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神聖帝国
しかし、休息は長くとれなかった。
警報が艦内に響き、平穏な照明が、赤い非常用の電灯に変わった。
「第一次体制発令、くりかえす、第一次体制発令、乗組員はただちに配置につけ、くりかえす──」
またあの存在が出たのだろうか。
リスマはいてもたってもいられず、隣の司令長官室にかけよる。
その部屋はすでに施錠されており、中には誰もいないようだった。
「たしか……艦橋だっけ……」
しかし、朝霧にはどこの方角なのか見当もつかない。
艦内は細い通路の迷路で、とても初めて乗った者が簡単に目的地に到達できるとは思えなかった。
だが、朝霧は──。
艦橋では司令長官の海風とその幕僚、艦長の初霜らがそろい、目の前の大画面を凝視していた。
「言ったとおりだろう。そんな甘いやり方はしない」
「しかしこれは……」
「人類が滅亡すると?
かまわんのだよ、それでも。
それが神聖帝国というものだ。」
「おぞましい……」