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神様のお使い  作者: 花香
伍ノ話
37/46

伍、俺と絡むモノ?

「なんなんだ?」


これはどっから現れた?

ってか、なんで絡みついていやがる?


いや、なんというか…………


「これ、なんですかね?」


下半身に絡みついているそれ(・・)からそっと目を背けて、御仁に縋る。


ええ、縋りますとも!

なんていっても、御仁は天上の存在!

頼れる上のかたですもんね!


「吾にはわからぬ」


そんな期待に満ち満ちた俺を、御仁は素っ気なく、あっさりと言いやがりましたよ。

あんまりあっさり言うもんだから、咄嗟に言葉が浮かばず、どうでもいいことが口から出た。


「そうですか……」


「そうじゃ。

 吾らの意志ではなく、この界に迷い込んだモノの正体ではあろううがのう」


「そう、なん、ですか……」


はっきりきっぱり、爽やかな御仁の言に、俺はぽかんと呆けた返事しかできない。


「いやはや、どっから来たのやら」


むむむ、っと腕を組んで呻る様は御仁の仕草としては珍しい。

やっぱり人に入っているから、多少容れもの(うつわ)に影響されているのか?

そんなどうでもいいことを考えてしまうのは……


わかってる。ああ、わかっているとも、現実逃避だ!

必死に現実から目をそらして、現実逃避をしてもいいだろう?


けど俺もただ現実逃避を決め込んでいるわけじゃないぜ!

そう、必死になって砂を引っ掻いているんだ!

せっかく少しばかり復活した体力を使いきるが如く、そりゃもう、必死に!

爪の中に砂が入り込もうが、口に入ろうが構うものか!


えっ、どうしてかって?

そりゃ、決まってんだろ!

いま、この瞬間から逃れられるなら、血管振り切るぐらいの勢いでやってやる!!!!


「こんの~~って、おい、こら、っちょっと?」


って、考えてたときもありました。。。


「えっ、いや…だから、ちょっと、やめ、やひゃひゃひゃっ

 ほん、と、やめ、ぐひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃひゃっ」


俺が砂を掴もうとするたびに、ひたすらくすぐられている。

なぜ、こんなことになってる?


「お主が逃げようとしたからではないか?」


そんな解説いらないんですけど?

ついでに、御仁のセリフに“その通り”的な感じで同意の意思を送ってくんなよ。

そんでもって、何で拘束するでもなく、くすぐりになるわけ?

これ、地味にきついんですけど?


「ってか、そんなっ、そんな変な、動きで、身体を、くすぐるんじゃね~~」


ひゃっひゃと苦しい息の下から絞り出した心からの願いは


“それじゃ、構ってくれる?”


そんな交換条件のもと達成された。



◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇◆◇


「それで、何すりゃいいんだ?」


構って光線っつ~か、思念的なのを受け取っているものの、何をどうすりゃ構ってやっていることになるのかがわからん。

なんせ相手は蔦? いや、縄? 蔓?


…………っと、とにかく勢いよく絡み付いたり、締め付けてくる謎生物だ。

どうしたらいいのかなんてさっぱり。


「ってかんじなんですが?」


「吾に聞くでない。」


俺のささやかな疑問は、ばっさり切られた。


「なんか、今日はほんとに冷たくないですか?」


無理やり連れ回されてるのは俺なのに。

なんか、俺の扱いひどくないですか?


「そんなことは、ない」


「どの口がそれを言うんです?」


うっすら笑いながら言われた否定ほど、信じられないものはない。

俺は胡乱な目つきで御仁を見つめるが、御仁の表情はまったく動かなかった。


―――――なんか、負けた。


意味はないが、何か負けた感じがする。

まぁ、御仁は天上の存在だ。

勝とうなんて思うはずもないから、いいっちゃいいんだけどね!


そんなどうでもいいことで、ちょっと悔しくなりつつ、視線を戻す。

そこには、


“もう、早くあそんでよ~”


くねくねと揺らぎつつ、俺の脚を締めたり緩めたり。

這いずったり、滑ったりしている“何か”がいる。


「……どうすりゃ、いいんだよ。ってか、何がしたいんだよ。」


“あそんでくれたらいいよ?”


いや、だからどうやって蔓みたいな奴と遊べばいいんだよ?

妙に明るく弾ける笑顔を連想させる声で言われたところで、ねぇ。

じゃぁ、楽しく遊びましょ~なんてできるわけないだろ!


お前で縄跳びとかすればいいとか?

って、それじゃ~俺がお前で遊んでいるだけで、お前と遊ぶことにはならんしな~。

う~~~む。


「せめて犬とか猫みたいだったら、遊んでやれるけどな~」


くねくねしながら俺を待っているっぽい、そいつに思わずため息が零れる。

すると、ぴたりとそいつの動きが止まって、


“それって、なに?”


くねっと首を傾げるように先端が傾いた。





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