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第141話 フルフルとの別れ

 ダンジョン街を出て、村、街を巡り、後少しで俺が配る手紙も無くなるって時、フルフルが巣に帰ることになった。


 ドリアードがフルフルの巣にしてる世界樹にそろそろ到着するそうだ。


 一度は俺も見てみたいと思ったが、クロセルの言う事には、世界樹に許されたものしか近付く事も見る事もできないそうだから、ちと残念に思う。


「じゃあなフルフル。暇になったらまた遊びに来てやってくれ、ソラーレがなんか寂しそうだし、俺もまた会いたいからよ」


「またね~、フルフル元気でいってらっしゃい、すぐ会いに来るんだからね」


 まだ誰もいない夜営地で、一旦のお別れとなる。


 だがアンラの『いってらっしゃい』を聞き、それだなと。


「フルフル、じゃあなって別れの言葉は無しだ。いってらっしゃい。早く帰ってこいよ」


 普通なら、ドリアードと別れた時に帰る予定だったが、なんでかソラーレの上が気に入ってついてきてくれたが、戻るってんなら仕方がねえよな。


 小さいままで、パタパタと俺達の頭の上を一周回った。

 そして少しずつ高く飛び上がり、ある程度の高さまで行くと、元の大きさに戻り『ピーピッ!』と鳴いた後、夕日に向かってあっという間に飛び去り見えなくなった。


「行っちまったな……ちと寂しいがよ、そのうち会えんだろ。よし、夜営の準備しちまうか」


 前にここで夜営しいた跡を使わせてもらう。

 石で囲われ、消し炭が残る場所に薪を積み重ね、火をつけ鍋で湯を沸かしていく。


「ん、夜営の仲間が来たようだな、ってか貴族か?」


「それっぽいね~、家紋のついた馬車だし護衛の装備もお揃いだしって、ケント、野菜とお肉ちょうだい、今夜はシチューにするから楽しみにしててね」


「おう。この前買った料理のレシピ本のヤツだな、アンラが料理上手くて助かるぜ、嫁に欲しいくらいだぞ」


 ん? 入ってきた馬車から離れ、馬に乗った奴が近付いてくるな、挨拶にでも来たんか?


「ひにゃ! しょっ、しょう? ま、まあ、ケントがどうしてもって言うならなってあげても良いわよ――」


「そこの冒険者よ、この夜営地はブロンズ男爵様がお使いになる。早々に荷物をまとめ場所を開けるのだ」


 アンラが喋ってっ時に、俺と馬との間が一メートルしかないほど近くまで来た護衛は、馬から降りることもなく、俺達を見下ろしそんなことを言ってきやがった。


「は? バカじゃねえのか? こんだけ広いんだ、十分俺達がいても夜営できっだろ、あんたらも早く準備しねえと暗くなるぞ」


「ねえ、馬鹿じゃないの? こんなに人の近くまで馬でよってくるなんて……もしかして、ケントも言うようにホントに馬鹿なのおじさん? とりあえずこっちは夕ごはん作るのに忙しいんだから邪魔しないでよねっ!」


 俺と、ちと怒り加減のアンラはしゃがんだまま、護衛のおっさんを見上げるようにして、ちと煽ってやった。


 みるみる顔を赤くして、眉間のシワも深くなり、ギリギリと歯を食い縛ってるようだ。


「ほら、お仲間も向こうで準備始めたし、早く向こう行ってよね。あっ、ケント、こないだの村でもらったミルク残ってる?」


「ミルクか、クロセル、残ってっか?」


『残っていますが……あなた達は本当に』


『クロセル様、ダンジョン街を出てからここまで何事もなく来ましたので、少し羽目をはずしても良いかと。相手は常識の無いやからのようですから』


 クロセルに出してもらったミルク入りの瓶をアンラに渡し、相手ので方を見る。


 真っ赤な顔でプルプル震えながら睨んでくるが、まさか言い返さないとか思ってたのか?


 ついには腰の剣に手を掛けやがった……が、おっさんの向こう側に見えたんだけどよ、仲間が二人、これも馬に乗ったまま近付いてきやがる。


「面倒くさいわね……」


『ん~、でも馬がいるから驚かすのも可哀想だし、眠り(ヒュプノス)は耐性の魔道具もってそうだし、ねえケント、あのナイフ見せれば?』


 あのナイフと言われ、クソ爺に渡された解体用のナイフは見せても仕方ねえし……あっ、あれか。


 横に置いてあったリュックを開けると、クローセが寝てた……。


 すまねえが、なるべくそっとクローセを起こさねえように手を突っ込み、一番奥まで手を入れ、手探りでナイフを探す。


 服の着替えじゃない固い物が指先に当たり、握るとナイフだとすぐに分かった。


 そっとリュックから抜き出した所に追加の二人がやってきた。


 そしてそのうちの一人が、最初の一人に話しかける。


「何をしている! さっさと場所を開けさせるんだ!」


「はっ! お前達、ぐずぐずせずにさっさと場所を明け渡せ!」


 剣を抜き、俺の眼前に切っ先を突き付けてきたおっさん。

 気にせずリュックから出した叙爵でもらったナイフを見せる。


「ん~、ブロンズ()()だったか、確か男爵より子爵の方が身分は上だよな? ほれ、俺はこういう者だが」


「ちゃんと名乗らないと分からないわよ~。ねえねえあんたらさぁ~、ケントはね~、ケント・フェンサー()()よ、それでも場所を開けなきゃ駄目?」


 俺もだが、ニヤニヤ笑って自分も解体用のナイフを見せるアンラ。

 それはもうイタズラが楽しくて仕方がないって顔だ。


 三人の男達は、何を見せられているのか分かっていない様子だったが、数秒後に気がついたおっさんは、スーッと剣を引く。

 そのまま俺達の目の前から馬を数メートル後ろに下がり、剣を素早く収めると同時に馬から飛び降り、その場で跪いた。


「フェンサー子爵様とは気付きもせず、先程までの無礼、まことに申し訳ありませんでした!」


「「ご無礼いたしました!(ご無礼いたしました!)」」


 おお、上手くいったようだ。

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