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救世主物語  作者: アルドア
4章

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第67話 これからの道

エミリアは小部屋を後にし、廊下を歩いていると、カレンが心配そうに待ち構えていた。


カレンは彼女を見つけるとすぐに声をかけた。


「大丈夫ですか、エミリア様?あのギルガレットと二人っきりで…」


エミリアは微笑みを浮かべて、カレンに軽く答えた。


「ただの世間話よ、カレン。心配しないで。」


その一言で、カレンは少し安心したようだったが、エミリアの心の中では依然として思い悩んでいた。


ギルガレットとの会話はただの世間話ではなかった。


彼の提案と秘密裏の約束は、彼女のこれからの運命に大きな影響を与えるものだった。


彼は明確にエミリアに、選択を迫ってきた。


自由な世界を築くために、自分たちと同盟を結び、元始天帝ミネアを討伐する側に立つか、それとも今の秩序を守り続けるか。


エミリアはこれまでの旅を振り返りながら、ギルガレットの言葉が頭の中で繰り返されていた。


世界を巡る中で、彼女はさまざまな場所を訪れ、多くの人々と出会い、彼らの苦悩や希望を目の当たりにしてきた。


それぞれの大陸には独自の文化や問題があり、どの場所も一様ではなかったが、共通していたのは、全ての人々がより良い未来を求めているということだった。


ミネアの言葉に従い、残る2つの大陸を解放し、エミリア自身がその大陸の統治者として導くべきか。

それとも、ギルガレットが提案した「自由な世界」の未来に賭けるべきか。


エミリアは、自分がどの道を選ぶべきか深く考え始めた。


ギルガレットの示す道は、確かに納得がいくものだった。


資源の乏しいアルドゼファー大陸を救い、新たな未来を切り開くためには、自由な世界が必要だという彼の言葉に、一定の説得力があった。


しかし、ミネアとの絆、そして彼女が与えてくれた数々の支援と恩恵を忘れることはできなかった。


エミリアは自分が何を目指しているのかを問いかけた。


統治者として、誰かの指示に従って進むのではなく、自分自身の意志で世界を良くするために行動すべきではないか。


エミリアは一歩一歩、心の中で結論に近づいていたが、まだその決断を下すには至っていなかった。


カレンが隣で心配そうに見つめているのを感じながらも、エミリアは内心の葛藤を表に出すことなく、ただ静かに微笑んだ。


「さあ、次の目的地に向かいましょう。まだ私たちの旅は続くわ。」


エミリアは自分自身に向けても、その言葉を噛みしめた。


旅はまだ終わっていない。


これからどちらの道を選ぶにせよ、彼女にはまだ多くのことを見て、感じ、考える時間が残されている。そしてその時間が、最終的な決断を導いてくれるだろうと信じていた。



エミリアはギルガレットとの対話を経て、自分が今まで歩んできた道の意味を改めて問い直していた。


天帝たちによる統治の道は決して完全ではないが、彼女の目にはそれぞれの天帝が作り出した世界には一定の秩序と意図があり、彼らの行いが全くの誤りだとは思えなかった。



元始天帝ミネアは、天理調停者を通じて戦争を間接的に排除し、アルディア大陸に平和をもたらしていた。


その平和は一時的なものかもしれないが、人々に安定を与え、戦火の恐怖から解放する力を持っていた。


エミリアは、その意図を深く理解していた。


ミネアは権威と力を持ちつつも、暴力を避けるための道を模索していたのだ。


一方で、幻夢天帝エリシアは自由と競争を尊重し、その結果として格差が広がってしまったものの、それでも成長する社会を作り出していた。


貧富の差による不平等は確かに存在したが、国家や教団による救済策が取られており、人々は試練を乗り越えながら自らの道を切り開いていく姿が見られた。


エミリアは、エリシアの自由な思想のもとに人々がどのようにして成長しているかを目の当たりにしていた。


そしてアルドゼファー大陸。

自然と共に生きるという選択は、人々に厳しい現実を突きつけた。


畑を持つことのできない弱い人々は、自然の力に打ちのめされながらも生き抜いていた。


淘汰される弱者がいる一方で、その過酷な環境に適応し、力強く生きる者たちもいた。


エミリアは、その大陸が持つ厳しさを理解しつつも、それが人間と自然の共生の一形態であることに気づいていた。


これらの大陸それぞれが持つ特徴や問題点を考える中で、エミリアは一つの問いに立ち戻った。



自分は何を目指すべきなのか、そしてどのような世界を築くべきなのか。




エミリアは、天帝たちの統治が完全ではなく、時に不公正や格差を生むとしても、根底にはそれぞれの大陸に平和や秩序をもたらそうとする意図があると感じていた。


ギルガレットが提案する「自由な世界」は、確かに魅力的な響きを持っていたが、それが本当に人々のためになるかは疑わしかった。


自由には必ず責任と犠牲が伴う。


その結果、さらに多くの争いや混乱が生まれるのではないかという懸念があった。


エミリアは自らの旅で見てきた人々の姿を思い出した。


平和を求める者、自由を追い求める者、自然と共に生きる者――それぞれが異なる価値観を持ちながらも、皆が生き延びようとしていた。


彼女はその全てを尊重したいと思った。


しかし、それと同時に、秩序や調和がなければ、人々は争いに巻き込まれ、やがて崩壊してしまうことも理解していた。


「私は何を目指すべきなのだろう…」


エミリアは静かに自問した。


自分の役割は、どちらか一方に偏るのではなく、それぞれの価値観や生き方を調和させることかもしれない。


天帝たちが築いてきた世界の中で、人々が自由と秩序のバランスを見つけられるように導く。


それが彼女の果たすべき使命であり、これからの世界を築くための鍵かもしれない。


まだ答えは出ていなかったが、エミリアの心には一つの確信が芽生えていた。


どんな道を選ぶにせよ、彼女は自分の信じるものを守り、人々に寄り添いながら未来を切り開いていくつもりだった。



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