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ステータス44:部屋

「神崎さん? もしかしなくても柊木さんのことだよね?」

「そだよー。星来はもう落ち着いたから心配いらないって伝えておこうと思って」

「良かった。それで柊木さんは今どこに?」

「部屋に戻ってるよ。今はまだ会いたくないって」

「そっか……悪気はなかったとはいえ、怒鳴るような感じになっちゃったしな……」

「いや、君のせいじゃないよ。むしろ星来の方が『二度と顔見せるな』なんて言って別れた癖に、何事もなかったかのように君を頼ろうとしたから顔を合わせづらいんだって」


 そんなこと気にしなくていいのに。というか、傍若無人ってイメージだったけど意外と殊勝なところもあるんだな。


「それなら俺は全然気にしてないって伝えておいてよ」

「りょーかい。ところで、さっき話してた高井戸先輩って2年のあの綺麗な人だよね?」

「え……たぶん。同じ苗字の人がいないならそうかな?」

「もし勉強教えてもらえるなら私も追加しておいてよ。あと星来と志穂も」

「いいけど、まだ教えてもらえるって決まったわけじゃないよ?」

「もちろん先輩がオーケーしてくれたらでいいよ。どっちにしろ私達3人で明日勉強会する予定だったし、先輩から教えてもらえるならその方がいいかなってだけだから。それに星来もそういう理由があった方が君と会いやすいだろうし」

「分かった。頼んでみるよ」

「よろしくー。それじゃあ、また明日ねー」


 そう言うと神崎さんは一緒に学食に来ていたと思しき人たちのところへ戻って行った。


 俺に郎樹、さらに女子3人か。なんか大所帯になってきたな。柊木さんのこともあるし何とかしたいけど、引き受けてくれるかな明梨……。


 その後の学食での郎樹との話し合いの結果、中間試験が終わるまで他の部活もほとんどが休みになるようだったので、固有スキルのアノマリーの捜索は週末から再開するということになった。明梨への勉強会の依頼はすでに夜になっていたこともあり、自室に戻ってから電話で頼むことにした。


 プルルルル……プルルルル……カチャッ。


「もしもし、崇行? 電話なんて珍しいね。どうかしたの?」

「あ、明梨。あのさ、明後日からの中間試験のことでちょっと相談があって……」

「あ、分かった。勉強見て欲しいって言うんでしょ? 私はもうバッチリだから、いくらでも付き合ってげるよ」

「ハハッ、よく分かったね。話が早くて助かるよ。それでさ……えっと、俺だけじゃなくて、郎樹と柊木さんとその友達2人も加えて5人でってことになってるんだけど……」

「え……? 崇行だけじゃないんだ……」


 長い沈黙があって、俺は答えを催促するように明梨に呼び掛けた。


「……明梨?」

「あ、ごめん。えっと……別に大丈夫だけど、けっこう人数居るしどこか部屋借りた方がいいかも? 図書室はこの時期はいっぱいだから6人まとまって座れるか分からないし、部室は梢子先輩が部外者連れ込むのはダメだって言ってたから」

「そうだなあ……教室じゃ気が散るだろうし、どこかいい場所は……」

「あ、そうだ。崇行の部屋は? 確か2年生がいなくって今1人なんだよね?」


 そう言われて部屋を見渡す俺。うーん……広さ的には十分だから座布団か何か用意できればなんとかなりそうだけど……。


「女子4人を部屋に呼ぶってのはちょっとなあ……」

「何か女子に見られるとマズいものでもあるの?」

「いや、そんなものはないよ」

「ふむふむ、それで崇行が隠してる女子に見られるとマズいものって何?」

「いや、ないって本当に。分かった分かった、俺の部屋でいいよ」

「やったー! じゃあ明日、授業終わって、昼ごはん食べて、用意して……14時くらい? 男子寮の前に集合ってことで」

「うん、それでいいよ。他のみんなには俺から伝えておくね」

「よろしくー」

「それじゃ明梨先生、明日はご指導ご鞭撻のほど何卒よろしくお願いいたします」

「アハハッ! はーい。じゃあ、また明日ねー」


 電話を終えて改めて部屋を見渡す俺。うーん……いいとは言ったものの、そもそも柊木さんが俺の部屋に来ることを承知するかな? まあ柊木さんが別の場所を希望するなら、それを理由に別の場所にすればいいか。それよりも、とにかく今は少しでも勉強しておかないと。せめて明日、勉強会でみんなの足を引っ張らない程度にはしておこう。


 それから寝る時間になるまで、俺は黙々と勉強をしてこの日の夜を過ごしたのだった。


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