですが、もしも本編の奥に隠された『たった一つのメイントリック』を発見することができれば、たちどころに謎に満ちた全ピースは一大絵図の中にきっちりと嵌り込むことでしょう。
作者である私は、様々な情報をオープンに提供する代わりに、それによって出来上がった文章の小さな隙間に、こっそりとこのメイントリックをしまい込みました。もちろん、ここを見つけられてしまえば、今回は私の完全な敗北となります。読者のみなさんの鋭敏な推理力と何ごとも見過ごさない観察力を持って、ぜひ真相を暴き出してください。これこそが、本格推理小説の醍醐味であるとも思っています。
それではあらためて……、あなたが主人公の飯村和弥になったつもりで考えてください。
和弥が特殊能力を持たない村人であることは、紛れもない事実です。そして、これまでに起こったあらゆる事実を踏まえて、村側の勝利のために今日(四日目)の処刑で誰を吊し上げるべきでしょうか?
1.令嬢 梅小路琴音
2.小間使い 東野葵子
3.女将 柳原志乃
4.後家 西園寺都夜子
5.書生 飯村和弥
1から5の選択肢の中で、村側が確実に勝利を収める正解はたった一つしかありません。
賢明なる読者のみなさんにお願いします。どうか、鬼夜叉村を邪悪なる魔手から救い出してあげてください。
以上で、『小説・吸血鬼の村』の出題編は終わりです。この後は、解決編となります。解決編に進まれる前に、もう一度みなさんのご推理を確認してみてください。あらゆる手がかりは、すでに文中に提供されております。その情報は実に複雑で多岐にわたりますので、メモを取られることを、ぜひお勧めいたします。
真相は処刑投票の得票数などをはじめとして、ありとあらゆる事実をきちんと説明するはずです。果たして、賢明なあなたは無事正解にたどりつけるでしょうか?




