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空の座礁  作者: Riddle
第五章~空の座礁
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第50話〜役割からの解放

 虚空による空間移動によって、僕達の眼前に巨大な太陽が出現した。うねる紅炎(プロミネンス)を避けながら、突入方法を模索すると、背後の時希が「このまま突っ切りましょう!」と大胆な案を出してきた。


 しかし紅炎が道服をかすめると接触部分が分解したため、二人は再度沈まぬ太陽から距離を置いた。


「馬鹿な……私はいつも生身でこの炎を通過していたッ! 何が違うというのだッ!?」


 記憶の時間遡行で確かに時希は魂のまま沈まぬ太陽の内部へ侵入していた。だが決定的な違いがあることに彼は気が付く。侵入と表現したが、あれは時間遡行中の出来事。本来は中から外へ飛び出しているのである。


「外から中は駄目……」


「近づくだけでも分解される環境を無効化しても表面の分解能力は消えていない」


 ────というよりも、暦はこの力の余波を封じたに過ぎないんだ。ここから先は黄泉とは異なる世界。虚無も時間停止の世界も、黄泉だけを支配している。だから表面の力は消えずに存在し続けている。


「虚空で内部に飛べませんか?」


「いや、沈まぬ太陽の内部の座標計算が出来ない……僕は特異点の情報を持っていない」


 ここまで来て、打つ手が思いつかない。炎表面を虚無で削り取る策も考えたが、特異点に全能術は効かない。


 ────いや、一つある!


 僕は沈まぬ太陽の真上に空間移動した。そのまま、和睦を鞘に納める。僕の姿が少年の姿に戻されたため時希が「えっ!?」と声を上げた。


「和睦には特異点と同じ絶対不可侵の力がある! この状態ならば、あの炎を突破して内部に辿り着けるはずです!」


 僕達は自由落下を始めた。どんどん炎が近づいてくる。炎に恐怖した時希は無意識に文字盤を出現させようとした。しかし和睦の力によって術の発動自体が無効化される。


 二人の影が、沈まぬ太陽に接触し、黄泉から姿を消した。


 ☆☆☆


 炎の中で絶対不可侵の力が可視化される。和睦を持つ薙と彼に触れている時希の表層を覆うようにしてバリアが展開され周囲の炎と接触しないよう彼らを守っていた。


 視界に映る全てが夕焼け色の炎。景色が変わらないせいで上下左右前後が分からなくなる。まるで大穴の中の灰色の世界のようだと思いながら、重力に導かれ落下し続けた。


「閻魔暦の場所は分かるんですか!?」


「あぁ! 僕の手を見てくれ! この糸が繋がる先に、彼女はいるッ!!!」


 視界が晴れた。真っ白な空間で無数の文字の紐がうごめいている。これらの全てが何かしらの法則なのだろう。時希は記憶の中で文字の紐に触れて知識を得ていたのだから間違いない。


 文字の紐も絶対不可侵の力によって触れる事は無い。一体、どこまで下ればいいのか。そう思った矢先、一際開けた空間に出た。景色が真っ白なのは変わらない。しかし、明らかに文字の紐の量が減っている。さらに先に、はっきりと見える黒い点があった。全体が白いので分かりやすいのだが、それが何かまだここからでは見えない。


「なんだアレは?」


「分かりません……私もここまで深部に侵入したことは一度もありません」


 次第にハッキリと視界に映る黒い物体は、大きな球体の一部が半分に割れ、変形した容器のようなものだった。それを理解すると共に、黒球の前に立つ彼女を発見した。


 彼女が立つ位置には着地できる足場があるようには見えなかった。暦は背中に幾何学模様の羽根を展開し続けている。あれは立っているのか、それとも浮いているのか……


「絶対不可侵の力を解きますッ! 時希、僕を抱えて飛べますか?」


「飛べませんが、落下速度を操作します!」


 和睦を抜き、閻魔の姿になると僕の肩から時希は手を放した。文字盤を出現させた彼は落下速度の減速にかかる。目的地に近づく毎に落下速度が減速していく。そうして彼女の目の前に我々は降り立った。


 だが、その瞬間に、僕と時希の全身を電流が駆け抜けた。この感覚は僕が何度も経験した感覚。魂が世界に拒絶され、分解され始めている感覚。時希は突然の出来事に姿勢を維持できず再び僕の肩を強く掴んだ。


「ここまで来るのは分かっていたわ。でも、もう遅い。私の目的は完遂した」


 そう言って彼女は砕かれた硝子玉を見せた。その破片の中ではプラズマがうごめいているが、どれも破断面から外へ溢れ霧散していた。


 暦の目がカッと開き、彼女から想像もできない高笑いを始めた。その姿に僕は痛みを忘れるほどに恐怖した。これが彼女の本心なのかと思うとゾッとして仕方がなかった。


「もう破壊したッ! この世界に輪廻転生なんて概念は、存在しないッ!」


 高笑いが続く。彼女が笑う度に全身の電流が強まっていく。


「役割は消失し、もうすぐ閻魔も、神も、形を維持できなくなるッ!!!」


 時希の術が解除された。もう彼も限界だった。幸いにもここには足場があった。時希は足場に倒れ嗚咽を漏らす。


「私は満足よ、目標を達成したのだから! この感覚は普通の閻魔や神には味わえないでしょうね……目標とは、与えられた役割を捨ててでも達成するものですもの……中立性という役割に縛られた閻魔たちじゃあ目標を持つことは出来ない」


 和睦を足場に突き刺して杖にしないと立っていられない。


 ”危険。生命力が低下しています。魂を保護してください”


 ”繰り返します。非常に危険な状態です。魂を保護してください。”


 僕と時希の鬼籍が警告文を表示し始めた。


 ────和睦を鞘に戻せば……いや、そうすれば僕達に攻撃手段がなくなる。絶対不可侵は僕達の力にすら作用する。その間に、閻魔界や神の国の皆が消滅してしまう。これは衣を着ても防げない。閻魔という種族に生まれた以上、避けることの出来ない事象。この世界の理。今のうちに何かしないと駄目なんだ。


 何かが聞こえた気がした。その声は次第に大きくはっきりと僕の頭に直接響いた。


 現世で毎日聴いていた声だ。森之宮神社の境内で、彼女の声を聴かなかった日は無い。僕の友人の声が────燐瞳の声が糸を掴めと言っている。


 右手の小指から伸びる細い糸。暦は既にこちらへの興味を失って背を向けて高笑いを続けている。


 燐瞳の声は地獄に垂れた蜘蛛の糸だ。僕はその糸を掴む。意識が急激に糸に引き寄せられた。


 深く、深く、闇の中へ意識が落ちる。


 まるで、閻魔界から現世へ座礁した時のような、歪な空間に身を引き延ばされるような、不思議な感覚を味わいながら、僕は瞳を閉じた。


 ☆☆☆


 ────気が付くと、僕の目の前に燐瞳が映る。ここは絹峰村……マガツヒノカミを封じた場所だ。目の前には燐瞳の他にアメリア、蓮華、シヅキ、そして弓栄春人が見える。そして全員が地面に倒れ苦しんでいる。


「燐瞳ッ!!!」


「薙君ッ!!!」


 互いに名を呼び合って確認し合う。間違いない。彼女達は本物だ。嫌な予感の通り、全員が集合意識に接続され、暦の熱力学を肩代わりした影響が出ている。


「薙君……」


「閻魔薙ッ!!! 僕の声が聞こえるか!?」


 春人が地面を這って燐瞳に合流した。僕は何度も頷き返事をする。


「いいかッ!? お互い時間がないッ! 今から作戦を伝える!!!」


 春人の苦痛が糸を介して流れ込んでくる。暦の無茶な術の発動に対するツケが生命力の減少という形で彼らに重く圧し掛かっているのを感覚として共有、理解する。


 春人は僕の手にある和睦を指差した。


「まず、和睦を継承してくれ! そうすれば、僕の言霊の力が君に継承される!!!」


「薙君、私からもお願い……私はもう大丈夫だから……だから!!!」


 燐瞳の目に涙が見えた。薙に燐瞳の感情が流れ込んでくる。友人を救いたい。友人の力になりたい。彼女は強く僕を想っている。燐瞳の心に、今まで見えなかった意思の支柱が見える! 


「僕達は集合意識の入口にいる! 最も意識に影響を与える場所だ! だから、これから僕達全員でプログラムを組む!」


「プログラム?」


「集合意識が世界記憶に影響を与えるのは君達の存在が裏付けているッ! ここからが大事だ! 君は集合意識に記された僕達のプログラムに言霊でアクセスし、コードを実行するんだッ! 言霊ならそれが出来るッ!?」


「何のプログラムを書き込むつもりですか!?」


 僕の問いに答えようと口を開いた春人が強く咳き込んだ。口を拭い、再度こちらに顔を向ける。


「君を襲う新たな黄泉の理の感覚を、僕たち全員が共有している……だから、君たち黄泉の住人を役割から解放させる……世界に独立させるんだ!!!」


 それは、まさしく災厄の神が現世で実行しようとしていたコード。


「駄目だ!? そんな事をすれば、マガツヒノカミの革命が達成され、神も閻魔も人間を滅ぼしにかかるぞ!?」


 このままでは最終戦争が起こってしまう。これじゃあ一体何のために戦っていたのか分からない。


「輪廻転生が破壊されたんだろッ!? もう四の五の言っていられる状況じゃねぇのは、お前も分かりきっているだろッ!!!」


 蓮華が声を荒げた。でも諦めたくなかった。全員を救える方法は無いのか? 言霊が因縁果に干渉する力なら、何かあるんじゃないのか?


「閻魔さん、俺達はアンタを救いたい……救いたいんだよッ!!!」


「アメリアさん……僕だって、皆に生きていてもらいたい────!?」


────まてよ、暦の目的は、空の座礁の回避……輪廻転生の機構の破壊……


────輪廻転生の機構を再構築すれば彼女は再度破壊しにかかるだろう


────だがもし、破壊したままだったとしたら? 彼女は僕達を滅ぼす理由がなくなる


────輪廻転生を再生せず、災厄の神の革命を回避する方法は、存在する


「……気が付いたみたいね」


 苦悶の表情を浮かべたシヅキの顔を見た時、僕の心に鋭いナイフが突き刺さった。同じく燐瞳も心を引き裂く痛みを感じていた。その状況でも、彼女は……彼女の意思は揺らぐことなく立ち続けている。


「そこまで……僕のことを……」


 もう燐瞳は声を出せない。出してしまえば抑えつけている感情が溢れ出てしまいそうなんだ。自分の本心よりも僕を優先している。


「頼む……もう僕達も限界だッ! 森之宮さんも! 桜も! 宍道さんも! 君が縁を結んだ全員が同じ気持ちだッ!!!」


「────────────!!!!!」


 覚悟を決めた。二つに一つだ。僕は……僕は……!!!!!


「和睦を継承するッ!!!!!」


 チリンッと金剛鈴が鳴り響いた。その音に共鳴するように和睦の鈴も音を響かせる。


 僕の衣は和睦から発せられる力に焼き切られ、和睦に封じられていた力が全て解放され、完全な閻魔としてこの場に再誕した。和睦自身も打刀の形状から、元あった宝珠で飾られた美しい両刃の短剣へと変貌を遂げる。


 剣から僕の魂へ書き込まれる先代継承者の情報────言霊


 因縁果に干渉する力が、僕の能力として顕現する。


 ☆☆☆


 変化は現実にも訪れた。僕の意識が再び沈まぬ太陽の内部へ移動した時、手に持っていた和睦は短剣へと変貌を遂げ、元々僕が使用していた道具が全て戻っていた。


「ん? 和睦が……元に戻った?」


 振り向いた暦が怪訝な表情を浮かべる。


「集合意識へアクセス……コードを確認……言語変換の後、実行プロセスに移行する」


 僕の行動に、先ほどまでの勝ち誇った高笑いを止め、彼女は臨戦態勢をとった。


「まさか和睦の継承権? 輪廻転生を再構築するつもり? させないわよッ! 私がこの場にいる限り……いいえ、和睦の使者が誕生し続ける限り、再構築は起こさせないッ!!!!! これが今の、世界記憶の意思なのだからッ!!!!!」


「────コード実行ッ!!!!!」


 言霊の発動と共に、暦の背後にあった黒球表面に緑色の文字が一瞬で記述された。その瞬間、僕達を襲う電流が止まった。世界は、我々を独立した生命体と認めた。


「集合意識へアクセス……プログラミング開始……」


 すぐさま次のコードの書き込みを指示する。映像は見えないが、彼らの声だけは僕に届き続けている。


「なッ────!? 自ら役割からの解放を!?」


 迫る暦の倶利伽羅を僕の倶利伽羅で受け止めて弾き返す。脳内に春人の準備完了の声が届いた。


「────コード実行ッ!!!!!」


 再び黒球表面に緑色の文字が一瞬で記述されると、今度は暦に変化が訪れた。彼女は動けないのだ。世界は、閻魔暦の自由を許さない。僕は彼女を滅却しない。自らの過ちを自覚させる。


 そのために────


「閻魔暦……これより最後の裁判を始める」


 閻魔としての、最後の職務を全うする。


 ☆☆☆


 その頃、閻魔界の地下では電流が消えたことに全員が喚起していた。


 閻魔界では、唯一黄泉の理の影響を受けない人間の魂達が、必死に彼らを運び入れ、看病していたのである。人間を導いたのは、鵺と霧華の二人だった。


 黄泉の理から解放された彼らは全てが元通りになったと思い込んでいた。


 それは閻魔王も、五芒星も同じだった。


 ただ一人、災厄の神────マガツヒノカミを除いて。


「やった……よくやった閻魔薙ッ! やはりお前は、俺の一番の理解者だったッ!!!!!」


 彼だけが、神と閻魔が与えられた役割から解放され、独立した生命体だと世界に受け入れられた事実に気が付いていた。


 赤黒い液体の姿へ変化すると、周囲の閻魔達の静止も聞かずに地上を目指し地獄を這いあがっていく。


「喜べ、故郷の同士達よ! 今こそ革命軍を結成し、保守派の老人共に証明する時! 最終戦争の始まりだ!!! 七大天使のラッパの音は、すぐそこまで来ているぞ!!!!!」


 神の国へ向けて彼は飛んでいく。


 ☆☆☆


「裁判って……分かっているの!? 私の十全たる時空の法則パーフェクト・クロニクルが解除されれば、貴方と時希は単なる情報(コード)に還元されるのよ!?」


 明らかに暦は焦っていた。それは、言っている事が本当だからだろう。彼女の術が解除され法則が元に戻れば僕達は沈まぬ太陽の外部へ出た瞬間に自他境界を破壊されてしまう。


 そしてそれは、暦にも平等に訪れる現象。だからこそ彼女は焦っている。


「集合意識へ接続! 言霊による言語変か────!?」


「コード実行ッ!!!!!」


 彼女は僕同様に世界記憶に集合意識経由で接続を試みた。しかしそれよりも先に僕が任意コードを実行する。暦は集合意識から弾き出された。


「集合意識は僕が引き継ぐ」


「冗談じゃない……冗談じゃないッ!!!!! 空の座礁が迫っているのよ!? この世界は緩やかに死に向かっているのよ!? 貴方はそれで良いと思っているの!? 魂は、ここに還らなければならないッ!!! それこそが……それこそが生命体に与えられた役割なのよ!?」


 自殺が最上級の罪とされていたのは、自らの役割を放棄しているからだと続ける。目標を持たない現世の生命体は生きる事こそが役割を果たす事と同義なのだ。


 世界に生を受けた以上、寿命までに多くを学び、多くを経験し、知識として魂に蓄積させ、世界記憶に還元する。その工程こそが生命体に与えられた役割なのである。


「暦、君の思想には一考の余地がある……でもその前に、悔い改めろ」


 僕は短剣と化した和睦を取り出すと彼女目掛けて投擲する。まるで燐瞳の投げる御札のように突き進む短剣が暦の腹部を貫いた。


「清め、祓う────全ての罪を吐き出し、罪と向き合うんだッ! コヨミッ!!!!!」


 和睦は薙の望んだ罪を分離する力が作動し暦の両手から虚無と絶対零度が分離し周囲に霧散した。それだけではない。ハクの糸の力、死神の持つ拘束術の全てを吐き出し、彼女を誕生当時の状態まで巻き戻す。


 ガクンッと項垂れた暦はそのまま足場へとうつ伏せに倒れ、活動を停止した。


「弓栄春人! 特異点の座標を送る! プログラミングだ!」


 和睦を拾い上げると春人の合図と共に僕はコードを実行した。それは、この場にいる時希と暦の両名を、特異点から閻魔界の座標へ移動させるコードだった。暦の術が解除された事で、世界は虚無と時間停止の世界から元あった状態に戻りつつある。


「あとは、最後のコードを実行すれば、全てが終わる」


 脳内に燐瞳の声が届いた。


 ────今までありがとう、薙君……貴方のお陰で、私は前を向けた


 燐瞳と初めて出会った時を思い出す。僕を深夜徘徊する中学生と間違えて話しかけてきたんだっけ。


 瞳を閉じて燐瞳に向き合う。彼女の姿が不鮮明になりつつある。暦が集合意識から弾き出された事で現世のおしらさまの制御を失ったからだ。


 おしらさまは絹峰村の妖怪だ。彼女自身、暦を失った事で自我を取り戻しつつあるのだろう。


 ────時間だ、燐瞳……閻魔薙、頼んだ


 弓栄春人が現れる。相当脳を酷使したのか、彼の袖は赤く染まっていた。おそらく鼻血を拭ったのだろう。その顔は憔悴しきっている。


「感謝するのは、僕の方だよ」


 そう言って瞳を開いた。黒球は完全な球体に戻っている。その前まで歩みを進めると、そっと表面に触れた。ひんやりとした感触が伝わってくる。


「────現世と黄泉を……断絶するッ!」


 コードを実行した僕を認めるように和睦は鈴の音を響かせた。黒球の表面に緑色の文字が記述され、現世と黄泉を繋ぐ特異点は抹消された。


 プツンと糸が切れた。先ほどまで接続されていた集合意識が世界から遮断され、もう彼らの声も聞こえない。


 ”中立性という役割に縛られた閻魔たちじゃあ目標を持つことは出来ない”


 暦の言っていた事は事実だ。それでも、僕達は与えられた役割から解放された。自由の身になった。それに僕だって元々は中立性を持つ閻魔の一人に過ぎなかった。そんな僕でも自我を持てたんだ。


「だから自我を持てるさ……いや、きっと持たせてみせる」


 自他境界が崩壊しかける沈まぬ太陽の内部で、一人の閻魔がその勤めを全うした。


 彼の名は閻魔薙。閻魔王を支える五芒星の一人である。

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