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第7話 進化した三匹


〇ボルドク

 Lv.10

 種族【コボルトファイター】


〇ケルノスト

 Lv.10

 種族【スケルトンナイト】


「わぉん!」

「かちゃかちゃ」

「ふよんふよん」


 またもや訪れた獣を退治すると、今度はボルドクとケルノストが進化した。


 そして現在、リムサに引き続き進化できたことがよほどうれしかったのか、三匹で一緒に踊っているところだ。


 ボルドクは【コボルトファイター】となり背が少し高くなり、顔も少し狼のような凛々しい顔つきになったような雰囲気に。

 対してケルノストは、【スケルトンナイト】への進化に伴って、どこからともなく骨で出来た直剣を持っていた。それに全体的に骨格もがっしりとしたものになっていて、以前よりも硬そうな雰囲気を感じる。


 彼らと一緒に、リムサも一緒に踊る踊る。やはりそこは【ダンシングスライム】か。風船のような体を右に左に体をひねって、誰よりも楽し気に踊っていた。


 微笑ましくその様子を見守りながら、ジオは思う。


(レベル10になると、魔物は進化する感じなのか)


 思い返せば、ジオは魔物を創れるだけで、その生態に関しては全くと言っていいほどわからないことだらけ。


 だからダンジョンとして、彼もまた学ぶことだらけだ。


『ダンジョンレベルが上がりました』

『〈ダンジョン Lv.5〉→〈ダンジョンLv.6〉』


(……今回も追加スキルはなし、か)


 倒した獣を〈ダンジョン倉庫〉にしまいつつ、アナウンスを聞いたジオは、レベルは上がったものの、やはり新しいスキルが手に入らなかったことにちょっとだけがっかりした。


 とはいえ、レベルが上がるごとに見える風景(ビジョン)は広がっていく。今度こそ外への出口が見つかるといいけれど――


 そう思って風景(ビジョン)を見てみるジオ。左から右へ。彼の脳に流れるダンジョンの風景(ビジョン)は、最初の頃から考えると随分と広がった。


(お、ここはキノコがたくさん生えてるな。……栽培ってどうやってやればいいんだ?)


 苔むした岩壁に群生するキノコを発見。とはいえ、栽培どころか、そもそもこれが食べていいものなのかわからないため、これを食料として見ることはできない。


(まだどこかに続いてる道がいくつかあるな。……いやでも、獣が侵入してくる経路はいつも同じ――こっちの方に出口があるのか?)


 これまで何度もダンジョンの中に入ってきた獣たちは狼だけではなく、イノシシやヤマネコなど、それぞれ違う種類の動物たちだったけれど、決まって同じ通路を通ってダンジョンの中へと迷い込んできていた。


 なぜ彼らがダンジョンの中に入ってきているのかは知らないけれど、今となってはジオの眷属たちの貴重な食料となってくれているので、そこは感謝しなくてはならない。


(この先に出口が――)


 果たして、その侵入経路をさかのぼれば出口があるのかどうか。生唾を飲み込む思いで、ジオは風景(ビジョン)を見た。


 すると――


(光だ!)


 光が見えた。


(この先に出口が――ってここから先にいけねぇ!!)


 しかし残念なことに、ジオが見ることができる風景(ビジョン)はここまでであった。なんともどかしいお預けだろうか。あと一歩でも踏み出せれば、外の景色が見えていたかもしれないのに――


(くっ……今はただの建造物でしかない自分が憎い――!!)


 とまあ、ここにきて自分がダンジョンであることすら憎しみ出したジオであるが、ともあれダンジョンが外に繋がっていることが分かったのは行幸と言えるだろう。


(とりあえずどうにかしてダンジョンレベルを上げたいな。岩だらけの洞窟じゃできることが限られてくる以上、外の資材――特に木だな。木が欲しい。家具にしてもいいし、あのキノコが食べられるものなら、菌床を作れるかもしれない) 


 前世の少ない知識を何とかひねり出して、ひとまず今後の食糧問題をどうにかしなくてはと考えるジオ。


 いつまでも獣がこのダンジョンに来てくれるとも限らないので、間違いなく今すぐにでも解決しなくてはいけない問題だ。


(ああもう、じれったい!)


 今のところ、ダンジョンに迷い込んだ獣を倒す以外でダンジョンレベルを上げることができていないジオは、次の獲物が来るまでの待ち時間がじれったく感じてきた。


 あと少しで洞窟の外が見えるのに! そんな思いでいっぱいだ。


 あと、少しで――


(――ってリムサ!?)


 と、光を眺めていたところ、風景(ビジョン)にリムサの丸い風船のような姿が映りこんだ。続いてボルドクとケルノストも現れたかと思えば、彼らは一斉に光の方へと進んでいくではないか。


(おい、いくら進化したからって三匹だけで行くのは危険だぞ!)


 まだ何があるかわからないその先へ向かおうとする三匹へ、ジオは思わず声をあげて制止を促すけれど、やっぱり声は届かない。


 そうして三匹は、ジオの目の届かない洞窟の外へと行ってしまった――

 


 

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