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神様のお使い  作者: 花香
伍ノ話
38/46

六、俺と犬+猫?


「イヌ」


それは主人に尽くすことに喜びを感じている……かもしれない、四足歩行の哺乳類だ。

決して犬牙族(ワーハング)みたいな、喧嘩上等、文句は俺に勝ってから言え! ってかんじの戦士系種族の代表格みたいな奴らのことじゃない。

主人に褒められたらしっぽをぶんぶん振って、雪が降っても振らなくても走り回る、散歩大好きな動物。

それが、犬ってもんだ。

愛玩動物(ペット)ってだけでなく、番犬とか、狩猟犬とか、牧羊犬とかいろんな場面で活躍できる。それも特徴。



「ネコ」


それは一日の半分以上寝て過ごすと言われいている、四足歩行の哺乳類だ。

決して猫爪族(キャンニール)みたいな、甘いわね、捕まえられるなら捕まえてごらんなさい。ってかんじの隠密行動と俊敏性にやたら特化している、怖ろしい暗殺集団じみた奴らのことじゃない。

日がな一日、日向ぼっこをのほほんと楽しみ、煩わしいことからはするりと逃げる、自由気ままな動物。

それが、猫ってもんだ。

愛玩動物(ペット)って扱いが大半だけど、鼠獲りとか使い魔とかになってたりもするな。


「イヌとネコってのは、こんなんだよ。」


“ふ~ん”


砂の上に絵を描きながら、現在絶賛説明中です。

多少横道にそれたりもしたけど、まぁいいだろう。


イヌとネコについて改めて考えると、どーしても獣人族の中でも割とポピュラーな2種族が頭に浮かぶんだよなぁ。

なんとなく、ついででも言いたくなるのは……


奴らとは、違うんだ!


って分かってもらいたからだ。

ぐっと拳に力を込めて主張するのだって、その心の表れだ!!


マージナルにも犬牙族(ワーハング)猫爪族(キャンニール)が、当然ながらいる。

マージナルの奴らが強いってのは分かり切ってるといえば、そうなんだけど。

奴らの存在感は半端ないのだ。

戦闘狂だろお前っていいたくなる奴とか、少しぐらい気配を出せよと言いたくなる奴とかばっかだし。


間違っても、あのもふもふの動物たちとを一緒くたには絶対したくない。

そんなのは、癒しを提供してくれる、あのもふもふの子たちへの冒涜だ!


つまるところ、


「イヌとかネコとかは、わりとかわいい子たちなんだよ」


うむうむと深く頷きながら言う俺。

その俺に、謎生物はこう言った。


“それじゃ、それになったらいいの?”


「はい?」


“それじゃ、こんなかんじ?”


俺の疑問はスルー。

こんなかんじと言った途端、ぼわんと黒い煙みたいなものが上がった。

そして、現れた。


“どう?”


「はぁ?」


そこに新たに現れたものを前にして、俺はぽかんと大口を開けてしまった。


“どう? どう?”


俺の足元をぴょんぴょん跳ねるのは、四足歩行の哺乳類らしき生物だ。

犬みたいな鼻に、猫の瞳孔。耳はへにゃりと垂れ下り、しっぽは長くふらふらと揺れている。

そんなのが上機嫌に俺へと笑っている。


“いぬってのと、ねこってのになった?”


「………あ~、そうだね」


とりあえず、イヌとネコを足したらどういう風になるのかはよく分かった。

かわいいかも? とちらっと思う瞬間もあるが、正直かなりビミョーだ。

やっぱ、イヌはイヌ。ネコはネコの姿がしっくりくる。


見慣れていないせいとかじゃなく、異種族を混ぜるのはやっぱダメだ。

そして、犬牙族ワーハンドとか猫爪族キャンニールとか、異種族間で結婚しても子どもができないか、できてもどっちかの種族になる理由が分かった気がする。

やっぱ、異種族の壁は高くないとな。


新種の珍奇な生物がわらわらいるってのも、面白いとは思うけど……


いやいや。やっぱダメだ。

ちょっと想像しようとしたけど、なんかダメ。

想像しちゃダメ。


“これで、あそんでくれるよね?”


そんな、どうでもいいことに思いを馳せる俺に、こきゅっと首を傾げてのおねだり。


一体どこでそんな技を!

ちょっと、ちょっと。なんか訳もなく可愛く見えちゃったよ?

びみょ~な感じだったのに、なんだよそれ?

小首傾げてのおねだり光線は、イヌとネコが合体しても健在なのか!


異種族の高い壁は、もしかしたら、超えてもいい壁なのかもしれない……


そんな血迷ったことを思ってしまった。




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