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ステータス41:俯瞰

 郎樹と同じように明梨にも梢子先輩の能力でスクールアノマリーのことを思い出してもらい、全員が部室中央のテーブルに集まって今回のパッチの件についてのスクールアノマリーの会議は始まった。上部先生は顧問らしく、部屋の入口から見て一番奥のいわゆる上座に当たる、男女の間の席に座っていた。と言っても椅子は一番ボロいパイプ椅子だったが。


「それじゃあタイタン、まずはパッチでどんな変化があったか報告を頼む」

「はい。現状で俺が確認しているのはステータス画面を他人に見せるのが普通の世界になっていたこと、ステータス画面にインベントリと装備が追加されていたことです。アノマリーの能力が固有スキルという名前に変わっていたことも同じタイミングで確認したので最初はパッチの影響かと思っていましたが……」

「君の立場ならそう思うのも無理はないことだが、固有スキルの件はいったん置いておこう。具体的にいつ頃変わったか目星はついているかい?」


 土曜日に剣道部に体験入部した時、郎樹は防具を着るのに装備を使っていなかったよな? その時の時刻がたしか15時過ぎくらいで、それ以降でパッチによる更新が確認できる可能性があった場面は思い当たらないから……。


「おそらく土曜日の15時頃から今日の朝、7時半頃までの間だと思います」

「なるほど。ステータス画面を見せるのが普通になっていたということだけど、前はどんな感じだったのかな?」

「実際にその場面を見たわけじゃありませんが、身分証明が必要な場合くらいしか見せないものだとされていました。明梨に最初見せてもらった時もかなり見せるのを躊躇(ためら)っていた節があったと記憶しています」


 ここで明梨が話に割って入ってきた。


「ちょっと待って。今でもステータスを全部見せるのは当たり前じゃないわ。さすがに人間関係タブは見せないわよ。あの時は、それも含めて全部見せるってことで、それで……その……ちょっと恥ずかしかっただけだから」


 あの時のやり取りは明梨の中でもそこまで大きく変わってないみたいだな。しかし、人間関係が丸わかりになるようなものは今でも流石に見せないんだな。当たり前っちゃ当たり前か。


 上部先生が明梨の話した内容に応じるように口を開く。


「いや、心療内科では人間関係タブを見せてもらうこともあるよ。まあ、これは診療の一環だし守秘義務もあるから事情が違うかもしれないけれど。それに夫婦や恋人同士なんかでは見せ合う場合もあるって聞くね。まあ、どちらの場合も一部だけだったり、見せたくないものはロックするのが普通だけどね。それを全部見せるなんて大胆だな」

「い……今はその話はいいじゃないですか。それより崇行、インベントリと装備がなかったって本当? そんなの考えられないわ」


 自分から話に入っておいて、なんなんだ明梨のやつ? まあステータスオープンできない俺にそっち側の常識なんて分かりっこないか。


「本当だよ。先週まではみんな鞄を持って登校してたんだ」

「信じられない……確かにステータスオープンに関わる変化ではあるけど、そんな大きな変化ってパッチで起こるものなの?」


 明梨も同じ考えか。郎樹もおかしいって言ってたし、やっぱり変化が大きすぎるよな。体感的には最初のアップデート以上に変わったようにも思えるし。


 俺と明梨のやり取りを受けて梢子先輩が口を開いた。


「いや、パッチで間違いないだろう。大きな変化だと感じるのは私達がこの世界に住んでいるからに過ぎない。俯瞰的にみれば、タイタンの報告してくれた内容はあくまでステータスオープンという変化に付随する変化でしかないからね」


 俯瞰的にみれば、か。仮にここがゲームの中の世界だとして、俺がプレイヤーだとしたら急にインベントリと装備が追加されたらかなり大きな変化だとは思うけど、ステータス画面の実装から続く予定されてた更新の1つだって言われれば納得できるような気もするな。まあ、俺だけがその更新の恩恵に何故かあやかることができていないわけだけど。さしずめ俺は旧バージョンの仕様のまま新バージョンの世界でプレイするオンラインゲームのプレイヤーって感じかな。


 明梨が先輩に応える。


「そういうものなんですね。私はてっきり別のアップデートが起こったのかと……やっぱり梢子先輩は頼りになります」

「私も最初にアップデートを経験した時は同じような反応だったよ。だから君達がそう感じてしまったとしても、それを恥じる必要はないさ。みんなパッチの件の共有はこれで十分かな?」


 梢子先輩の問いに全員が頷く。


「それじゃあ今回のパッチの対応についてだけど、タイタンは今回のパッチと最初のアップデート、前回のパッチで共通するような前兆のようなものがなかったか、変化が起きる前にそれに関連する事象に遭遇したりしていなかったか、君自身と柊木星来について調べて欲しい。他の3人は必要な時にタイタンをサポートしてやってくれ」


 全員が梢子先輩の方針に同意する。


「パッチの件は以上、次は固有スキルの件だ。まず私の見解を述べさせてもらうと、これはスクールアノマリーを狙ってなんらかの能力が行使された結果だと私は考えている」


 ……! スクールアノマリーが狙われている?


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