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救世主物語  作者: アルドア
2章

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第26話 エルダークレスト神聖国編その5

エミリアの活躍によって、エルダークレストの神殿は今までにないほどの寄付金を集めるようになった。


彼女の癒しの力と権能は、普通のヒーラーでは治せないような邪気のついた呪いさえも治すことができると評判になり、その評判は瞬く間に広がっていった。


これにより、神殿を訪れる巡礼者の数も急増し、寄付の額もますます膨れ上がっていった。



しかし、繁栄と共に悲劇が生まれることもあった。膨大な寄付金の一部が何者かによって着服されていることが判明したのだ。


日々の献身的な働きに対する対価としての寄付金は、神殿の運営や修道女たちの生活を支える重要な資金であった。


その金が不正に使われていることが明らかになり、神殿内に大きな波紋を呼んだ。


保守派のゴーラン・ベルシオの部下である神官が、最近急激に増加した寄付金に目をつけ、魔が差して不正を働いてしまったのだ。


しかし、神聖法の規則は厳しく、特に「他人の物を盗んだ者は火刑に処する」という厳格な刑罰が定められていた。


もしこの件が公になると、改革派がこの事実を利用して保守派を弾圧するのは目に見えている。


事件が明るみに出たことで、その神官は命乞いを始めた。


ゴーランもこのままでは保守派の立場が危うくなると考え、何とかして事態を収拾する必要があると判断する。


そこで、ゴーランはある策を思いつく。


幸運にも、横領を発見した神官はゴーラン派の人間であり、ゴーランに相談していた。


そこでゴーランは、寄付金の横領の罪を他の者に着せる計画を立てた。


ゴーランは部屋に他の者がいないことを確認すると、横領の罪を若い修道女セレナになすりつけることを提案した。


そして共犯者として外部の人間であるエミリアを名指しし、彼女が関与したことで寄付金が外部に流出したというシナリオを作り上げる。


この計画に基づき、ゴーランとその部下は帳簿を書き換え、寄付金の流れをエミリアが受け取った形にした。


これにより、セレナとエミリアが共犯者であるとの偽りの状況証拠が整えられた。


そして、神聖裁判にセレナを出頭させ、この偽りの証拠をもとに審理を進めるつもりだった。


さらに、ゴーランはこの事件を改革派の新たな動きによる陰謀とし、「外部の者であるエミリアが改革派の支援を受け、神聖国に不和をもたらした」という筋書きをでっち上げた。


このようにして、ゴーランは保守派の名誉を守るとともに、改革派に対する圧力をかける策略を練ったのだった。


この計画を実行に移すことで、ゴーランは保守派の地位を守り、同時に改革派を攻撃するための材料を手に入れようとしていた。


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