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奏世コンテイル  作者: 雪宮鉄馬
第五章
34/117

34. ファレリアの陥落

「武器を捨て、投降する者の生命と財産は保障する」

 銅版を丸めた拡声器で叫ぶのは、クロウの副官ブレックである。そのよく通る声は、町中に響き渡り、ファレリア城内にいるクロウの耳にまで、届いていた。

 センテ・レーバン諸侯の一人、ボレウス・ファレリアの反乱はついに終焉の時を迎えようとしていた。クロウたちは、約ニ週間かけて、ほぼ味方に損害を与えることなく、反乱を鎮圧した。残すところは、ファレリア城の最上階で待つ、反乱の首魁、ボレウス公を捕らえるのみだ。

 すでに抵抗を示すものはほとんどいない。しかし、非戦闘員であるファレリアの住民たちの混乱や余計な煽動を防ぐため、クロウはブレックに後事を負かせ、自らは部下を数人従えて、ボレウスの元へと向かった。

「何卒、穏便に。旦那さまは、けして私利私欲に走ったのではございません」

 城を案内する、ボレウスの執事が何度も同じ事を口にする。執事の良し悪しが、家の格式を表すとは、よく言ったもので、きれいに整えられた白髪やカイゼル髭といい、歴代のセンテ・レーバン王に仕えた名門ファレリア家の格式の高さを、その忠誠心篤い執事からうかがい知ることが出来る。

「心配しないで下さい。僕……私たちはボレウス公を殺すために来たわけではありません」

 何度、クロウはそう返したかわからない。もちろん、それは建前半分、本心半分だった。ボレウスを裁くのは、ライオット宰相の役目であり、一介の騎士の出る幕ではない。ライオットのことだ、意にそぐわなければ、諸侯と言えども処刑し、御家お取り潰しにするだろう。しかし、クロウの個人的な意見としては、ボレウスは聡明な人物であり、王国のためにはなくてはならない人物でもある。その事を(かんが)みても、ボレウスの命を(いたずら)に奪うことは、承服しかねる。

 もっとも、執事にその本心を語ることは出来ない。だから、こうして、抜き身の剣を手に、城の廊下を歩いているのだ。

 ファレリア家は格式高いと言ったが、城内は長屋かと思うほど、質素で飾り気がなかった。高価な調度品も、花を生ける花瓶も、豪奢なランプもない。せめて、その質素な城に花を添えるのは、歴代のファレリア公の肖像画と、赤い絨毯だけだ。その上を、クロウたちの甲冑の足音が無遠慮に踏み鳴らしていく。この城にとって、クロウたちは、侵略者、招かれざる客に等しかった。

「騎士さま、こちらでございます」

 そう言って、先導する執事の足が止まった。観音開きの大きな扉。その向こうがファレリア城、領主の間である。クロウは頷き、執事を下がらせると、自らの手でその扉を開け、部下たちを従えて、領主の間へと足を踏み入れた。外では、まだブレックの声が響き渡っている。

「ボレウス公! われらは……」

 クロウは、部屋の一番奥。玉座とも言うべき椅子に腰掛ける壮年の男に向かって言った。

「わかっておる。そなたは、ホーク・ヴェイルが一子、クロウ・ヴェイルであろう? お父上の面影がある」

 男が言う。威厳のある声だ。その威厳は声だけでなく、シワという年輪の刻まれた顔、蓄えられた髭、傷ついた甲冑と、ぼろのようになってしまったマントからも発せられているようだった。そう、その男こそ、反乱の首謀者、ボレウス・ファレリアだった。

「父上をご存知なのですか?」

 クロウは、ボレウスの元に歩を進めながら尋ねた。ながら、この部屋は謁見の間に似ている。壇上の椅子に腰かける、ボレウスはクロウを見下ろすように、こくりと頷いた。

「十年前、私はファレリア軍の指揮官として、そなたのお父上は、センテ・レーバン軍の騎士団長の一人として、ヨルン平原でガモーフ相手に戦った。実に勇猛で誠実なお人だったことを覚えているよ。彼は、ヨルンからの撤退、ガモーフとの和平を声高に叫んでいた。その結果、他の騎士団長たちからの顰蹙(ひんしゅく)をかって、前線に送り込まれ、その命を散らした。じつに残念なことだ」

「そう言ってもらえて、天に還った父も喜んでいるでしょう」

「そうだといいがな。今の私の体たらくを笑っているかもしれん。自らと、同じ道を歩んだかと。惜しむらくは、私にはそなたのような息子がいないこと」

「いいえ、わたしは、そのライオットめに媚をうり、ヴェイル家を守っている、愚か者です」

 自嘲気味な笑みを浮かべたクロウは、ボレウスの手前で足を止めた。

「あなたも、愚か者です、ボレウス公。なぜ、戦などしたのです。戦で世の中が変わるとでも思ったのですか?」

 クロウがそう言うと、ボレウスも自嘲気味に笑う。

「いや、そんな大それたことなど思ってはいない。せめて、フェルト殿下に代わって、王位に就かれるシオンさまが、この世界にひたひたと迫っている危機にお気づきになられれば、この不忠者が生きた証となる。そう思ったまでのこと」

「ライオットが、あなたの反乱のことを、シオンさまのお耳に入れているとお思いか? すべて無駄なことに過ぎないのです。それどころか、あなたは徒に世の中を惑わせた」

「無駄……か」

 ボレウスの瞳がじっとクロウを見つめる。深い色をした瞳に、クロウは射抜かれてしまったような感覚を覚えた。敗軍の将だというのに、何故ここまで落ち着いていられるのか? ボレウスの顔には、後悔の色すら見て取れない。

「クロウ。そなたは、ガモーフのウェスアで起きた事件を知っているか?」

「ベスタ教の大司教、ウルド・リーがガモーフの政道を批難したということですか? それならば聞き及んでおります」

「三日ほど前、ウルドは処刑されたそうだ」

「なんと!」

 クロウは驚きを思わず口にしてしまう。

「この世界は、ゆがみを正すことなく、進んでいる。貧困、飢餓、異常気象。やがて、それらのゆがみは、大きな戦争が再び起すだろう。そうなれば、世界中で多くの血が流れ、多くの人間が死ぬ。ウルドは、神の名を以って人々を導く者として、それを案じ、一石を投じた。だが、その声はどこにも届かない。私は、ファレリアの領主として、センテ・レーバン諸侯の一人として、せめてこの国の人間だけは救いたい。その思いは、ウルドと同じだ。だが、皮肉なことに、結果としてウルドと同じ道を歩むこととなってしまった。肝心なことは、誰の耳にも届かず、私も死ぬ」

 そう言うと、ボレウスはおもむろに椅子から立ち上がり、腰だめの剣を引き抜いた。慌てて、クロウの傍に控えていた部下たちが、各々の武器を構えた。しかし、クロウは腕を広げそれを制した。

「ならば、せめて、裁きの場でその事をお伝えください。死ぬのはそれからでも遅くはないはず!」

「いや、そうはいかん。シオンさまの即位を前に、私のような愚かな反逆者が甘んじて生を請うでおっては、その治世に汚点を残すだけ。もしも、シオンさまに、我が願いが届かぬと言うのであれば……今も何処かの空の下に折られるであろう、フェルト殿下にだけでも、世界を救って欲しいという願いを込めて、私は自ら決する」

 ボレウスの剣が俄かに輝きを帯びた。だが、その狂気はクロウたちの方には向いていない。そう、ボレウス自身の首にあてがわれたのだ。

「お待ちください、ボレウス公っ!!」

 クロウが手を伸ばす。ボレウスは、深い色をした眼差しをクロウに投げかけたまま、首筋に這わせた剣を手前に引いた。音などしなかった。切り裂かれた動脈からは、だくだくと赤い色の血がこぼれだし、彼の足元に染みを作る。

「剣と盾の王国に、栄光あらんことを……」

 最期に発したボレウスの言葉。その余韻が過ぎ去ると同時に、ボレウスは膝から崩れ落ちて、そのまま帰らぬ人となった。古くから王国に仕えた名門武家の当主であり、自らの意を伝えるために反乱を起こした分離主義者として、自刎(じふん)する。それは潔い決断だった。せめてもの武士の情け、完全に息を引き取るまで、見送ろう。クロウはそう自分自身に言い聞かせながら、自らの剣を鞘に収めた。

「おおっ!! 旦那さま、旦那さまーっ!!」

 部屋の外に待機していた執事が、異変を察して飛び込んできた。玉座に斃れた主人の亡骸に駆け寄り、嗚咽と咆哮をあげる。

「ボレウス公の最期、ご立派であった。公の魂は天にて、その罪を(ゆる)される。これより、ボレウス・ファレリア公の名を(おとし)めることは、決して許されない」

 そう言う事は、武人としての最大の礼儀である。無論、クロウの意志と反して、ファレリア家はお取り潰しとなり、その家名は地の果てに落ちると同時に、彼の親類や縁者はことごとく連座の刑に処されることだろう。ライオットと言う男は、歯向かうものには、蛇のような容赦なさと周到さで、厳しく冷たく当たる。

 だが、クロウには、ボレウスが何故反乱などと言う愚行を犯したのか。その理由が分かっていた。十年前、ヨルンの悲劇が起きて以来、世界は少しずつだが貧しく、苦しくなっている。流行り病や、飢饉、そういったものは、王都でぬくぬくとしているライオットや王族には伝わらない、だから、ボレウスは反乱を起こし、その火の手で、王都に暮らす人々、そしてこの国に暮らす人々に、伝えようとしたのだ。

 ボレウスの思いは分かっている。戦争を好んでするような人間ではないことも分かっている。自分も同じ思いなのだから。しかし、突然受け継ぐこととなった家名を守らなければならないクロウに、一体何が出来ると言うのだろう……。

 ボレウスが評したように、父ホーク・ヴェイルは、勇敢で誠実な男だった。クロウはそんな父を尊敬し、父のような騎士になりたいと思っていた。しかし、その父は、ヨルンでの戦で、三軍指揮を任されながら、進軍を拒否した。何十年もの戦い続きで、兵隊も民衆も疲れきっている。今は恥を偲んで、ガモーフ、ダイムガルドと和平を結ぶべきだと主張した。だが、好戦的な騎士たちは、その意見を批難するばかりか、ヴェイル隊を前線に向かわせた。そうして、父はヨルンの悲劇で、一瞬のうちに二百万人の命とともに消え去った。いまも、亡骸は発見されることもなく、ヨルン平原の中心、墓標の地に眠っているのだ。

 だが、姑息であったのは、前線に向かわず、陣の最奥、アトリアの麓で安穏としていた、騎士団長たちである。現場指揮官として、ヨルンでの敗退の責任を問われた彼らは、こともあろうか、その責任を父に(なす)り付けた。そのため、父は、王国を聞きに陥れた大罪人として、地位も名誉も剥奪された。そうして、ヴェイル家は没落の一歩手前まで落ちていった。

 だが、それを救い出してくれたのは、他ならぬライオットであった。ライオットは、お取り潰しが決まっていたヴェイル家を経済的に社会的に救ったばかりか、跡取りとなった一人息子、クロウを親衛騎士団として取り立てたのだ。

 親衛騎士団は、王家と王都を守る、センテ・レーバン騎士団の中でも、もっとも名誉な存在だ。発言力も高く、また、人々からの尊敬も集める。それと同時に、直接的な指揮権を宰相府に依存しているのだ。

 もはや、没落しかなかったヴェイル家、そしてクロウにとって、ライオットは命の恩人とも言えた。その命の恩人の命令なら、自分の考えや心など、押しとどめてでも、聞き届けなければならない。分かっている。それを傀儡(かいらい)と呼ぶのだ。十字に交差した二本の棒と、底から垂れ下がる糸に手足をつながれ、ライオットと言う名の人形師に操られるマリオネットと同じ。

 もしも、反乱を起こしたボレウスが愚か者だというのなら、それをライオットの命令で無下に潰した自分もまた……。

「愚か者め」

 吐き出した溜息は、ボレウスの遺体に泣きすがる、忠実な執事ではなく、自分に向けたものだった。

「クロウさま!」

 突然、執事の泣き声とクロウの溜息をかき消して現れたのは、つい今しがた間で城の外で、ファレリアの民衆に、拡声器で呼びかけていた、副官のブレックだった。どうやら、下から駆けてきたのだろう、肩で息をするブレックがこちらへ走りよってくる。

「どうしましたか、ブレック副官?」

「ライオット閣下より、エーアデ通信で至急電です。『発、プレジス。宛、ナイディア。反乱の平定、ご苦労のことと存じ上げる。ついては、先ごろお伝えした、ハイゼノン行きの命令を取り下げ、王都へ凱旋されたし。シオンさまもお待ちかねのことである』」

 ブレックが、エーアデ通信の内容を復唱する。プレジスとは、センテ・レーバンの古い言葉で「大臣」を意味し、ナイディアは同様に「騎士」を意味するらしい。傍受を想定した、ある種の暗号であり、宰相府からクロウに宛てられた通信である事を意味していた。

「命令を取り下げるとは……。すでに、手勢の者たちには、ハイゼノン行きの支度を整えさせています。しかも、シオンさまはファレリア反乱のことをご存じないはずでは?」

 命令の変更は、現場では多々あることだが、ファレリアへの出陣前、ライオット付きの参謀メッツェがわざわざ、ハイゼノン行きの念を押したにも拘らず、それを取り下げるというのは、腑落ちない、そんな顔つきをするブレック。彼の言うとおり、次期王位継承者であるシオンは、ライオットの「即位を控えたこの時期に、要らぬご心労を与えるべきではない」という勝手な判断により、ボレウスの反乱は伝えられていないはずだ。むろん、何かしら事情が変わったと言うことも考えられる。

「まるで、われらをハイゼノンへは向かわせまいとしているような」

 とは、ブレックの勝手な憶測である。少なくとも、数日前まで、ライオットはクロウ隊をハイゼノンに向かわせたがっていたように思える。そこに不信感を抱くと同時に、なぜ自分たちをハイゼノンに向かわせようとしたのかも、今更ながらに疑問として持ち上がってきた。

「いかがいたします? 隊長」

 ブレックが命令を請う。クロウは、ちらりとボレウスの亡骸に目をやった。自ら首を切り果てた男は、もはや何も語らない。だが、彼の信念を少しでも感じ取ってしまったクロウは、九つのとき、家を継いでから十年間、くすぶり続けていた思いに、とうとう火がついてしまったと言う感覚に、胸中を埋め尽くしていた。

「以下命令は、受諾していないものとします。ただちに、手勢だけを率いて、我々は『城郭都市ハイゼノン』へ。残りの部隊には、ファレリアの治安維持を行わせるよう、指示を。それから、街の自治監督者を住民の中から選出し、正式に王国への保護を求めてください。以上」

 命令を受け、部下の兵は敬礼と共に、領主の間を後にする。彼らの足音が遠ざかると、再びクロウの耳には、執事の泣き声が聞こえた。

 クロウは踵を返し、執事に向かって言った。

「ボレウス公の亡骸は、丁重に葬って下さい。直、ファレリアには、王国から官吏が次の領主としてやってくるでしょうが、それまでこの城を守るのは、あなたの務めです。どうか、よろしくお願いします」

 それだけ伝えると、返事を待たず、自らも部屋を後にする。長年ボレウスに使えてきた執事に、哀悼の時間を与えてやるつもりであった。

「宜しいのですか?」

 後を付いて来るブレックが言う。クロウは歩を緩めることなく答えた。

「名家の家人としての誇りがあれば、主人の後を追って自害などしないでしょう」

「いえ、そうではなくて、宰相府からの命令を無視なさるおつもりですか? ということです」

「一度くらい、命令に背いたところで、ライオット閣下もそれほど目くじらをお立てになられませんよ」

「後々問題になりかねません。そうでなくとも、騎士団はシオンさまの即位に反対なされている。あなたも、騎士の一員であり、他ならぬフェルトさまとあなたは……」

 言いかけたブレックの言葉に、クロウはかぶせるように、

「それで、ライオットに付けいれられたところで、シオンさまの即位はすでに決まっていること。フェルトさまが居られぬ以上、元首不在のままというわけには行かない。どの道変わらないのであれば、一度くらい命令に背きたい。ここからハイゼノンへはそう遠くはないですが、帰りが遅くなれば、その方がライオット閣下からいらぬ叱責を受けることとなる。直ちに、ハイゼノンへ出発します!」

 と、強い口調で言い放つと、クロウは足早に廊下を去って行った。

 ブレックは、いつもにないクロウの大きな声に驚きながらも、去り行く彼の背中に、少しばかりの苛立ちを感じていた。


 アトリアの峰を越えたアルサスたちの眼前に現れたのは、センテ・レーバン王国、最東端の街、ハイゼノンである。

 遺跡戦を後にした彼らは、ラクシャ村から逃げ出したメルが目指したと思われる、ハイゼノンを目指した。メルを探すのと同時に、遺跡船の石版から手に入れたメッセージの謎を解くためである。そのどちらも、雲を掴むような話であり、実に希薄な情報と勘だけが便りだった。そのため、エントの森のその先、ガモーフとセンテ・レーバンの国境に横たわるアトリアを越える旅は、彼らの足取りを重くさせた。

 本当にメルはこの山脈を越えて敵国であるセンテ・レーバンの街へ向かったのか? 本当にハイゼノンに真実を知る手がかりがあるのか? ネルだけでなく、アルサスもルウもフランチェスカも、同様にそんな自問自答を内心に繰り返し続けた。

 春先のアトリアには、まだ冬の間に降り積もった雪が残っている。そのため、谷の間道はとても険しく、挫けそうになったり、根を上げそうになった。

 だが、ついに山の麓に降り立ち、目の前に現れたハイゼノンの姿をその瞳に映したとき、彼らの疲労は一気に吹き飛んだ。

「城郭都市」その形容の所以は、周囲三クリーグほどもある都市全体を囲む巨大な城壁にある。その城壁こそが、遺跡船とおなじく、太古の遺物なのだ。ハイゼノンはその遺物の上に、造られた街。

 そして、遺物は、遺跡としての役割と同時に、敵を阻む壁となる。高さは、二階建て民家の三倍ほどもあり、はしごをかけても容易に上ることは出来ない。しかも、外に向かって広がるように傾斜しているため、壁をよじ登ることすら不可能である。

 まさに、町全体が城郭のようであり、巨大要塞のようでもある。

 その威容をみるにつけ、何かしらの期待感がアルサスたちの胸に過ぎった。雲を掴むような話だというのなら、その雲を少しずつかき集めればいい。ここでひとつでも、なにか真実に繋がる手がかりが見つかれば、次へのステップになることだけは間違っていないのだから。

 アルサスたちは、そう期待を胸に描きながら、ハイゼノンの城門をくぐった。

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