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救世主物語  作者: アルドア
3章

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第38話 バモスカラ大陸到着

バモスカラ大陸の最初の訪問地である南部地域は、エミリアとその使節団にとって新たな世界への扉だった。


南部の温暖な気候と豊かな土地は、アルディア大陸とはまるで異なる風景を彼らに見せ、そこに生きる人々の暮らしが、自然と調和しながら発展している様子は、使節団のメンバーに強い印象を与えた。


港では活気に満ちた市場の賑わいが目立ち、新鮮な農作物が所狭しと並べられている。


市場に立ち並ぶ屋台からは、香ばしい料理の匂いや甘い果物の香りが漂い、エミリアたちの鼻をくすぐる。


船員たちは港に船を着け、次々と貨物を積み込んでいく。

市場の喧騒の中、子供たちは笑い声を上げて走り回り、商人たちは熱心に取引を交わす。この活気に満ちた景色を見たエミリアは微笑み、「ここはまるで、別の世界のようだわ」と感慨深げに呟いた。


一方で、エリシアはこの風景をじっと観察し、内心で感じるものがあった。


バモスカラ大陸の南部は、自然に恵まれ、戦争や争いから遠い平和な地域だ。


しかし、彼女が知るこの大陸の他の地域は、必ずしもこの穏やかな風景と同じではないことを理解していた。


彼女は、バモスカラ大陸の成長と争いの歴史を知り、その背後にある神々の影響も理解している。だからこそ、表面的な豊かさだけではなく、その裏に隠された課題や問題にも目を向けていた。


中心部へと進むと、巨大な神殿が彼らの前に現れた。この神殿は、光の女神を祭る教団の本拠地であり、その神聖な空気は参拝者たちの祈りと共に、建物全体に漂っていた。


白大理石で作られた神殿は、光を反射して輝き、どこか時間を超越したかのような雰囲気を醸し出していた。


神殿の入り口では、信徒たちが静かに一列になり、真摯に祈りを捧げている。その光景を見つめながら、エリシアは過去の神託の影響を感じていた。


「ここは光の女神の加護を受けている場所よ。

ここで身分証明と各地に使節団として紹介状を書いて貰うわ。

ここでは冒険者ギルドと提携していてスキルや祝福も授けてくれるわ。」と、エリシアは説明した。


エリシア自身は、この大陸の三女神として、人々の運命に影響を与える存在であるが、その事実をこの地では隠していた。


彼女があえてその名を明かさないのは、自由に行動し、この世界の真実を自分の目で確かめたいからであった。


神として崇められることで行動が制限されるよりも、彼女は旅人としてこの地を歩み、その目でバモスカラ大陸を楽しみたいというのが本音だった。


カレンがそのことを心配して尋ねると、エリシアは穏やかに微笑み、

「私は今はただの旅人よ。光の女神に神託を出してもらいにそれに従うのも、こうして現実を見つめるのも大切なこと。でも、私が本当にすべきことはまだ見えてこないの。だからこそ、もう少しこの地を見て回りたいの」と答えた。


カレンは一瞬困惑しながらも、エリシアの落ち着いた態度に心を和らげた。

彼女が信頼するエリシアの判断に、従うべきだと感じたのだ。


やがて、使節団は神殿を後にし、バモスカラ大陸の南部の更なる奥深くへと進むことになった。


そこから使節団は港から少し離れた市場を散策していた。


市場には色とりどりの新鮮な野菜や果物が所狭しと並べられ、香ばしい匂いが漂う屋台があちらこちらに並んでいる。


市場の賑わいは訪れる人々に活気を与え、エミリアたちもその雰囲気に自然と引き込まれていった。


「ここ、何かとても美味しそうな匂いがします…」セレナがふと立ち止まり、辺りを見渡す。


エミリアもその匂いに気づき、

「確かに。あの屋台からかな?」

と目を輝かせながら、少し先にある屋台を指さした。そこには、炭火で焼かれた何かが美味しそうに焦げ目をつけられ、ジュウジュウと音を立てている。


「ちょっと見に行こうよ。」とエミリアが提案し、一行はその屋台へと向かう。


屋台の前に着くと、店主がにっこりと微笑みながら彼らを迎えた。

「ようこそ!これは私たちの特産品である『グリルドラゴンフルーツ』にチーズを乗せ、ハチミツを垂らして炭火で焼いたものです。甘みと酸味が絶妙にマッチしているんですよ!」


「グリルドラゴンフルーツ?」とエミリアが興味津々に尋ねた。


「はい、南部の特産のドラゴンフルーツを使って作るんです。この果物は温暖な気候でよく育ち、火で炙ると香りが増してさらに美味しくなるんです。それに、上から少しハチミツを垂らして…おっと、説明するよりも食べてみてください!」と店主は笑顔で焼きたての一皿を差し出した。


エミリアアは興味を引かれ、その皿を手に取り、香りを楽しむように一瞬目を閉じた。

「いい香り…」


彼女は一口大に切られたドラゴンフルーツを手に取り、口に運んだ。

炭火で焼かれた果物の外側は少し焦げ目がつき、中はしっとりと柔らかい。


噛むと甘酸っぱい果汁が口の中に広がり、その後にチーズのまろやかな風味とハチミツの優しい甘さが重なる。


「これは…とても美味しいわ!」エミリアアは目を見開いて驚いた表情を浮かべた。


セレナも一口食べて「本当に!果物なのに、こんなにコクがあるなんて。焼くことでこんなに風味が変わるんですね」と感嘆しながら続けて食べ始めた。


エミリアも嬉しそうに頷きながら、「ドラゴンフルーツを焼いて食べるなんて、初めてです。チーズとハチミツがこんなに合うなんて!」と驚きを隠せない様子だった。


市場の賑やかな雰囲気の中、使節団たちはしばらくの間、この南部の特産料理を味わいながら、異国の地での新しい発見を楽しんでいた。


「この国の食べ物は、どこか独特で美味しいね」とエミリアは満足げに言い、「バモスカラ大陸の食文化も、もっと知りたくなったわ」と微笑んだ。


こうして使節団の前には、まだ見ぬ土地と文化が広がっていた。そして、その旅路でエリシアとエミリア、そして使節団の仲間たちは、この大陸に潜む真実と、さらなる試練に向き合うことになるのだった。


バモスカラ大陸での旅は、彼らに新たな出会いと挑戦をもたらすだろう。

光と影、成長と破壊、信仰と現実が交差するこの地で、エリシアとエミリアはそれぞれの役割を果たし、この新たな世界の運命を見つめることになる。彼らの旅は、まだ始まったばかりだった。




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