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第28話 今夜の宿は······

「おい君! 良くやってくれた! リチウム街を守護する衛兵代表して感謝する」


「おいおい。グールの次はゴブリンにオーク、それにワイバーン二匹とは恐れ入ったぜ」


「おう。役に立てて良かったぜ。ギルマスのおっさん。買い取りできるんか? 結構な数あるぞ。まあ、オークは食いたいが、ゴブリンはなぁ」


 衛兵の兄ちゃんとギルマスは俺の前に進み出て、握手するため手を出してきたから交互に握手しておく。


「役立つどころか俺達は狼系の魔物だけで手いっぱいだったからな。そこにゴブリンもオークもと来ていれば、もっと負傷者も出て、最悪死ぬ者も出ていただろう」


「衛兵長が言う通りだぞ。しかし困ったな、こんなに活躍した者のランクアップができねえとはな」


 ギルマスが俺に近付き耳もとで小さく呟いた。


「······おい、内緒だが、まずは護衛依頼を請けろ。そうすればランクアップに近付く。誰にも言うなよ」


「なっ! 分かった、内緒だな」


 俺から離れながら小さく頷き、この後の事を話し出した。


 ゴブリンはすぐにでも買い取りは可能だが、オークは小出しにしてほしいそうだ。まあ、グールや魔狼なんかもいっぱいあるしな。あれを解体するだけでも······?


『私が収納すればすぐにでもできますが、解体までできると知られない方が良いでしょうね。普通の収納持ちにはできませんから。なのでオークも食べるだろうと思った物以外はそのまま残してあります』


(そだね~。あれだけいたんだもん、リーダー数匹と普通の数匹あれば良いんじゃない。後は村へのお土産にすれば喜ぶと思うな)


 うん、そりゃ良い考えだ。でもよ、アシアとエリスにはなんか買っとくよ。


「ところでお前が倒した物は全部収納しちまったのか? デカい容量なんだな、大商会に就職すりゃいくらでも稼げそうだぞ」


「うむ。私もそう思うが、商会でも国軍に志願しても良いかもな。可能性だが叙爵され、補給部隊を任されてもおかしくない」


「んなもんになりたかねえな。俺は冒険者として強くなりてえからよ、男はやっぱり強くねえと格好悪いだろ? 昔っからそう考えて修行してきたからな」


 そんな話をしながら魔狼なんかも収納してくれって話になってクロセルがサクサク収納して街に戻ることに。


 冒険者ギルドの冒険者達は一緒に戻るが衛兵達は血の匂いを消すため草原に火を放ち、燃やしてしまうそうだ。


 そのままでも良いらしいが、無茶苦茶臭くなって、ゴブリンなんかはよってくるし、スライムもソラーレを見付けた所みたいに大発生するらしい。


「よし、ケントは冒険者ギルドに魔物をまずは持っていってもらった後、今回の緊急依頼の報酬を出そう。オークなんかの査定は数が数だ、結果は明日の夕方になるだろうな、何か予定でもあるか?」


「げっ、明日の朝から村に帰ろうと思ってたんだがよー、しゃーねぇか。ギルマスのおっさん、じゃあ明日の夕方で良いぞ、ちと買いたい物があるからよ。ってか今日泊まるとこあるか?」


 ギルドに今回のスタンピードで収納した魔物を出した後、腹に穴の空いたワイバーンと鼻先と頭にしか傷がないワイバーンを出して、ギルマスのおっさんに教えてもらった宿屋に向かう。


「ワイバーン凄かったです! ケントさんあんなのやっつけたんですね! 片方は穴がぽっかりでしたよ!」


 ワイバーンを見てから興奮気味のプリムの手を引き、夕方でスタンピードがあったにもかかわらず賑わっている大通りから路地に入り、抜けた先にある宿に到着した。


「いらっしゃいませ······お客様、こちらの宿は一泊大銀貨五枚からですがお持ちでしょうか?」


「高いな! あのやろうここなら空いてるって言いやがるから来たのに! すまねえ持ってはいるが高すぎだぜ」


「はわわわ! それだけあれば美味しいものが沢山食べれますよ! ギルマスさんに意地悪されたのかな?」


「え? ギルマスとは冒険者ギルドのギルドマスター様の事でしょうか?」


 なぜか宿の受け付けにいた姉ちゃんは、『はっ』とした顔でそんな事を聞いてくる。


「そうだぞ。ったくよ、プリム、しかたねえから別の宿を探――」


 横のプリムに別の宿を探そうと言ってる途中で姉ちゃんが言葉を被せてきた。


「ようこそおいで下さいました。お二人様と猫様と従魔様ですね。では最上階にある最高の部屋を準備させていただきます」


「え? 違う宿に行くから構わねえぞ、んな高そうな部屋には泊まれねえし……よ?」


 断わってから姉ちゃんを見ると、ニコニコ顔で俺達を見ていた。


「いえいえ。閣下の招待客を帰してしまっては私がお叱りを受けてしまいます。お泊まりの間、何不自由なく過ごせるよう尽力いたします」


「かっか? ギルマスさんはカッカさんと言うのですね」


「カッカか、変わった名前だな。じゃなくてよ、流石に泊まれねえって。ギルマスのおっさんにはキツく言っとくからよ、奴が苛めてきたなら俺が怒ってやっから気にすんな」


 それを聞いて笑顔になってる受け付けの姉ちゃんがカウンターの奥から出てこっちに回り込んで来た。


「閣下の招待客様からはお代はいただけません。閣下から何かお預かりしていませんか?」


「そういや、なんか書いた紙をもらったな。んと······おっ、これだ」


 姉ちゃんにギルマスのおっさんがくれた紙を差し出すと、四つに折られた紙切れを丁寧に受け取り開いて目を通してる。


「なんと! 英雄様でしたか!」


 早く宿を探さねえといけねえのに、なんだか良く分からん事になってきたな······。

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