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ステータス5:例外

 梢子先輩はスクールアノマリーについて熱く語ってくれたが、俺には先輩が何を言っているのか全然理解できなかった。いや、さっきの説明で理解できる人間がいるなら教えて欲しいくらいだ。


「えっと……全然分からなかったけど、もういいです。というか、俺が何かを聞きたいんじゃなくて、俺の話を聞きたいって言ってオカルトけんきゅ―――」

「スクールアノマリー」

「……スクールアノマリーが俺をここに呼び出したんですよね?」

「そうだったね。(まじな)いも終わったことだし、ひとまず他のメンバーにも出てきてもらおうか。ボーロ、イデア、もう出てきていいぞ」


 梢子先輩の呼び掛けに応えて、部屋の奥にあった衝立の裏から二人の人物が現れた。一人は辛坊君。そして、もう一人は……。


「明梨!」

「この二人がスクールアノマリーのメンバー、ボーロこと辛坊郎樹とイデアこと高井戸明梨君だ。彼らからの自己紹介は必要ないね?」

「ええ、もちろん。ただ、そのボーロとイデアって言うのは……?」

「コードネームだよ。苗字と名前の間を取って、ちょっと捻りを加えたんだ。なかなかイカすだろう? ちなみに私のコードネームは別の法則性でナーダになっている。気に入っているんだが、誰もそう呼んでくれないのが残念なんだ。灘と呼ばれるのは好きじゃないが、ナーダなら大歓迎だぞ」


 ……やっぱり、なんかヤバい人だ。早いところ話を済ませて、この場からお暇した方が良いかもしれない。


「それで先輩、ステータスオープンの件で俺に話を聞きたいんでしたよね?」

「まあそう焦りなさんな。まずは席に座ろうじゃないか」


 梢子先輩がそう言うと、3人は部屋の中央に置いてあったテーブルの右側の椅子に座った。奥から梢子先輩、明梨、辛坊君の順に3人が横一列に座っていて、向かい側には1つだけ、まだ誰も座っていない椅子が置いてあった。


 ここに座れってことか? まるで尋問でも受けるみたいだな。


「辛坊君と約束しましたからね、ステータスオープンの件についてなら何でもお話しします。まあ、右手をこう前に出して『ステータスオープン』って言っても何も出なかった、ってだけなんですけど。というか、出ない方が普通でしょ?」

「いや、普通じゃないよ。ステータスオープン」


 梢子先輩が右手を前にかざしてそう言うと、明梨の時と同じように半透明のスクリーンが宙に現れた。


「そんな馬鹿な……いや、皆して俺を騙そうって魂胆なんでしょ?」

「違うよ。イデアの報告によると、君はステータスオープンできないだけじゃなくて、そのやり方も知らず、ステータス画面を見たことすらもなかった、ということだったけど、これは本当かい?」

「『ステータス画面』って言うのが、その宙に浮いてるスクリーンのことなら、そうです」

「おっと、これは失礼。自分が常識だと思っていることが誰かにとってはそうでないこともある。アノマリーと対峙する時には特に注意しておかなければならないことだけど、慣れないものだね」


 アノマリーと対峙? それってつまり……。


「俺が……アノマリー?」

「そう、君はステータスオープンできないという異質な存在。つまりはこの世界の例外、アノマリーだ」


 俺がこの世界の例外……? 俺からすれば、どう考えてもおかしいのはステータスオープンができる人達の方なのに、彼女はそれができない俺の方を異質な存在、アノマリーだと言う。そうだ、辛坊君は? もしかして彼なら……。


「辛坊君もステータスオープンできるの?」

「……ステータスオープン」


 辛坊君がそう言うと、2人と同じようにステータス画面が現れた。やっぱり、おかしいのは俺の方なのか?


「君も往生際が悪いね。……いや、もし僕が君の立場だったら同じように疑ってかかっているかもしれないな。なんせ、君はステータスオープンできないだけじゃなくて、生まれてこの方、ステータス画面を見たことも、聞いたこともないって言うんだから」

「ステータス画面なら見たことくらいはあるさ。ゲームの中でだけど」

「その認識だよ。すごく興味深いね。ステータス画面をまるでゲームの中にしか存在しない物のように言っている。君は間違いなくアノマリーだ。それも高井戸先輩と同等レベルである可能性が高い」


 ……! 明梨も……アノマリー?


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