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救世主物語  作者: アルドア
4章

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第68話 混乱の中で

エミリアは旅を続け、最後の二柱の天帝と出会い、それぞれの世界観や統治理念を学んだ。


それは、彼女にとって新たな視点を与えるものであり、これからの道を考えるための大きな糧となった。


まず、彼女が出会ったのは風雷神天帝ゼフィロス。


彼の世界は、支配主義の極致とも言える体制であり、明確に上級国民、下級国民、そして奴隷に分けられていた。



ゼフィロスは絶対的な力を持ち、社会を細部に至るまで厳しく管理していた。


秩序と効率を重んじるその姿勢は、確かに安定をもたらすが、自由や個人の尊厳を犠牲にしていた。



彼の支配欲は非常に強く、他の天帝たちの領土にも手を伸ばそうとしていた。


ゼフィロスの手法には、天罰をもって悪人たちを裁く「天縋あまつがら」があり、雷が街を貫くように落とされる。


しかし、無関係な人々も巻き込まれることが多く、残酷な一面が強調されていた。


その強烈な支配欲と冷酷さにエミリアは違和感を抱いたが、彼の世界観にはある種の厳格さと秩序があった。


次に、白道天帝ヴァルキアスと対面する。


少年のような見た目をした彼は、ゼフィロスとは対照的に、実権を政府に預け、ひっそりと神の社で過ごしていた。


ヴァルキアスはあまり積極的に干渉しない天帝で、時折人々に神託を与える程度で、統治というよりも人間が自らの力で生き抜くことを重視していた。


彼の考え方では、過酷な環境の中で人間が進化し、成長することが重要だとされていた。


この対照的な二人の天帝から、エミリアはそれぞれの極端な統治の姿を見た。


ゼフィロスのように強力な支配による安定と、ヴァルキアスのように放任による成長。


それぞれが持つ独自の世界観と、人々の生き方が大きく異なることに驚きを感じつつも、エミリアは彼らから多くの学びを得た。


エミリアは旅を通じて、多様な世界を目の当たりにし、さまざまな統治の形を体験した。


そして彼女は、自らが目指すべき未来について、次第にその輪郭を掴み始めていた。


統治者として何を守り、何を導くべきか、エミリアの心には新たな決意が芽生えつつあった。


彼女が望むのは、ただの支配でも放任でもなく、人々が自らの力で成長しつつも、平和と秩序が共存する世界だった。



三柱の天帝がついに反旗を翻し、元始天帝ミネアに対して討伐の動きを見せた時、世界は揺れ動いた。


風雷神天帝ゼフィロス、白道天帝ヴァルキアス、そして地獣天帝ギルガレットが、ミネアの封絶結界と秩序を打ち破り、新たな支配を打ち立てようと画策していた。


その中で、私はエミリアとして、ミネアの側に立ち続ける決意を固めていた。



長い旅の中で学んだことは多かったが、やはりミネアの目指す世界は、私が信じたい未来であった。



ミネアはその力で封絶結界を維持し、世界を守っていたが、そのために自らが動くことはできなかった。


彼女の不動の姿は、冷静でありながらも、この状況を重く受け止めていることが明らかだった。


そこで、ミネアは私に協力を要請した。


天帝たちの反乱を鎮め、世界を守るための力を貸してほしい、と。私は即座にそれを受け入れた。


そこに現れたのが、幻夢天帝エリシアだった。


自由を重んじる彼女は、これまで反乱に加わらなかったが、この状況を放置しておくこともできなかったのだろう。


エリシアは私と共に、反乱した天帝たちを討つことを申し出てくれた。


しかし、彼女の目にはどこか沈んだ表情が浮かんでいた。まるで心の中に何か重いものを抱えているかのように。


それでも、今はその理由を問う暇もなく、世界の崩壊を防ぐために集中しなければならなかった。


「エミリア、私たちは力を合わせて戦うしかないわ」とエリシアが静かに言った。

彼女の声には決意と覚悟が込められていた。

私は頷き、共に天帝たちに立ち向かうことを誓った。


これから始まる戦いは、単なる勢力争いではない。世界の未来を左右する決戦だった。


私たちはミネアの理想を守るため、そして人々の平和と秩序を取り戻すために、立ち上がった。


ゼフィロス、ヴァルキアス、そしてギルガレットとの激突は避けられない運命となり、私の心は大きな使命感で満たされていた。



エリシアの力を借り、私は戦いに挑むことを決意した。


しかし、その裏で、エリシアの沈んだ瞳が何を意味しているのか、それがこの戦いの行方に影響を与えることを、私はまだ知らなかった。



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