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救世主物語  作者: アルドア
2章

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第29話 エルダークレスト神聖国編その7

その神聖騎士は、「鉄血のカレン」の異名を知

る者として、その背筋を凍らせるような過去の記憶がよみがっていた。


五年前、彼はアイオニス共和国に教団支部として駐在していた。


当時、アイオニス共和国は内戦の最中であり、各派閥が国の中枢を狙い、国土は血で染まっていた。

内戦の終わりが見えない中で、

国民は絶望し疲弊しきっており、

政府内では国民総動員の声が上がり始めてい た。


その混乱の最中、セレスティア共和国から派遣されたのが、天理調停者として知られる

カレン・ファースだった。

彼女の到着は、内戦の行方に大きな転機をもたらした。

セレスティア共和国の協力要請もあって、エルダークレスト神聖国はその場の警護にあたり、国民に被害が及ばないよう尽力した。


カレンは国体広場にアイオニス各派閥の司令官や作戦長官、内戦に関与する者たちを一同に集めた。

エルダークレストの神聖騎士たちはその場にいる群衆を取り囲み、どこかで一触即発の事態が 起こるのを警戒していた。


そして、カレンは冷酷かつ効率的な 「解決策」を講じた。彼女は「発狂の魔眼」を使い、

集まった数百人を互いに殺し合わせた。


その能力は、人々を狂気に駆り立て、理性を失わせるものだった。

カレンの狙いは明確だった「もしそんなに戦争がしたいなら、当事者たちだけでやればいい」。

その言葉通り、戦場を望んだ者たちが獣のように戦い始めた。


エルダークレストの神聖騎士は、その凄惨な光景を目撃した。


発狂の魔眼に囚われた者たちは、身体の一部が欠損しようとも、戦うことをやめなかった。

血と肉片が飛び交い、終わりのない狂気の渦が広場全体を包み込んでいた。


彼らは死ぬまで戦い続け、その場には血の海だけが残った。


この出来事は「鉄血の革命」と呼ばれるようになり、カレン・ファースは 「鉄血のカレン」の異名を得た。

その異名が示すのは、彼女の冷酷さ、そしてその圧倒的な暴力によって成し遂げた「解決策」であった。

アイオニス共和国の国民も他国の協力者も、その残虐な光景を目の当たりにし、彼女の名を恐れ敬遠するようになった。


今、その「鉄血のカレン」がエルダークレストの神殿に怒り狂っている。

神聖騎士たちは、その怒りがどれほどの破壊をもたらすかを知っていた。

彼の顔には冷や汗が流れ、手が震えていた。

カレンが持つ「発狂の魔眼」によって、

再びこの地で同じような惨劇が起こるではないかという恐怖が、彼を覆い尽くしていた。


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