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救世主物語  作者: アルドア
2章

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第33話 エルダークレスト神聖国編その11

カレンはエミリアのそばにそっと寄り添い、優しい声で話しかけた。「エミリア様、大丈夫ですか?私たちは精一杯のことをしました。どうか、ご自分を責めないでください。」


しかし、エミリアは俯いたまま、小さく首を振った。「今は…ほっといて」と、短く言うと、カレンの言葉を拒絶するようにその場から立ち去った。カレンはエミリアの悲しみと絶望を理解しながらも、何もできない自分の無力さに打ちひしがれ、静かにうなだれた。


数日後、刑の執行日が訪れた。神聖裁判の決定に基づき、セレナは火刑に処されることになった。

広場には多くの人々が集まり、重苦しい雰囲気が漂っていた。

エミリア、カレン、そして使節団のメンバーたちも、その場に立ち、セレナの最期を見届けることにした。


エミリアは、自分の無力さを痛感しながら、悲しみと絶望の中で立ち尽くしていた。セレナの姿が遠く炎に包まれていく中、彼女は何度も何度もその場面を目に焼き付けるように見つめた。


カレンもまた、彼女の傍らでその光景を静かに見守っていた。彼女は拳を握りしめ、自分の力の限界を感じながら、エミリアの痛みを共有していた。エミリアの心に届く言葉が何も見つからないまま、二人はただ静かに、セレナの魂が天に昇っていくのを見つめ続けた。


その日、エミリアは改めて、自分の信念と使命、そして愛する人々を守るために何ができるのかを問い直すこととなった。


その後、預言者カルミーヌも天に召された。


人々は偉大なる指導者を失い悲しんだ。


エミリアと使節団は哀悼の意を表明し、


数日後、エミリアは失意のまま次の国へと旅立つのであった。















*セレナが処刑される前日*



セレナの刑の執行日前、静寂が漂う監獄にエリシアがふらりと現れた。


中には、傷だらけでぼんやりとした表情を浮かべるセレナがいた。


彼女の意識は半ば朦朧としており、拷問の傷が精神と身体を深く蝕んでいるのが明らかだった。


エリシアはその痛々しい姿を見て、顔をしかめながら優しい声をかける。


「あらあらまぁ、なんてひどいこと。こんなに傷ついて…本当に辛かったでしょう?」


セレナはエリシアに目を向け、かすれた声で答える。「大丈夫です。明日には、この身は聖火によって清められ、罪を贖うことができますから…」


エリシアはその答えを聞いて、微笑みながらも首を振った。

「あら、なんて面倒くさいの。今のあなた、完全に正常じゃないわね。」


エリシアは目を細め、謎めいた力、ヴァニティ・テンプテーションを発動させた。

すると、セレナの目に一瞬の光が戻り、拷問で擦り切れる前の状態に彼女の思考が戻っていった。エリシアはその変化を見て満足げにうなずく。


「よし、これであなたの元の状態に戻ったわ。でも、明日の火あぶりの刑は…そうね、ちょっと欺くために私が出るわ。だから心配しなくていいわよ。」エリシアはセレナに優しく囁くと、彼女はそのまま深い眠りに落ちた。


エリシアは彼女の眠った姿を見つめながら、ラシア・イグレシアを呼び出す。「ラシア、彼女を保護してくれるかしら?」


ラシアは現れ、冷静な表情で頷いた。

「すごいな。神威ってやつか、魔法とはまた違うんだな。この子は大丈夫なのか?」


エリシアは迷いながら

「ちょっとした記憶改ざんね。

拷問前後だけ曖昧にしておいたの。

この力は魔法でも神威でもないわ。

秘密の力ってことよ。」

可愛くウィンクをした。


ラシアはあまり興味はなかった。

「それでこの後はどうするんだ?」


エリシアは軽い調子で肩をすくめて答えた。「まぁ、私は適当に聖火であぶられて、皆の目をごまかしておくわ。

ほとぼりが冷めたらエミリアちゃんとセレナちゃんで合流しましょう。エルダークレスト神聖国を出た後でセレナちゃんを連れてきてね。

こっちで預かるわ。」


ラシアは変装もできるのかと心のなかで呟いた。

この女としばらく行動したが常識外ればかりだった。

変装して火あぶりになって煙になっても

また突然、目の前現れてもおかしくない。


エリシアは少し冗談めかして微笑み、

「ふふ、たまには私も役に立ったかしら?」とつぶやいた。




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