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神様のお使い  作者: 花香
伍ノ話
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裏話、吾から見た奴は……

上の御仁から見た、俺の印象は? というかんじの話です。。。

楽しんでいただけたら幸いです。


まったく、わかっておらん。


吾はきゅ~っと目を回して気絶している男を見て、ため息をつきたくなった。


今回の件は大変な珍事であった。

なぜこのようなことになったのか、吾にも検討がつかぬ。

しかし、起こったことは起こったこと。

事実は覆らぬし、結果もまた然り。


どこからともなく現れた生命体は、誠にけったいじゃった。

吾の眼をして、判然としないというのは怖ろしい事態でもある。

じゃというのに、こやつは先刻まで何でもないことのように扱っておった。


「うわわわっ、やめろって……」


などと笑いながら、ぺしぺしと正体不明のものを叩く様は、そこらの犬猫と扱いが同じ。

困っておるのか、楽しんでおるのか。

微妙な笑みをも浮かべておった。


この世界とは異にするモノをよくもまぁ、相手にできるものじゃ。

吾には出来ぬ。


なんせ吾と同等の格を持ちながら、性質が違い過ぎるのだ。

吾と反発することは明白。

接触をしようものなら、ここら一体がどうなるか分かったものではない。

それが分かるだけに、こ奴に相手をさせるしかなかった。

そして、こ奴は“あれ”を満足させるだけでなく、何事もなく送り返しおった。

善き結果に、さしもの吾も安堵した。

もし、帰りもせず留まり続ければ、世界が崩れるところであったしの……。


「それにしても、こ奴は困ったものよの~」


吾と同格のモノを相手にしておる、その事実を分かっていながら、理解しようとはせぬ。

まったく、頑固者目が!

それがどれだけのことか、少し考えれば分かろうに……


地上種の個体が持つ力なぞ、どうということもない。

内に宿る力、人の言うところの異能もさることながら、我らの“声”を聞けるだけの存在、我らが加護を施した存在。その持てる力の大きさなぞ、単にあるかないか、大きいか小さいかでしかない。

世界にはなんの影響もない、ほんに他愛ないものよ。


しかし、こ奴は違う。


“視る”


この一事がどんなに重要なことか、一刻も早く自覚して欲しいものじゃ。


「まったく、困った奴よの~」


吾は、ふ~と吾らしからぬため息をついた。


ふむ。

どうやら、肉体に引っ張られているという、こ奴の考えはあっているのやもしれぬ。


「まったく、困った奴じゃ」


ふふっと、今度は口角があがった。

楽しいという気分のままで、“自然と笑う”というのも面白いものじゃな。


こ奴の側は、面白い。


ヒトの身でありながら、吾らに近い珍奇なヒト。

この地上でただ一人、吾らを“視る”ことができるその珍奇さ。


早く、自覚してほしいものじゃな。


「さて、帰るか」


ひょいっと気絶しているこ奴を浮かせ、吾は宙空に円を描く。

夜の砂漠に、尚暗い闇がぽかりと開いた。

その事実に、ほっとする。


“あれ”が現れた頃から、すでに空間には異常が出ておったのだ。

そのため、空間を大きく渡るようなことは控えねばならなかった。


肉体を使い、砂漠を渡る。


まったく、難儀なことよ。

早々に“あれ”が元の次元に帰ってくれたことは、ほんに助かった。


暗闇に入っても異常はない。

これで、すぐにでもこ奴を送ってやれるし、この肉体も返却できよう。


「疲れた。疲れた」


やれやれと肩を竦め、吾はそっと砂漠の空間を閉じ、帰路へと着いた。




伍ノ話はこれにて幕となります。


次話は少し違うところからの依頼にしようかな……

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