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第136話 お宝の山分け

「じゃあ俺達はそのレイスってのに取り憑かれていたからあの力が出せて、その……女にモテてたってことか?」


「そだよ~、魅了は無くなっちゃったけど、まあ十年も頑張れば取り憑かれてた時に近い力は出せるんじゃない?」


『死に物狂いで頑張ればだけどね~』


 高い塀で囲われた角の小屋で俺達は話をしてるんだが、アンラ、その最後のもちゃんと言ってやらなきゃ伝わんねえぞ。


 暁の狼リーダーはあの後うなだれたまま、謝ってきたからロープをほどき、指の関節は入れ直してやった。


 折れてなかった事に驚いていたが、まあ、痛くして外したからな。折れてると思っても仕方ないがな。


「そうか、じゃあ今は低階層からやり直しってことだな」


「だがよ、三十四階層まで行った経験はあるんだ、それは強みだぜ」


「よし、モリブデン伯爵様に報告せねばな。お前達の無実を報告して、衛兵にも連絡だな」


 それは本当に頼むぞ。

 そうでないと、捕まっちまうからな。


 話は終り、みんなでまた牢屋を通り受け付けに戻ったんだが、ついでにダンジョンの報告もしておこうとギルドマスターに軽い気持ちで報告したんだが……。


「よ、よ、よ、四十一階層だと!」


 ギルドマスターのデカい声が、冒険者ギルドにいた全員に届いただろう。


「おいおいおいおい! 祭りにいたってことは、あの後第一ダンジョンにもぐり、半月で四十一階層まで攻略して帰ってきたってことかよ!」


 今度は暁の狼リーダーが叫ぶ。


 叫んだ後、ギルド内はシーンとなり、俺達の事に視線が集まった。


 しかたねえから十階層から二十階層三十階層で出た宝箱を出して、最後に四十階層の宝箱を出してやった。


 もちろん中身は抜いてある。


 そして最後に四十一階層で倒したオーガの上位種を出してやる。


「ま、まさか、確かにこれは十階層ごとに出る宝箱だ。それに第一ダンジョンでは見たこともないオーガの上位種……そ、そうだ、三十階層の物は、どうなんだ」


「間違いない。俺達もオーガの上位種は見たことがないからな。俺達は中身だけを持って帰ってきて、宝箱は持って帰ってこれなかったが確かに宝箱はこれだ。おい、中身は!」


 ギルドマスターはやはり二十階層までのは分かっていたようだな。

 それと暁の狼は見たことあるはずの宝箱を見て、アッサリと認めてくれた。


 そして中身なんだが、ユウ姉ちゃん達はニヤリと笑い、ハルバードを取り出した。


 五人が五人とも収納から出し、石突きをギルドの床にドンと下ろし、決まったと思ったのか、ふふんと鼻で笑いやがった。


「そ、それだ。俺達は使う者がいなかったから、高く売るためオークションに出す予定のハルバードと同じ物だ……は、ははは……半月で記録更新かよ」


 暁の狼リーダーが俺の出したオーガを見たことがないと認めたことで、最高到達記録が更新されたという事がギルド内に広まる。

 そして、コトンと食事処で酒を飲んでたおっさんが落としたカップの音を合図に――。


 おぉぉぉぉぉー! と歓声がまき起こった。


 ビリビリと体に響いて来るほどの大音量だ。

 肩の上でソラーレと、背中のリュックの中でクローセがビクッとしたほどだ。


 フルフルはソラーレの上で頭に羽を被せて防御しているしな。


『むー、やかましいし、もう出ようよケント。ほらほらダンジョン記録更新しても報酬はすぐにもらえないんだしさ』


 それもそうだと思い、出した宝箱とオーガをクロセルに頼み、ユウ姉ちゃん達を誘ってギルドの出入口に進んで外に出て、すぐ近くの宿に買い物も忘れて戻った。


 ◇ ◇ ◇ ◇ ◇ ◇


「ったく、どんだけあんだよ、これで最後だっと」


 夕ごはんも、下の食堂でとる気にもなれず。


 ってか、あの時ギルドにいた冒険者がいて騒がれそうだったから部屋に持ってきてもらい、食べた後はユウ姉ちゃん達を呼んで四十階層のお宝の山分けをすることになった。


 金貨はクロセルが人数で分けて出してくれたが宝石だけでも相当な数があり、一応種類別に分けてはくれてあったからマシだが、ひとかかえほどある皮袋に今出したので十五袋目だ。


「宝石も良いけどさ~、これだけあると飽きてくるよね~みんなもそう思うでしょ?」


「え? 綺麗なものは見てるだけでも飽きることはありませんよ! ほらほらこれなんてアンラちゃんの目と同じで綺麗な赤だし♪」


「お、そういやそうだな。いや、アンラの目の方が綺麗だと思うんだがよ。おっし、宝石要らねえし俺の分はアンラにやるよ、こんだけあれば本も酒もいっぱい買えんだろ?」


 高価なんだとは思うんだが、どれくらいの価値があんのか分かんねえからな。


 手のひらに乗ってる中の一粒を摘み上げ、壁に取り付けられてる光の魔道具のところへ移動して、赤い宝石を光に透かして見るが……。


 やっぱりな、アンラの方がもっとキラキラしてんもんな。


 ……ん? 返事がねえぞ。


 シーンとしてだれも返事をしねえからおかしいと思い、振り返ってみると、真っ赤な顔をして、ポカンと口を開けてるアンラと、ニヤニヤした顔で、俺とアンラのことを交互に見てるユウ姉ちゃん達がいた。


「この赤い宝石はアンラちゃんが持ってるのがいいかもね~、みんなそう思うでしょ?」


 ユウ姉ちゃんがそう言うと、せっかく出して分け始めてあったのを皮袋に戻し、アンラの前にズズズっと押し出したと思ったら『さー私達は部屋に戻りましょう』と言って俺達の部屋を出ていった。

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