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ステータス38:信任

 柊木さんが俺の元から走り去った後、彼女を探してC組の教室に行ったが、そこに彼女の姿はなかった。


 泣いていたかは定かじゃないけど、どちらにしても放ってはおけない。白居さんならどこに行ったか知ってるかも? 白居さんは……いた!


「白居さん!」

「開谷君?」


 白居さんは俺に気付くと読んでいた本を閉じて、すぐに教室の外まで来てくれた。


「柊木さんは?」

「さっきまで居たんだけど、急に様子がおかしくなって教室の外に行っちゃって。開谷君の名前呼んでたからてっきり会いに行ったんだと……」

「会ったんだ。だけど口論になって、俺がつい怒鳴ってしまって……白居さんならどこに行ったか分かるかもって」

「うーん、私はそこまで星来ちゃんと付き合い長くないから……そうだ! 蒔苗(まきな)ちゃんなら分かるかも? ちょっと待ってて」


 そう言うと、白居さんは教室に戻って、深緑っぽい色をしたセミロングのくせっ毛が特徴的な女子を連れてきた。以前、情報処理部の部室に柊木さんと一緒に行っていた女子だ。その女子生徒は俺の顔をジロジロ見ると、俺の顔を指さしながら言った。


「志穂、だれこいつ?」

「この人は開谷崇行君。星来ちゃんがこの前言ってたステータスオープンできないB組の男子だよ」

「ああ、星来のストーカーか」

「蒔苗ちゃん、失礼だよ! ごめんね開谷君。この子は神崎蒔苗(かんざきまきな)ちゃん。星来ちゃんとは同じ中学で、子供の頃からの友達だったんだって」


 なんか、癖が強そうな女子だな……いや、今はそんなこと考えてる場合じゃないか。


「あの、神崎さん。えっと……さっき俺、柊木さんとちょっと口論になっちゃって、彼女が行きそうな場所に心当たりがあったら教えて欲しいんだけど」

「ストーカーにそんなこと教えるわけないじゃん」


 腕を組んで、やたら挑発的な笑みを浮かべて彼女はそう答えた。


「え……えっと、それはもっともなんだけど……いや、っていうかストーカーじゃないし……今も別に柊木さんをストーキングしてるわけじゃなくて……その……」

「……プッ……なーんて冗談冗談。ちょっと話は聞いてたけど開谷君、直に話してみると面白いねえ。ま、それはさておき星来なら心配しなくていいから。私に任せておいて」

「でも……」

「何があったかは知らないけどさ、それほど落ち込んでないならそのうち教室戻ってくるだろうし、本気で落ち込んでるならそういう時、あいつがどこで何してるかは私は分かってるから。落ち着いたら私が君のところに星来を連れて行くから、まあ今は待っててよ」

「……分かった。神崎さん、よろしく頼みます」

「ほい、任されたよーん。それじゃ、先生来るからそろそろ君も教室戻りなよー」


 俺の方から追いかけた時は良い結果になった試しがないし、神崎さんの言う通り今は彼女に任せた方がいいのかもしれない。俺は今度、柊木さんが助けを求めてきた時に支えてあげられるよう、今の状況を整理しておこう。ステータスを普通に見せあっていたこと、インベントリ、装備、固有スキル、とにかく分からないことが多すぎる。


 そう考えた俺は、この日はパッチによってどんな変化が起こったか、放課後のスクールアノマリーもといオカルト研究会の集まりまでに調べることにした。


 人目を気にせず当たり前のようにステータスオープンして、インベントリから教科書を出すクラスメイト。しかし、俺がインベントリを使わずに鞄から教科書を出していることには特に疑問は持っていないようだった。


 おそらく鞄が存在しないわけじゃない。もし鞄がなくなってるなら俺が持ってる鞄に疑問を持つはず。普通はインベントリを使うからわざわざ持ってきてる人がいないだけって感じか。やっぱり変わるのは人の記憶だけで、物がなくなったりはしないんだな。


 後から郎樹に聞いたところによるとインベントリには容量があって、それを超えるようなアイテムを持つ必要がある時は鞄を使うとのことだった。容量は能力値で変わるらしいが、普段学校に持ってくる程度なら大抵は問題にならないそうだ。


 装備の変更は授業などで見れる場面がこの日はなかったが、朗樹に昼休みに何度か実演してもらって概要を掴むことはできた。装備画面に表示された人型の3D模型にインベントリ内のアイテムを着せて確定ボタンを押すとその格好に変わるシステムらしい。


 これなら間違って装備を外して街中で裸に、なんて事故はそうそう起こらなそうだな。手間はかかるけど、現実に装備のシステムを組み込むならまあ妥当なところか。インベントリも装備も現実世界に溶け込むようにうまく調整されてるんだな。


「―――いろいろ参考になったよ、ありがとう郎樹」

「どういたしまして」

「インベントリと装備についての変化は掴めたと思う。後は固有スキルだけど、スキルって言うからにはスキルタブに表示されたりしてるものなのか?」

「いや、それはないよ。もしそうなら僕らの活動ももっと楽なんだろうけどね」

「そうすると、本当に名前が変わっただけなのか……いや、でもパッチの変化ってステータスオープンに関連する変化なんだよな? だとすると辻褄が合わなくないか?」

「そうだね。僕もそこが引っかかってる。固有スキルって名前に何かヒントがありそうだけど……うーん、やっぱり梢子先輩の意見を聞きたいかな」

「そうだな。そろそろ昼休みも終わるし教室戻ろうか」

「だね」


 結局、固有スキルについては何も分からず終いか。名前が変わっただけなんてことはないと思うけど……梢子先輩なら何か分かるだろうか? ともかく集められるだけの情報は集めた。後は放課後になるのを待つだけだ。


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