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救世主物語  作者: アルドア
3章

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第53話 予感

エミリアは復興活動に積極的に参加していた。


村の道が塞がれていれば、光の防御壁を用いて崩れないように支え、傷ついた人々を癒すために「星の癒しを(ヒーリングスター)」を使って治療を行っていた。


彼女の献身的な姿は、村の人々だけでなく、冒険者たちや使節団にも深い感銘を与えていた。


その後、追いついてきた使節団と復興活動にあたり、落ち着いてきたので、このまま北部地方を巡る旅が始まった。


エリシアとはまだ合流はできてなかったが、

それでも旅は続ける。



北部は南部とは異なり、厳しい寒さが彼らを迎えた。

ここでは農業が限られていたが、寒冷地に適した作物が育てられており、耐寒性の強い農産物が特徴だった。


しかし、北部の主要な産業は農業ではなく、鉱業であった。

山々に豊富な鉱物資源が眠るこの地域では、大規模な採掘作業が行われており、鉱山労働者たちは過酷な環境で働いていた。


使節団が訪れた鉱山では、炭鉱奴隷や戦争捕虜が黙々と鉱石を掘り出す姿が広がっていた。


彼らの疲れ切った表情や、寒さと過酷な労働に刻まれた顔には、日々の辛苦がにじんでいた。


エミリアはこの光景に心を痛めた。

彼女自身もかつて奴隷であった過去を持つため、この状況は他人事ではなかった。

かつて自分が置かれていた環境と重ね合わせ、何かをしなければならないという思いが強くなった。


彼らに話を聞くと、意外な返答が返ってきた。鉱山労働者たちは命を削るように働いているものの、彼らの中には明るさを持つ者もいた。


「確かに危険はつきものだが、こうして飯を食って生きている。給料も出るし、奴隷でも自分を買い戻すことができるんだ。それに、ここでの暮らしは悪くないさ。きついけど風呂もあるし、3日働けば1日休みがもらえる。さらに、休みの日にも働けば報酬が1.5倍になるから、稼ぎたい奴はどんどん稼げる。」


彼らの話を聞き、少し時間を置いたあとで

カレンに聞いてみた。

「状況判断にはなりますが、出稼ぎや日雇いなどは比較的、安全な坑道で作業している様子です。戦争捕虜や犯罪奴隷などは、危険な奥の作業や、新規の坑道掘削作業に従事していると思われます。

しかしながらこれはここの国では違法ではなく立派な労働力となっています。誰かが、やらなければならない作業に、人を選別する。

こういうことは日常的にありえます。」

冷静な考えで答えてきた。

「エミリア様、彼らは犯罪や戦争の罪でここに来ております。なので救済などは罪をつぐなってからかと思います。」



エミリアは心の奥底にはまだ解決されない悩みが残っていた。

「彼らに救いをもたらす事はできないだね。」

エミリアがつぶやいた。


彼らが置かれている状況が解放されたわけではないことを感じていたからだ。


カレンはエミリアの慈愛に満ちた感情は危ういと感じてきた。

センチュリア帝国で、皇帝陛下が癒しの権能は

あまり使わない方が良いと、おっしゃってたことが身にしみた。

純粋さ故にこのような考えにいたるのだろう。



一方で、カレンは静かにエミリアの姿を見守っていた。エミリアの成長は目覚ましく、その神威の権能はますます強力になっていた。

もはや、使節団の中で彼女と同等の力を持つ者はいないと言っても過言ではなかった。

その事実にもカレンは心配を抱いていた。


「エミリアが、これからも皆と同じ道を歩み続けられるだろうか…」


カレンは、エミリアの未来に思いを馳せていた。

力が強くなることで、彼女が孤独になってしまうのではないかという不安があった。

神に近い存在として、他者とは異なる道を歩む時が来るかもしれない。

そんな時でも、エミリアは今のような明るさを保っていられるのだろうか。

カレンは、彼女の笑顔がいつまでも変わらないことを願ってやまなかった。



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