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神様のお使い  作者: 花香
弐ノ話
15/46

七、わたしと運命の一言?

お気に入り、評価、ありがとうございます。暇つぶしにお楽しみください。


<は~。なんでこいつなんかと一緒にいなきゃならないのかしら?>


<それは、こっちのセリフですよ。>


<なによ!>


<何ですか!>


今日も守護精霊様は不機嫌だ。

それもこれも、この見ためがすっごい綺麗な水の精霊(っていっても守護精霊様以上じゃないけど)との相性が良くないみたいなんだよね。

初めてあったときとかは、別に仲が悪いってわけじゃなかったのに。

どうしてなのかな?


「2人とも。落ち着いてよ。」


わたしの隣にいるこの赤茶髪の男が、必死になって2人を宥めるのも恒例行事。

わたわたと手を動かして2人を宥めている男の姿は、傍目には変に見えるんだろうな~と人ごとのように思って、わたしはそっと隣の男から距離を取った。


これで、わたしは大丈夫ね。


うんうんっと頷いて、ちょっと離れたところから男と守護精霊様と水の精霊を見ることにした。

そして、何日か前のことを思い出してみたり………




「お前ら、さっさとこっから出てけ!」


ぽいっと外に追い出された守護精霊様を追いかけて、わたしは思わず側にかけよった。

そしたら、ぴしゃっとマージナルのドアを閉められちゃったのよね。

わたしの隣では、わたしと同じように水の精霊を追ってきた赤茶髪の男が、「ちょっと待って!」とか言ってたけど、あの人が戻ってくることは……


「あっ、そうそう。」


戻ってきた!

しかも、顔に笑みを浮かべてこっちに来た!


あの人が近くに来てくれることは、うれしいはずなんだけど……

な~んか、ちょっと、イヤな感じ?

あの笑顔がそこはかとなく、黒いっていうか、邪悪な感じがする。


「お前ら、半年間マージナルに立ち入り禁止だから。

 これ、マージナルの総意。覆ることはないから。」


放たれた言葉はこれ。

言われたことの意味がよくわかんなくて、はぁ?って呆けちゃったわたしの横で、赤茶髪の男がギョッと目を剥いて、


「それだけは! それだけは勘弁して!!

 半年間どうすればいいんだよ! 僕が悪かったからせめて1カ月にしてください~~」


必死の形相で言ったけど、ニコニコ笑顔でパタンと扉が閉まっていった。

そして、


「うわ~~~~ん」


大の大人が、しかも男の人が、恥ずかしげもなく大泣きするのも見てしまった………


それって、そんなに大事(おおごと)なの?

建物に入れないだけじゃない。


マージナルが今一分からないわたしには、ここ(マージナル)は単にあの人が勤めている場所ってだけの価値しかないんだけど……

この人の嘆きっぷりを見てると、それだけじゃないのかな?


そんなわたしの素朴な疑問は、その後、後悔とともに解消されることになった。




「マージナルに入れないなんて……しかも、半年も………」


悄然としてぶつぶつと呟く人って、普通に話しかけたくないものよね。

ましてや、その項垂れっぷりが度を越してたら、近寄りたくもないわよね。


わたしは、あの後マージナルに再度入ろうとして、あの人以外の職員の人に追い出されてしまった。

あの人が言ってたことって、本当なんだ~と初めて理解した。

それと同時に、あの人を追いかけてここまで来ただけだから、あの人が1日の大半を過ごしているあの場所に入れなくなったのは、正直痛いな~と思って、ちょっと凹んだ。


っということで、わたしはあの人の仕事が終わるまで暇になってしまった。

だから通りをぶらぶらしてみようと思ってたんだけど……


すっごい淀んだ空気を醸し出して、変な空間を作り出しているこの人を見つけてしまったのだ。

思わずうわっ!って声が出ちゃうのは、しょうがないと思うのよ。

周りの人も言ってるし。


ほんと、近寄りたくないわ~。


わたしは、この人を視界に入れないように、くるりと後ろを向いて歩くことにした。

向こうの通りの方が賑やかそうだけど、どこ見ても見たことない場所だからどこもかしこも物珍しい。

それだったら、わざわざあっちに行くことないし、向こう側を見に行こ~っと。


ふんふんっと鼻歌を歌いながら歩きだした、わたし………なんだけど。

あれ?

なんか、前に進めない?

足に冷たいのが触れてる感じがするのは、気のせい?


「どこに行くんですか?」


声に振り向けば、赤茶髪の男が笑っていた。

その顔に、ひくりと頬が引きつるのが、すっごいよく分かった。


だって!! この人の目、笑ってないんだもん!!!


そんでもって、足元のひんやりした感触は、


「わたしの足が、凍ってる!!!」


わたしの足を捉えた氷が、わたしと地面をばっちり固定していた。




「だいたい、どうして僕がこんな目に合わないといけないんですかね。

 僕はただ話をしていただけなんですよ。それをお前とあなたが……」


云々(うんぬん)とぐちぐちと言ってくる相手に、わたしはふは~とため息をついた。


ここは表通りから離れた場所にある、公園。

のどかな笑い声と、子どもがわーわーと遊びまわっている声の合間に、軽食とか飲み物とかを売り歩いている物売りの張りのある声が聞こえる。

そんな平和な公園の片隅、木陰にわたしとこの人はいるわけだけど……


も~~~、すっっごくうざいよ~~~


表通りから、わたしを有無を言わさずここに連れてきたと思ったら、これだ。

延々と愚痴をこぼしている。


<申し訳ありません。>


<はいはい。もうわかったわよ。私が悪かったわ。これでいいでしょ~>


水の精霊と守護精霊様に。


わたし?

わたしはっていうと、もう完全に蚊帳の外ね。


傍から見れば、まるでわたしが怒られてるみたいだけど、ここに来てから一回も目が合ってないし、わたしに対しては、な~んにも言ってきてはいないのよ。

ま~、わたしに八つ当たりされてもいい迷惑だし、そんなことしたら絶対殴っちゃうわね。


そんな風にわたしが物思いにふけって、男の声を遮断していたんだけど、


「あなたたちのおかげで、僕はマージナルに入れなくなったんですよ。」


深刻そうにそう言ったこの人の声が、やけに重苦しくてひっかかった。

だから、ちょっと聞きたくなったんだよね。


「ねぇ。建物に入れないことの、何がそんなに辛いの?」


単なる好奇心。

ちょっと気になる程度の軽~~~い好奇心だっだのよ!!


なのに………

ああ、なんでこのときわたしは質問なんかしちゃったのかしら?

魔がさしたとしか思えないわ。

男の言葉なんて聞き流して、何でそのままさよならしなかったんだろう。


わたしのこの一言が、これからのわたしの未来を決めるきっかけになるなんて!!


…………今さら後悔したってどうしようもないのよね。

思い出すだけでため息が出るわ。


わたしは守護精霊様と水の精霊の間に立って、必死に宥めている男に会うたびに……っていうか、毎日会ってるから毎日、毎日、朝日が昇った瞬間から太陽が沈んだ後も、後悔とため息を繰り返している。






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